goo blog サービス終了のお知らせ 

今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

車で避難する際の危険

2023年07月16日 | 防災・安全

梅雨末期の大雨によって九州だけでなく秋田でも死者が出た。
気象防災は、予測・実況の情報入手が可能(気象庁のキキクル)で、適切な対応をすれば、少なくとも人的被害は抑えられるはずなのに…。

今回、目についたのは、車による移動中の死亡。

たしかに、大都市でない地方だと、避難を含む人間の移動は車が前提となろう。

ならば、車での避難を前提とした避難タイミングルート選定を”事前”に確定しておかねばならない。

避難タイミングは、車での走行が不可能になる、「道路が冠水する前」となる。

なぜか。
冠水した道路だと、深さがわからないまま、進むことになる。
そして深みにはまって水深がマフラーを超えると、エンジンが停止する。
車が動かない状態で、さらに水深が深まると、タイヤに浮力が発生し、ハンドルが利かなくなる。
そうなると車は水流に無抵抗に流される。
水深がドアの半ばまで来ると、水圧でドアが開かなくなり、脱出不能となる。
車内に水がどっと浸入し、人を閉じこめたまま水没する。

タイミングは、避難ルートの道路状況との兼ね合いにもなる。

選定すべき避難ルートには、以下の危険箇所が無い事。
●小さな橋…橋ごと流される
●低地:田んぼがひろがる、河川近く…冠水して走行不能
●アンダーパス…突進して水没する
●崖沿い

多少遠回りになっても危険箇所を避ける事。
なので事前のルート選定(実地見学も)は必須。
どうしてもどれかの危険箇所を通らざるをえない場合は、自宅ではなく”その箇所が安全な時”が、避難タイミングとなる。
そして脱出用のハンマーを車内に備えておく。
割れれば車のガラスは粉々に散るので、すぐに脱出できる。


警戒レベル5になったら避難しない

2023年06月03日 | 防災・安全

今回の大雨※で、やっぱり死者が出てしまった。
※:本州上の停滞前線に台風の東側から暖湿空気が流入してできた線状降水帯による。移動が速い台風だけだとこれほどの雨量にならない。

大雨にまつわる情報(雨量、風速、河川水位)は、予測も実況もできるので、リアルタイムに状況を判断できる(気象庁サイトの「キキクル」、国交省サイトの「川の防災情報」)。

今回の死者は、家に居てではなく、避難行動中の被災。

気象災害の場合、壊滅的な津波と違って、家から避難することがベストとは限らない(雨さらしの屋外より屋根のある家が基本的に安全)。

「警戒レベル4」の間なら避難した方がいい場合があるが、「警戒レベル5」に達したら、家の外の方が危険な状態になっている。
なのでその該当地域には、テレビも避難を呼びかけず、家の中で安全を確保しろと繰り返すはず。

警戒レベル5になって、(手遅れながら)避難行動をする人は、増水した川に流される/車が水没する、などの致死的危険が待ち構えていることを覚悟してほしい。

車は水没すると、エンジンが止まり、タイヤが浮いてハンドルも効かず、水が車内に侵入してくるが、ドアが水圧で開かず、脱出できないたね、溺死を待つのみとなる。

車で避難するなら、脱出用の(窓ガラスを割る)ハンマーは必携。
また低地・水辺には絶対乗り入れないこと。
そして、その前に避難のタイミングを誤らないこと。
そのために必要なのは、自宅の災害危険度の事前確認だ。
自宅の災害危険度の事前確認:気象災害編


グラっときたら、○の○○

2023年05月12日 | 防災・安全

地震に対する標語「グラっときたら、○の○○

この○を漢字で埋めてほしい。

 

 

年配者は、「火の用心」と回答するかもしれない。
実際、昔はそれが正解だった。
でも現在は不正解。

消防庁による正解は、「身の安全」。

身の安全が火の用心より優先となった。

ところが学生に質問すると、ほとんどの学生は「机の真?下』と答える(「机の下」で充分)。
小学校以来、学校で教わった地震時の反応(机の下に身を隠す)が頭に焼きつているから。

