goo blog サービス終了のお知らせ 

今日こんなことが

私は「はてなブログ」に引っ越しました。
こちらは過去の記事だけ残しています。またコメントも停止しています。

通園バスの中の園児を置き忘れない方法

2022年09月08日 | 防災・安全

登園中の園児をバス車内に忘れ、死亡させるという、起こしてはならない人為ミスがまたしても起きてしまった。
たった3歳の身で灼熱の車内で一人で苦しんでいった状況を思うと、それだけで許せない気持ちになる。

これは明らかに、下記の園側がやるべき事を怠ったがための、すなわち業務上過失致死による。

①送迎バスに乗っている大人によるタブルチェックが、”たまたま”臨時の”安全確認に不慣れな”職員(理事長を含む)が担当した事で、2人の間でシングルチェックを互いに暗黙の間に押しつける(自分がやらなくても、相手の方が、慣れている・上司だからやってくれるもの)という最悪レベルの業務意識状態になった。
※:ダブルチェックですら完璧でないことは、学校関係者なら、入試での出題ミスが0にならない事実で痛感している。
②さらに園児が降りた後の座席のアルコール消毒を怠った(実行していれば①があっても発見できた)。
③個別登録すべき登園管理の一括登録(点呼の不作為)。
④登園しているはずの園児が現実にいない事実に対しての無策。

①〜④のどれかが起きても、他のどれか1つでもきちんとなされていれば、少なくとも園児は死なずに済んだ。
すなわち、通常実行すべきことの複数の業務怠慢の連続によって、本来防げたはずの最悪の事態を招いてしまった。

園側に言われせれば、当日朝の運転手確保ができなかったため、臨時に理事長(兼園長)が代行せざるを得なかったということだが、逆に園側の最高責任者が担当するのだから、守るべき業務について知らなかったという言い訳は通用しない。

結局、職務怠慢という、人間的要素が原因である。
守らなくても実害がなかったという経験があると、どんどん手順が(勝手に)省略されていくのは人間が本来持っている、”習熟”というシステム2のシステム1化(自動化)の性向による(上層部からしてこの態度であれば、職場全体がそうなる)

この性向は人間行動の根源的要素であるため(誰に対しても例外なく作動する)、これに抵抗する(馴れても省略させない)には、強制的なシステムが必要である。
※:なので他人事ではなく、我が身に置き換えてみるべき。
もちろん法的義務化がその第一歩だが、この力は現場では強制力としては必ずしも作動しない。

アメリカのスクールバスでは、生徒が降りた後、バス内にアラーム音がなり、運転手がバス最後尾のスイッチを押しに行かないと止まらない仕組みにしているという。
すなわち強制的にバスの座席を往復で視認(視野の中に入る)をさせる、メカニックに搭載されたシステムだ。

このように法的にではなく、行動的に強制するシステムでないと、人間はいとも簡単にスルーしてしまう(この発想には行動科学が必要で、学問が社会と連携している羨ましい実例だ)。

すなわち、ダブルチェックなどの現場で省略できる行動を”法的に”強化するだけでは、再発を防げない。
②のように行動そのものが省略可能な場合はもとより、③のように情報入力レベルの行動でも、組織的に省略可能である(ことが実証されてしまった)。

もっともここのように箍(たが)が緩んでいる所は、アラーム装置を解除してしまう可能性すらありそうだが。


山と川の怖さ

2022年08月12日 | 防災・安全

夏休みもたけなわ(”酣”って書くらしい)の昨今、山や川での事故のニュースが絶えない。

山の事故は滑落と疲労(筋肉が麻痺して一歩も歩けなくなる)※、川の事故は川遊びでの溺れが多い。
※:その他に”道迷い”もあるが、 GPS必携の今、それは恥ずかしい愚挙。現在位置を確認しながら歩かない人は山に入るべからず。

山では位置エネルギーが高くなっていて、ちょっとした転倒でも(制御できない運動エネルギーに転換して)加速度がついて滑落し、転がりながら岩角に体をぶつける。
そもそも山の中は人間が普通に生活できる環境ではない。

川はプールと違って水圧が強く、水温も低く、水深と水流の変化が非連続で予測しづらい。
川の中でバランスを崩して転倒すると、水圧と水深によって水中で転がされ、起き上がれずにそのまま溺れる。

