今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

津波警報の誤差

2010年03月01日 | 防災・安全
チリ地震による津波の数値的予想が外れた(特に”大津波警報”)。
一部地域は別として、日本の多くの地域が過大な予想値のため、
鉄道は運休になり、多くの人が影響を受けた。
(東京マラソンは平常通り挙行された)。

翌日、気象庁の地震津波監視課長は
「津波の予測が過大であったこと、警報・注意報が長引いたことをおわびしたい」と述べ、
”被害がなかったのだから、文句を言うな”的論理は通さなかった。
防災における”より安全”という一見正しい態度より、
”正しい情報を”という態度が優先されていることに安心した。

なぜなら、被害を0%にしようとするあまり、
危機をあおり、結果的に正しくない情報ばかりをながすと、”狼少年効果”をもたらすから。
そうなると、今後「警報」を出しても、人は勝手に少なく見積もってしまい、
避難行動を起こさせず、実質的に警報の効果がなくなり、被害を増大させることになる。
実際、今回ですら、避難勧告に従わなかった人が多かったのは、
過去の空振りした津波警報の影響だろう。

実は、暴風警報・大雨警報など気象警報についても、すでに”狼少年”化していると思える。
警報とは、”重大な被害が予想される時”出されるものだが、その”重大”というのがおおげさに響く。
注意報が”被害が予想される時”なので、今の警報は注意報的価値しかなく、
大雨警報の上の基準である「記録的短時間大雨情報」は、
これこそ”重大な被害が予想される”ので、危険度的に”警報”に値する。
(読者のみなさんは、この「~情報」御存知?)

予想される最大値を基準にすべきなのは、事前の備え段階の話。
実際に災害に直面するときは、情報の正確さが一番重要。
今避難したほうがいいのか、逆に避難しない方がいいのかは、
この情報の正確さが判断基準となる。
その判断が誤って、避難することでかえって被害を大きくしたのが、
昨年の兵庫県佐用町の水害。

同じ情報を流し続けないで、刻々と変化する状況に即して、
つぎつぎに微修正をしてほしい。

そのためには、より広範囲で密度の高い観測網が必要。
広域の津波なら、衛星画像の高精細化が一番手っ取り早いが、
配信間隔の問題など、津波の実況にどれほど有効かはわからない。
ただ、このへんの予算はどうか仕分け対象にしないでほしい。