「身の安全」という答えは実は抽象的で、具体的にどうしたらいいのかわからない。
その意味では、良くない”正解”だ。

その点「机の真下」だと具体的な行動を指示しているので、どうすればいいかすぐわかる。
その意味では、こちらの方が良い答えだ。

ただ、そう答えた学生にこう質問する。
「もしその場に机がなかったらどうする?」
すると学生は答えに窮す。

「机の真下」は学校の教室に該当する限定された答えで、いわば具体的すぎて、応用性がない点で望ましくない。

ということは、最適な答えは、「身の安全」と「机の真下」の間にある。

安全を確保したい”身”とはどこか、机の下に入って守るのはどこか、そこに答えがある。

頭部を守るのが最重要なのだ。

なので、望ましい正解は、「グラっときたら、頭の保護」としたい。

机がなくても、なんでもいいから頭を保護すること(最悪、両腕を使う)。

→関連記事「スーパーで頭を刺されない方法


震度5強の地震に遭遇したら

2023年05月11日 | 防災・安全

震度5強の地震は、震度7や6強の地震よりも、広範囲・高頻度で起こりうる。
なので、起きた時どうするか、常に考えておいて損はない。

屋内にいる場合。
1981年以降の新耐震の建物の場合、震度5強では損傷の恐れはなく、外に逃げ出す必要はない。
外の方が、瓦落下等の被害をもたらすこともあるから。

地震時での対応は「逃げ道の確保」であって、逃げることではない。
ところが、震度5強で毎回負傷者が発生する。
今回も、慌てて逃げようとして、負傷した。
揺れが激しくて、身体を正しく制御できないから、負傷するのだ。
毎度発生するパターン。
逃げるよりも、その場で身をかがめて、安全を確保(=頭部を保護する)こと。

地震が終わった後、都市ガスは自動的に止まっている(慌てて使用中のガスコンロに向かう必要もない)。
停電も発生して、高層住宅ではエレベータが止まる。

ただし、これらはインフラが破壊された訳ではなく、安全装置が作動しもので、順次復旧する(エレベータ復旧作業には時間がかる)。

なので停電の対策は必要(高層階に住むということはこういう事態を想定済みのはず)。

都市ガスの復旧は、各家ごとにガスメータ側にある「復旧ボタン」を押すこと。

以上、新耐震を前提とした対策。
旧耐震に住んでいることは震度5強でも倒壊死に繋がるので、今時住んではならない。
※:東日本大震災の東京(震度5強)で死亡した3名は、これに該当。


不在通知のショートメール

2023年04月19日 | 防災・安全

先日、ドコモの有りそうな携帯番号からショートメールが届いた。

クリックして本文画面に進むと、

「お客様*が不在の為お荷物を持ち帰りました。こちらにてご確認くださ*い」
も文面の一部)

しかもそれに続く URLがランダムな文字列で.com?du0kと続く。

たまたまAmazonで注文をしていた時だが、Amazonでの配送は置き配なので持ち帰らないし、他の配送会社だと、ポストに不在通知を入れる。

なので心当たりがないメッセージだし、文面とURLがおかしいのでこれは詐欺メールだと思い、反応せずにそのままにしておいたら、本日のモーニングショーでこれを扱っていた。

番組でもアドバイスしていたように、文面等をよくチェックして慌てて反応しないことだ。


キャンプ場で木の下敷きにならない方法

2023年04月17日 | 防災・安全

神奈川県相模原市の道志川沿いのキャンプ場で、16日未明にテントで寝ていた夫婦の上に木が倒れてきて、その下敷きで妻が圧死、夫が肋骨を骨折という惨事が発生した。
※;行方不明少女の骨が発見された道志川のキャンプ場は、もっと上流の山梨県側。