私は本ブログで山を「異界」としているが、死の危険度が格段に増大する異空間という意味での異界でもある。
同じ意味で川も異界だ。

むき出しの自然がもつ圧倒的パワーに接することは、衝撃に弱い生物にとっては死の危険を意味する。
”人知を超えたパワー”って何も宗教世界の話ではなく、山や川で体験できるのだ(だから神道では山や川を拝む神社がある)。
しかもこれら異界は安全な空間の延長上にあるので、安易な気持ちで入り込んでしまう。

なので異界に入るには充分な準備・装備と覚悟が必要。
むき出しの自然に入り込む真のアウトドアは、万人に勧められるものではない。
覚悟のない人(と家族)は、安易に”異界”には入り込まず、設備のあるキャンプ場か指定された海水浴場で満足してほしい(今時分の富士山も人が多すぎ)。

私は、高尾山の山頂の茶屋で売っているビールを飲まない(喉から手が出るが)。
高尾山といえども、下山は転倒・滑落の危険が高いからで、それを酔った状態でやるのは、飲酒運転に等しい暴挙に思えてならないから(ビールは下山後までお預け)
同様に、河原のバーベキューで、酔った勢いで川に入るのも暴挙。

自然に対しては、”災害”でなくても、「正しく怖がる」ことが必要。
「正しく」とは正しい知識と行動による。
安全な人間界で育った人間は、無知の状態で自然界に入ってはならない。


大雨で電車の足止めをくらう

2022年07月12日 | 防災・安全

本日は午後から定例会議があるので、浜名湖の宿を10時に出て、電車を乗り継いで帰ると、ギリギリになる。
なので、ローカルな天竜浜名湖鉄道の一本前の1時間以上前の便に乗り、余裕で会議に間に合うはずだった。

浜名湖付近は小雨で、豊橋も傘がいらない程度。
てっきり順調に名古屋に行けると思っていた。

ところが、豊橋に着くと、東海道線はこの先、大雨のため運転見合わせとのこと。
それならと名鉄線(東海道線と同じく豊橋〜名古屋を結ぶ)にむかうが、こちらもたった今運転見合わせ。

スマホで雨雲レーダーを見ると、名古屋の手前、安城付近に強いエコーが二つ、それぞれ東海道線と名鉄線にかかっている。
ただ東海道線側の蒲郡〜幸田町の方がそれより北東寄りの名鉄線側よりエコーが濃い。
なので、名鉄線を選ぶが、電車はいっこうに来ない。
一方、東海道線の方は岐阜行きがときたま客を乗せて出発する(さらに新幹線はまったく通常運転)。
 東海道線にすればよかったかと思うが、こちらは特急だし、あちらは蒲郡から先には行けそうもないはず。

結局、1時間以上遅れて豊橋を出発。
それでも雨が一番強い所でしばらく停車。
特急列車なので、途中駅で先に行けずに止っていた鈍行からの乗換え客が詰め込んでくる。

やっと名古屋に着いたが、1時間早く宿を出た効果はまったくなく(1時間遅く出ても乗った電車は同じ)、会議に遅れるのは確実なので、事務室に会議に遅れる旨電話した。
実は、私担当の報告事項があるのだ。

会議室に入ったのは開始後40分だったが、私が担当する報告事項には間に合った。

夜、ニュース映像を見ると、あの時間、名鉄線の線路が冠水していた。
強いエコーの下というより、冠水しやすい低地の走行がネックなわけだ。


地震の”縦揺れ”と”縦波”は別物

2022年03月18日 | 防災・安全

今回の地震の話題で、ラジオの某有名なキャスターが、地震での”縦揺れ”と地震波の”縦波”を混同(同一視)して解説していた。

確かに混同しやすいが、間違った情報を世に広めてもらっては困るので、ここで訂正をしておきたい。

縦揺れ/横揺れは、人間が立っている地点での地面の揺れの方向の話で、垂直軸での揺れが”縦揺れ”で、水平軸での揺れが”横揺れ”であることは問題ない。

一方、縦波/横波は、地震波の進行方向に対する区分けで、体感的な揺れの方向の話ではない。
縦波は、地震波の進行方向に、いわば前後(≠上下)に揺れる波で、だから波の進行速度が速いのでP(プライマリー)波と言われ、観測点にまっさきに到達する。
ただ地面を揺らす力は弱く、体感されずに、緊急地震速報として通知されてはじめてわかる程度。

