ネット経由で依頼された中学校での講演をやってきた。
内容は、またもや「恐怖」。
今までこのテーマで、市民講座、雑誌のインタビュー、そしてEテレでの解説の依頼をこなしてきたが、中学生(3年)相手は初めて。
もとより、大学では営業を兼ねて高校生相手には講演活動をしている。
ただ、中学生となると、心理学の専門用語は使えないし、ましてや私のアプローチである現象学・存在論の概念も使えない。
ただ幸いなことに、誰でもが体験可能なテーマなので、抽象的でなく、具体的な話で通すことも可能だ。
そもそも、なんで中学校が大学教員に講演を依頼するのだろう、という疑問があった。
なんでも、文化祭のテーマとしてクラスで「恐怖」を選び、 この問題について、いろいろ話を聞いたり、生徒たちで外に活動に出たりしているのだという。
私の他には、ホラー映画の製作者に講演してもらったとのこと。
数ある心理学者の中で私にお鉢が回ってきたのは、お化け屋敷のような「娯楽としての恐怖」を論じているのが他にはいないためだ。
中学生の文化祭の出し物なのに、そこまでつっこんで探求することに感心した(自分が中学生の時は、地学部の展示として火山模型を作っただけだった)。
この学校は、私立の中高一貫校なので、受験勉強の代わりに、このようにきちんとした探求活動をやらせているのだ。
こういう活動こそ、大学が学生にやってほしいことなので、新入生には「大学の勉強は高校までの勉強と違うのだ」と強調してきたが、中等教育でこういうことをきちんとやってもらえたら、大学ではもっと高度なことができてうれしい限り。
さて、日常用語だけを使って、なんとか自分の言いたいことを説明した。
少なくとも、担任の先生には理解してもらえたようだ。
いただいた謝礼は、はっきり言って相場には達していないが、文化祭の活動費として生徒(の保護者)たちから集めたものだという。
研究者が研究成果を世に出すのは半ば義務であり、商売ではない。
恐縮して、有り難く頂戴した。
今日は、この他に、診療所での検診・散髪と8月の数少ない予定をいっぺんにこなした。
明日は台風が来るので大人しくしていよう。