昨今のキャンプ愛好者だけでなく、私のような山でのテント泊経験者にとっても、心胆寒からしめる出来事だ。

すなわち、当時は強風でもなく、明らかな油断・不注意とはいえず、むしろ誰でも犠牲者になる可能性があったから。

根本から倒れた木は”根腐れ”していたという。

その木の映像を見ると、枝のほとんどが枯れており(一部にのみ葉がついている)、木自体は死んでいるといえる(人間でも、本体が死んでも真皮細胞は生きていてヒゲが伸びたりする)。
ただし、太い幹は枯れ木の様相を示しておらず(水分を保っていて苔などが付着)、施設側では毎日確認していて、問題視していなかったという。
すなわち、目視では倒木の可能性がわからなかったわけだ。

なので、木の隣でテントを張った夫婦も、目立つ木なので目視でそれとなくチェックしたはずだが、危険性を感じなかったと思う。

ということは、目視では不充分ということだ。

枯れた大木は内部が空洞になっているように、大木は内部から腐っていく(樹皮部分は最後まで平常を残す)。

テントを張る時、周囲の木で倒れたらヤバそうな木については、目視ではなく、実際に(誰もいない方向に)幹に力を入れてみて、安全性を力学的に確認するしかない。

ほとんどの人はこれをやってこなかっただろうが、この事故を受けて、これからは実施した方がいい。

そういえば、街の街路樹は、”倒木の危険があるため前もって撤去する”、という措置が行政によって実施されている。
すなわち倒れて被害を出す前に、目視以上のチェックをして、予防措置を講じているのだ。

自然の天然木に関しては、そのような管理責任者はいないので、その木に関わる人が目視以上の確認をするしかない。

そういうことを肝に銘じさせられる事故だった。


スーパーで頭を刺されない方法

2023年04月10日 | 防災・安全

大阪のスーパーマーケットで、男がテントのペグ(土に突き刺してテントを安定させる道具)を振りかざして、女性の頭部を襲い、頭部陥没骨折の重傷を負わせた。

言うなれば、混雑した空間での無差別襲撃(殺人未遂)で、非常に恐ろしい。

もしこの現場に遭遇したら、どうすればいいか。

ポイントはスーパー内だということ。

一旦話を防犯から防災に移すと、スーパーで買い物中に大地震が来たらどうすればいいか。

学校だったら机の下に隠れるのだが、スーパーには入れる机(空間)はない。

そもそもとっさに机の下に入る理由は、一番大切な頭部を保護するため。
頭部が損傷して、意識を失うと、後の避難行動ができなくなる。

ではスーパーではどうすればいいか。

客がすでに手に持っているはずの籠(カゴ)を頭に被るのだ。
平時にそれをやったら笑いの対象となるが、地震時にはこれが頭部を保護するものとなる。

もうお分かりのように、この対応行動は、頭部攻撃への防犯にも使える(ペグ程度なら防御可能)。
さらに籠は、相手との距離(間合い)を保つのにも使える(カートならなおさら)。

スーパーだから籠はたくさんあるので、いつでも防御できる(置いてある場所を頭に入れておこう)。
棚に並んでいる食品よりは、籠の方が硬さと容積の点で使い勝手がいい。


幼児の転落事故を防ぐ方法

2023年03月27日 | 防災・安全

2歳の双子がマンションの高層階の窓から転落死した事故。
2歳という所にポイントがある。
そして母がごく短時間だが不在であったことも(別室で家事中だったとのこと)。

この時期の幼児は、母親に対して異常ともいえる愛着を示す
(再接近期といって、内面の不安が原因)。
具体的には、家の中で母親が見当たらないと、泣き叫んで探し回る。
母親以外の家族がいてもこれはおさまらない。

パニック的な状態になるので、日常行動外の挙に出る。
たとえ窓の鍵を開けたことがなくても(知っていたらしい)、
観察学習で鍵を回して窓を開ける仕組みを知っていれば、
家にいない母を求めて、外につながる窓を開けることを試みるだろう。
すなわち、気持ちは母に向かっているので、その母が室内にいなければ、
気持ちは外に向かう。
すると体もそれについてくる(あとは重力に支配される)。