一方横波は、地震波の進行方向に直角に揺れる波(地震計が左右にぶれる波)で、こちらは地面を揺らす波で、そのかわりP波より遅く、S(セカンダリー)波と言われる。

つまり、縦揺れ・横揺れと、縦波・横波とは定義が全く異なる別の現象(防災士の教材に載っている)。

ということは、われわれが感じる地面の揺れは、縦波ではなく横波に限った話。

次に、横波による縦揺れ(上下動)と横揺れ(左右動)の話に移る。

震央(震源の地上)では、たとえば今回のような逆断層型※(押す力による破壊)の地震なら、下から突き上げる”縦揺れ”から始まるが、震源から離れて水平方向から地震が来るところでは”横揺れ”がメインとなってもおかしくない(高層ビルが左右に揺れる)。
※:地震は地下の断層活動で、正断層・逆断層は鉛直のズレ、横ずれ断層は水平のズレを発生される。

たとえば海の波(=進行波)では、目に見える上下動の波が縦揺れで、その波を進行させる潮流が横揺れに相当する(もう縦波・横波の話ではないからね)。
足がつく海水浴場で、やってくる波を受けると、上下動とともに進行方向へ押す動きの両方の力(揺れ)を感じるはず。
このように震央以外の水平方向から伝わってくる地震の揺れは、縦揺れと横揺れが混ざった力であるから、「今のは縦揺れだった」とかいう住民のコメントは、主観的印象(どちらに敏感か)にすぎないので、私は聞き流す事にしている。
どちらの要素が強かったかは、地面の亀裂や段差、理想的には鉛直動と水平動を別個に計測する地震計などの客観的証拠が必要だ。


地震:東京宅の影響

2022年03月17日 | 防災・安全

昨晩起きた福島沖の M7.3の地震。
※兵庫県南部地震(阪神淡路)、熊本地震と同じエネルギー。

その時私は名古屋宅にいて、寝床について福島第1原発事故を扱った映画「FUKUSHIMA 50」をノートパソコン画面で観ていた。

最初は小さい揺れであれっと思い、次に部屋干しの服があきらかに揺れ動くのを見た。
タブレットの地震速報がたて続けに通知をよこしてくる。
テレビのNHKをつけると、宮城・福島で震度6強の地震という。
そして走行中の東北新幹線が脱線したという(時速200kmを超える列車が震度6強の地震の直撃を受けても脱線ですむ(負傷者0)のは、かえって信頼感が増す。中越地震の時の上越新幹線も脱線で済んだし)

名古屋宅では震度2程度の揺れだったが、自宅のある東京では震度4に達しているようだ。
震度4は、かなりの揺れを感じ、棚の上の物が落ちたりするが、負傷者が出るほどではない。
また、東京で広範囲に停電が発生しているようで、ネットで検索すると文京区でもかなりの停電戸数の模様。
といっても安否を確認するほどでもないし、どうせ明日帰京するので電話はしなかった。

翌日の今日、青春18きっぷで6時間かけて帰京し、母に地震の様子を尋ねた。
地震の時は、母は入浴しようと浴槽に片足を入れたところだったという。
そしてすぐに停電になったという。
ただし、浴室は危険がないので、なんと暗闇で湯が揺れる中入浴を続けたとのこと。

近所も停電で、外は真っ暗になり、たぶん交差点の信号も停電していたろう。
ただし電気は2時すぎに復旧したという。

同居している弟一家の居間がある3階では、オーブントースターが床に落ちてガラス面が破損したという。

あと家には身障者用のエレベータがあるのだが、復旧には点検が必要なので、翌日昼まで使えなかったとのこと。
まさに停電するとエレベータの復旧に手間がかかるようで、近所のマンションの高層階の住民も不便をきたしたようだ。