現実問題として、母親が子を置いて(玄関の)外に出することを無しにはできまい(この時期の子の異常な愛着は、母親にとってストレスともなる)。
その場合は、他の人が残って、少なくとも、母を探して泣きわめく子が危険な挙に出ないように監視することが必要。
最悪、誰もいない瞬間となっても、窓やベランダの手すりを乗り越えられないように、
その下に踏み台となるものは置かない措置は必須。
この最後の措置だけでも、転落事故は免れる。

逆に言えば、この措置をしなかったことが転落事故を招き、
実際にそうなってしまった。
なぜしなかったのかというと、
我が子の”日常行動”内では危険がないと判断したためだろう。
日常行動ではなく、可能な行動で判断しなくてはならないのだ。

歩ける幼児がいる場合、家の窓・ベランダだけでなく、
駐車場においても同様な注意が必要。


日本の内陸でも巨大地震が起きる

2023年02月15日 | 防災・安全

トルコ・シリア地震はM7.8と7.5が続いて起き、いずれも同じ内陸活断層型の兵庫県南部地震(1995年)・熊本地震(2016年)のM7.3を上回る強さだ。
これほど強い地震が日本の内陸で発生するかというと、発生する(した)。

1891年10月28日に発生した濃尾地震 M8.0と国内の内陸地震で最大の強さだった。
濃尾地震の名が示す通り、被害は濃尾平野を擁する美濃(岐阜県)と尾張(愛知県)にまたがり死者7223名。
当時の新聞は「身の終わり」と記した。

震源に近い岐阜県西濃にある根尾谷に断層の跡が当時の畦道の段差として残って(保存されて)いる。

活断層による直下型地震が懸念されているのは、東京湾北部を震源とする首都直下型地震が有名だが、それを受けて東京都は防災対策を進めた結果、想定死者が11000人から6100人にまで減少している(もっとも都内に実家のある私は都内の震源予想地付近には近寄らないことにしている)。
※:首都直下型地震だけやたら煽る人は勉強不足か東京しか関心のない人。東京以外の人たちがこの情報に感化されて自分たちの所は大丈夫と思うことが恐ろしい。

実はそれよりはるかに被害が大きい直下型地震が(内閣府の中央防災会議によって)想定(発表)されているのだが、何故かマスコミをはじめほとんど話題にならない(”南海トラフ”は定義外)。
大阪の中心部を南北に縦断する上町断層地震で、切迫度は首都直下より低いものの、想定死者42000人と、東日本大地震を上回り、今回トルコ・シリア地震並みの数(2月15日時点)となっている(大阪府はどうしているのだろう)。

ちなみにトルコ・シリア地震の震源地は、内陸ながらユーラシアプレートとアラビアプレートとアフリカプレートという3枚のプレートの境界点に近い。
3枚のプレート境界点は世界でも数箇所しかない。
その数少ない3境界点が日本にもある。
太平洋プレートとフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界点が相模湾にある。
関東大地震の震源地だった。
こちらはプレート境界なので、活動周期が明確で、あと100年ほど猶予がある(以前はこの地震と震源地もメカニズムも異なる直下型地震が混同されていたため、関東大地震が切迫していると思われていた。ちなみにいまだに混同している M永氏などの”識者”もいるので注意)。

活動周期からみて猶予がないのは、東海地震(フォリピン海プレートとユーラシアプレートの境界)で、すでに起こってエネルギーが解放されていなくてはならない。
それが起きないまま、同じプレート境界に並ぶ東南海と南海地震の周期が近づいてしまったので、最悪の3連動地震が懸念されているわけだ(しかも過去、東海地震は単独では発生していない)。
実は上町断層地震は、その断層自体の活動周期はもっと長いものの、南海トラフの地殻変動による影響を受けそうで、南海トラフ地震の”前後”に発生が懸念されている
大阪は南海トラフ地震の被害は大阪湾の津波程度(避難する時間的余裕は充分)だが、こちらの直下型地震が怖いのだが。
※:同じ理由で発生が懸念されている地震に濃尾平野の猿投-高浜断層地震があるのだが、こちらも全然話題にならない。

関連記事☞危険な活断層ワースト5
     危険な活断層:6-16位


トルコ・シリアの地震被害に思う

2023年02月12日 | 防災・安全

東日本大震災の死者を上回る死者を出しているトルコ・シリアの地震は、「阪神淡路」や「熊本」ほどの都市直下型ではないが、内陸の活断層によるものなので、震度(揺れの強さ)が高かったはず。
しかも「熊本」と同じく、本震が2度あった。

このように、ただでさえ被害をもたらす地震だったが、被害をさらに大きくしたのは、人為的要因で、建物の耐震性の問題。
少なくともトルコは地震国の自覚があるので、耐震基準は厳しかったが、如何せん、運用が甘かった。
日本で言えば、耐震基準を満たさない”姉歯物件”が野放し状態(お金を払えばokらしい)で、昨年建てた新築のビルさえもあっという間に崩壊した。
これは日本ではあり得ない。

ビルでなくてもあちらは石造りの家なので、家が崩壊すれば、中の住民は瓦礫に押し潰される。
江戸時代の日本で藩によっては瓦屋根が禁止されたのも、明治に入ってきた西洋のレンガ建築がその後廃れたのもこの理由(紙と木でできて屋根が茅葺の日本家屋は、地震で崩壊しても人が潰されなかった)

ただ、瓦礫の崩れ具合によっては、空間が形成されるため、うまくその空間に収まれば生き延びられる可能性がある(雪崩に襲われた場合も、こういう可能性がある)。
また木造建築と違って、火災が延焼しないのも救い(「阪神淡路」では、倒壊した建物に身動きが取れない状態で火災に見舞われて死者が増えた)。
現在の救助活動にはそれを期待するしかない。

日本の地震防災でも、自宅の耐震性の確認がその第一歩。


ストーカーに殺されないためには

2023年01月19日 | 防災・安全

またしてもストーカー殺人事件が発生した。

被害者はシングルマザーなので、残された子も哀れ。

被害者は、警察に相談済みで、緊急通報措置も携帯していた。

ストーカーに対しては接近禁止令が出されていた(記事修正)。

そもそもストーカーの問題でなぜ、接近禁止の措置が取られるのか。
それは最終的には殺人を防ぐためである。

ストーカーという用語自体が、殺人事件によって誕生した。
すなわち、ストーカーと殺人とは現象として親和的なのだ。

ストーカーに見舞われたら、どうしたらいいか。
絶対に”会わない”こと。
これが第一原則であり、ストーカー対策の常識になってほしい。

会うと、いや会うだけで、ストーカー行為は促進される。
その結果、ストーカー行為の最終段階である殺害の可能性も高まる。
会って話し合おうなどとくれぐれも思わないこと
※:人間同士話し合えばなんとかなると考える甘い人間観を持つ人が一定数いるが、5.15事件での犬養毅首相が「話せばわかる」と言ったにも関わらず、押し入った賊は「問答無用」と言って殺害した。これがリアルな現象なのだ。

法的な禁止令が出ても、ストーカーの行為自体は物理的には制限されないので、受ける側は自衛するしかない。
相手と出くわしたら緊急通報装置よりもダッシュで逃げて交番に駆け込む方を優先する。

残念ながら、今回の被害者は、この第一原則に反してしまった。


車の中に子どもを置き忘れない方法2

2022年11月14日 | 防災・安全

またしても車の中に我が子を置き忘れて死亡させるという痛ましい事故が起きた。
これは、送迎バスに園児を置き忘れる事故と同系統のミスだが、”自家用車内での我が子”という私的状況である点がやや異なる。