自分の部屋では、もともと安定の悪かった仏像フィギュア1体が飾っていた本棚から床に落ちていて、他にいくつかのフィギュアが棚の位置を移動していた。

このように地震の被害はなくても停電は発生する。
夜の停電で困るのは明かりだ。
さっそく防災用照明の充電をしなおした。


大阪のビル火災に思う

2021年12月17日 | 防災・安全

24人が死亡した大阪のビル火災は、放火によるものらしいが、フロアの構造が被害を大きくしたといえる。

消防法には違反していないようだが、エレベータと非常階段が入口に隣接しているため、避難路の鉄則である”二方向避難”ができない造りになっている。
これは致命的問題(私は1秒でも居たくない)。
入口が火元になったら、内部の人は逃げ場がないので、絶望的だ(実際、そうなった)。
窓も道路面にしかないので奥にいる人たちは避難に使えない。

こういう危険な構造は、現在の消防法が適用されない古い雑居ビルに多い。
しかも密集地にあるため、設置義務の非常階段も不合理な位置になる。

ビル火災は、火元フロアだけでなく、それより階上のフロアもすべて生き地獄となるのが恐ろしい。
なので自分の経験しうる致命的状況の筆頭は”ビル火災”なので、基本的警戒対象としている。

こういう危険きわまりない建物での防御策は、(スプリンクラーの設置義務もないので)消火器での初期消火しかない(通常の消火器でガソリン出火を消せる)
そのためには、客であっても消火器の場所の確認とその操作(簡単)に慣れていること。
消火器は使用経験がないと、いざという時選択肢に入りにくい(システム1の限界)。
消火器は、①出っ張っている安全弁を引き抜いて、②片手でホースの先を火元(≠炎)に向けて、③他の手でレバーを握る、の3動作で使える。

それといかに不合理な位置にあろうと、非常口の場所を頭にたたきこんでおく。
近くにいれば、煙の中をくぐってでも逃げることができる。

フロアでの避難は、直立せずに屈んで(四つんばいで)行動する。
そうしないとまっさきに一酸化炭素中毒になる(煙は上昇するので、天井から充満し、床面にきれいな空気が残るため)。
避難路に行けなくても、窓などの風上は一酸化炭素の濃度が一番薄い場所なので、そこを目指す(今回の死者は、風下にいた人たち)。

待合室での暇つぶしに、まずは消火と避難の脳内シミュレーションをやっておくとよい。
脳内に入れておけば、いざという時、半ば自動的に行動できる。


街中で背中を刺されない方法

2021年10月16日 | 防災・安全

なぜか、全国で刃物による殺傷事件が続いている。

特に通り魔に遭うと、警戒する暇がなく、防御のしようがない。

けんかによる場合でないと、まず無防備な背中をやられる。

これを防ぐには、私の日常スタイルのようにリュックを背負うしかない。
リュックの中に硬いノートパソコンを入れていれば完璧。

リュックを、電車に乗る時のように胸側にもっていけば、前からの攻撃にも防御できる。

刃物を持っている相手には、長く硬い棒を持っていない限りは応戦しないこと。
相手との間合いを充分に開けておくしかない。

普通、背中を見せて逃げるのは危険なのだが(熊に対しても)、リュックを背負っているなら大丈夫(熊の場合は引きずり倒されるかも)。

もちろんリュックには荷物を入れておく(食べ物を入れておくと、熊から逃げられる)。


首都圏で震度5強の地震

2021年10月08日 | 防災・安全

昨晩、名古屋宅で、タブレットの緊急地震速報がけたたましく鳴った(アプリはPREP)。
見ると、千葉で強い地震が起きるという(緊急地震速報が反応するのは震度5弱以上)。

するとテレビでも首都圏に震度5強の地震が発生という速報。

テレビスタジオで揺れている最中のようで、ニュースキャスターがテーブルに両手をついて立ち上がっている。

その間、名古屋宅では、揺れを感じないが、天井にある電灯の紐がかすかに揺れている(震度1)。

テレビで首都圏の揺れが収まったのを見計らって、東京の実家(文京区)に電話をかけた。
回線は混んでいないようだ。

まもなく、母が出て言うには、揺れは大きかったが短く、室内の液晶テレビが揺れ、仏壇の扉が開いたが、物の落下などの物的被害は発生していないという。

テレビの速報では、東京の最大震度は5強となっているが、どうやら足立区あたりに限定されているようで、実家の状況では震度4といえる。

震源地は、千葉県の東京湾側で、首都直下型地震の想定震源域に近いと思ったが、鉛直的にはかなり深く、関連はないようだ。

ちなみに、建築の耐震性が進んだ日本では、震度5強では建物被害はほとんど発生しない(ただし10年前の3.11の時の東京も震度5強だったが、古い建物の内部崩壊などで死者3名を出した)。
停電等のインフラは若干混乱するだろうが、深刻な被害はないようだ。
あとは、この程度の揺れであわてて逃げようとする人が転倒して怪我をするのだが、今回もそれは発生した。
揺れの最中に動くことの方が、バランスを崩しやすく危険だ。
揺れの最中は頭を守ることに専念し、避難行動や消火は揺れが収まってからで間に合う。