前回の2年前の時に、「車の中に子どもを置き忘れない方法」という記事を書いたが、そこでは、二重過程モデルのシステム1とシステム2で解説したので、今回もそれを踏襲する。
※システム1:条件づけなどによる直感(無自覚)的反応。覚醒時に優先的に作動
※システム2:思考・表象による意識活動。システム1で対処できない場合に作動

「子を預けた」という思い込みは、システム2によるもの。
この思い込みは、ルーティン化されている行動の予定と過去の記憶が混同されて、過去の記憶が行動完了と解釈されてしまうもの(鍵の締め忘れなどに発生する)。
そして完了したという思い込みによって、車内の確認は不要と判断されてしまう。

本来誤りの少ないシステム2がこうやって誤ると、同じシステム2(思考力)では訂正できない。

それ(思い込み)に逆らうことが可能なのは、別のメカニズムで作動するシステム1だ。
例えば、車から降りて家に入る時は、無条件に車内の後ろ(3列目)まで目をやることを習慣化する(窓が透明なら車外からでも可)。
※:今回の車も窓が不透明に加工されていたという。
これはシステム2の思い込みとは独立した(それに影響されない)習慣行動として条件付けするもの。
目視だけでなく、指先点呼を併用すると尚いい。

例えば、外出する時、ドアを施錠するのはシステム2だが、その後私がやるドアノブを引っ張って施錠を確認する動作は無自覚化されているのでシステム1だ。


ブレーキが利かなくなる問題

2022年10月19日 | 防災・安全

ブレーキが利かなくなると、暴走して事故を起こす。

富士山麓のバス横転事故の話だけではない。

頻発する山での滑落事故しかり。
山の下りは、自重が加速度の原因となり、沢や高山のガレ場で滑落すると止めるものがなく、さらに加速度がついて、衝突の衝撃で死亡する。
山では体力的にきついのは登りの方だが、危険なのは下りの方。
なのに、下りの惰性(加速度)にまかせて降りて転倒・滑落する人が絶えない。

いったん加速度がつくとブレーキが利かなくなるのは、物理現象だけではない。

まずは行動習慣。
いくら好きで健康にいいからといって、納豆を日に6パックも食べて痛風を発症したマツコは、ブレーキが外れた”無節操”状態。
「過ぎたればなお及ばざるが如し」の格言を地で行ってる。

人間の思想も、加速度がつくと極端化して、暴力的な過激思想に変貌する。
”環境保護”という正義が、いつのまにか人類の美術遺産を毀損するまでに過激化した。

はるか古代において、思考・行動のブレーキが利かなくなる傾向に気づいたギリシャ・インド・中国の哲人は、中道・中庸(節度)を唱えたのだが
※:ギリシャ哲学や仏典を読まなくても『論語』で充分。”最適値”という工学的発想も同じ。

相変わらず現代人はあちこちでブレーキを踏み外ている。
もちろん反動でブレーキを踏んだままにすることも逆の極端化。

無限の極端化に進む一次直線(y=ax)思考を脱して、最適値が求まる二次曲線(y=-ax^2)思考への転換が、システム2(自我機能)の成熟の鍵といえる。
一次直線は小学校の算数、二次曲線は中学校の数学で習う。
どちらも義務教育内だから、誰でも後者に変換可能なはず。


富士山麓でのバス横転事故に思う

2022年10月15日 | 防災・安全

13日に起きた、富士山麓でのツアーバスの横転事故について。

まずは、運転手によると「ブレーキが利かない」状態に陥ったということで、「フェード現象」が疑われている
※追記:2023年2月16日、静岡県警はフェード現象によるものと断定した。

運転手はバスの運転自体は経験者だが、このルートは初めてだったというから、”富士山の特殊性”が頭になかった可能性がある。
富士山の特殊性とは、可能な限り高所まで延びた道路の斜面(坂道)が異様に長いこと。
なので普通の坂道いや山道のつもりでブレーキ操作をしていると、フェード現象を招きやすいということ。

一般車でも、 AT車でギア操作が習慣づいていない人は、つづら折りの下り道で、カーブの間の直線部分も含めてブレーキをずっと踏みっ放しとなり、それが富士山の下りだと、ブレーキ踏みっ放し時間が限界を越すおそれがある。