追記:翌日帰宅して、自分の部屋を確認したら、棚に飾ってある仏像フィギュアの風神が床に落ちていて、あと多聞天迦楼羅が倒れていた(いずれもバランスが悪い)。
あと体の向きだけが変ったのが数体。
向きが変るというのは水平面での円運動だから、今回の地震はそういう揺れ方をしたのかな。


自宅の災害危険度の事前確認:地震災害編

2021年08月18日 | 防災・安全

ここ2ヶ月の土砂災害(伊豆山、岡谷)でも分る通り、災害危険度は地域どころか家ごとに異なる。
したがって地域内を一緒くたにした自治体の防災には限界があり、最終的には各家ごとに”独自に”対策を立てる必要がある。
それが防災において言われる”自助”である。

当然、避難判断の基準も家ごとに異なる(自治体から「避難指示」が出ても、あなたの家は安全かもしれない)。
家族の命にかかわる一大事を他人任せにすべきではない。
そこでまずは災害危険度について自宅をチェックしてみよう。

自宅の災害危険度の事前確認について、目下のところ参照してほしい「気象災害編」はすでに記した。

ここでは1年間後回しになっていた地震災害について述べておく(本番が来る前に)。


●まず、地域レベルの災害危険度の把握として、「地震ハザードマップ」(居住自治体のサイトにリンクがある)で自宅周辺を確認する。
これは地盤(地質)の強弱による揺れの違いが表現されている。
あとネットの「地震ハザードカルテ」を利用して、自宅付近の地震被害の可能性も確認しておくとよいかも。


●次にそのカルテでも表現される地形に注目する。
地盤の強弱は地形で表現されるので、目で分らない地質よりも、一目で分る地形をチェックするとよい。
特に地盤が軟弱なのは、河川流域の平地(氾濫原)と河口の三角州(埋立地)で、揺れが大きいだけでなく液状化の危険もある。
液状化については、「液状化ハザードマップ」があればそれも確認する。
すると、川・海沿い以外の軟弱地盤も確認できる。
内陸にある沼沢地(しょうたくち)だ。 
沼沢地は埋立てて宅地開発されると見た目では分かりにくいが、地形的には窪地になっていて、地面の傾斜はもちろん、古い地名(○沼、○久保、大久手など)でも確認できる(地名は意図的に改変・統合されるため、古い地図で確認するとよい)。
その例→記事「武蔵小杉は沼地だった」


逆に地盤が固いのは山地だが、山地は土砂災害が発生する。
土砂災害は地震でも気象災害でもどちらでも発生するから一番注意が必要。
家の周囲の地形としては、周囲に崖などの「急傾斜地崩壊危険箇所」がないかを確認(↓のお勧めサイトから確認できる)。

海に近い所では、液状化以上に津波が怖い。
もちろん自治体サイトの「津波ハザードマップ」で確認(海無し県にはない)。
津波は純粋に標高で運命が分かれる。
海岸から離れていても標高が低いと津波が届く。
そういう場所では、避難先として高いビルが頼りだ。
以上は地域レベルのチェックで、地盤の強弱、液状化、土砂災害、津波の危険性を確認しておく。

お勧めサイト→国交省の「ハザードマップポータルサイト


●次にいよいよ自宅をチェックしよう。
まず建築年月がものをいう。
1981年6月以降に建てられた家は「震度7でも倒壊は免れる」が、5月以前に建てられた家は、震度6で倒壊するかも。
この境目で建築基準法の耐震基準が厳しい方向に改訂されたためだ。
実際、家の建築年代によって被害が異なることは熊本地震でも確認されている。