もっともバスの運転手の場合は、最低限ギア操作はできているはずだが、重量の重いバスは、カーブ間の直線部分で大きく加速してしまい、カーブの手前で急ブレーキが必要になると、乗客の乗り心地に悪影響を与える。
そういう理由で直線部分もブレーキを利かさざるをえないだろう(もちろんギアを落としてエンジンブレーキを最大限に利かすのは前提)。

実際、かなりブレーキを利かしていたようで、後続車の人は、異常に遅い速度と感じていたという。

ただし、だんだん速度が上がったようで、直線部分から右にゆるいカーブの所で、車体が左の山側に乗り上げ、右下に横転した。
現場の直前に薄いタイヤ痕が残っているので、サイドブレーキは利かしていたようだ。
現場のカーブは緩いから、ハンドル操作の誤りというより、バスにかかる遠心力に負けたのだろう。
遠心力は、質量と速度の二乗の積に比例するから、この力を下げるには(角)速度を落とすのが最も効果的(私は下りの直線はエンジンブレーキを充分に利かせ、カーブの手前だけブレーキをかけて速度をぐっと落とし、カーブはブレーキペダルから足を外して回り、カーブの後半でアクセルを踏んで加速する。すなわちフットブレーキは最低限の使用を心がけている)
ただし、今回は乗客数の多さから、予想外に質量が高かったのも事実。
すなわち、直線部分での重力加速度の制御とカーブ部分での遠心力の制御の連続が、富士山の坂道では異様に長いのだ。
その分(カーブの多さとブレーキの酷使によって)、制御が失敗する可能性が増える(あるいは、ブレーキが利かないため、あえて山側に突っ込んで停止しようとしたのかもしれない)。

では、そうなった場合、乗客はどうすればいいか
今回死亡した人は、倒れた側の窓側の席で、地面側の右腕を損傷し、そこからの出血多量が死因だったという。

バスが横転するとは、強制的に地面に90度倒されることだから、その強制力に抵抗するには、まずはシートベルトで身体が座席から離脱しない措置が必要。

次に、特に倒れた窓側の席の人は地面に衝突する衝撃をくらうので(腰だけのシートベルトは上半身を背面に固定してくれない)、体のそちら側を咄嗟に保護する必要がある(頭部も含めて)。
それには、手荷物をクッション代わりにするしかない。
手荷物がない場合は、両手で前の席にしがみつくのも、やらないよりはましだと思う。


アクセルが踏まれたままとなる理由

2022年09月20日 | 防災・安全

11歳の子供が運転するゴーカートが暴走して、2歳の幼児が死亡した。
またしてもさまざまなミスによる(避ける事のできた)悲惨な事故だ。

きっちり事故原因を突き止めて2度とこういう事故を起こさないようにしたい。

まず、なぜアクセルが踏まれたままになったのか。
もちろん運転が未熟なため、ブレーキのつもりという操作ミスも考えられる。

だが、それ以上にありうるのは、直線でスピードを出したはいいものの、恐怖心が発生したかもしれないこと。
恐怖は、半ば本能的な反応(システム1)で対処するよう遺伝的にインプットされている。

恐怖という交感神経の興奮は「闘争か逃走か」という選択肢状態になるのだが、この正反対のベクトルの力が等しいと変な均衡点が実現する。
フリーズ(硬直)するのだ。
すなわちアクセルペダルを踏んだ足が硬直して離れなくなる。
「ブレーキとアクセルを踏み違えた」というよくある弁解も、本当はこの現象だったかもしれない。

すなわち管理者は、幼い運転手がこのようなパニック状態になることも充分想定した安全管理が必要。

そしてもう一つ。
車が最も速度が出る直線コースの延長上に、人は立ってはならない。
絶対にだ。
走る車は横または後ろから見るように。

主催者側は、本来なすべき対策を怠った、業務上過失致死に相当する。