それに加えて、家屋構造でも耐震性は異なる。
たとえば、一階が駐車スペースなどの柱だけのピロティ構造になっている家は弱い。
また屋内に2階まで届く吹き抜けがあったり、一階に人が出入りできる大きな窓や開口部があると弱い。
逆にいえば、窓が小さく壁が多い家は強い。
ツーバイフォー工法は強い(なので地震保険料も安い)。
瓦屋根は弱い(屋根瓦は気象防災用で、地震には逆効果なので、江戸時代には使用を禁止した藩もあった)。
地上階が地震のエネルギーを直接受けるから、建築物は下層がしっかりして上層が軽い構造がベスト。
逆に下層がスカスカで上層が重いと倒壊しやすい。
以上をもとに家全体の揺れに対する強さを評価。

さらに室内で家具が倒れやすいかもチェック。
補強工事をすればなんとかなるが、箪笥や本棚の収納は、下に重く上に軽くして重心を下げること。
仮に倒れても、就寝中の頭を守れる位置であること。
以上で各室内の危険度をチェックすれば、地震が来たら、そこから逃げた方がいい空間と、そこに逃げた方がいい空間が分る。


避難は、地震の場合、事後となるが、まず津波襲来の危険の有無が避難のタイミングを左右する。
タイミングは大雨の最中の気象災害よりも難しくないはずだが、東日本大震災の死者の9割が、地震の30分後に来た津波によることを考えると、余裕がありすぎるのもかえって怖い。
津波の危険がなく、家が頑丈で倒壊の危険がなくても、ライフラインの破壊や火災の延焼などで避難した方がいい場合がある。

避難場所への避難路を事前に確認しておく。
当然ながら避難路は距離の短さでなく、安全性で選ぶ。
まず避難路は海から離れていること(高台を経由する)。

木造家屋が密集している所は、火災が発生する虞(おそれ)があるので避ける。
道沿いに古いブロック塀や瓦屋根、崩れそうな「急傾斜地崩壊危険箇所」がないこと。
以上の判断基準は気象災害と異なる。
ということは、避難先が同じ場所でも、気象災害(大雨の最中)と地震災害(事後で余震と二次災害が発生)とでは危険要因が異なるため、安全な避難ルートも異なることになる。
すなわち2通りの避難路を実地によって確定しておく。

以上、読者のみなさんは、これを読んで終りにせず、上の確認を実行してほしい。


電車内で刃物を振りかざす者への対処法

2021年08月07日 | 防災・安全

6日の小田急線内での不特定・大量の殺意をもった刃傷沙汰は、心肝寒からしめる事件だ。
しかもわれわれ一般乗客は防御できる物を持ち合わせていない。

この手の事件は、数年に一度起きている→刃渡り30cmのナタを持っている男と対峙したら
また私自身が、2015年に新幹線車内での放火事件に遭遇した→新幹線放火事件に遭遇

そこで、それらを総合して、今回の対策を考えてみたい。
そうするのは、冷静な時にシステム2できちんと考えて、頭に入れておき、いざという時、システム1で反射的に行動できるようにしておくためだ。

われわれの携行品では対処できないので、そこに在る物を活用しよう。
消火器である。

消火器は、電車内はもちろん、集合住宅の廊下にもある(都内区部なら街角にもある)。

消火器を相手の顔めがけて噴霧する。
相手の目と呼吸を機能不全にするのだ。
また低温なので、運動能力も阻害する。
それが離れた(安全な)距離でできるからいい。

公共機関にある消火器は中型なので、それなりの噴霧量(時間)があり、効果を期待できる。
その間に他の人たちを避難させ、またできたら別の場所から次の消火器を持ってこさせる。

消火器は頑丈な金属製なので、噴霧が終っても、刃物からの防御、あるいは反撃に使える(刃物男に反撃は控えるべき)。

ということなので、公共機関では消火器の場所を確認し、使い方も理解しておこう。
使い方は簡単で、①刺さっている安全弁を抜き、②片手でホースを相手に向けて、③他の手でレバーを上下に握って噴霧する(すなわち両手を使う)。

今回の犯人は、車内の放火も画策していようなので、まさに消火器での対応がベスト。
私が遭遇した新幹線放火事件でも、ガソリンでの火災を運転手が消火器で鎮火させた。


土砂災害で生死を分けるポイント

2021年07月08日 | 防災・安全

熱海市伊豆山での土石流災害は、人災的要因が明らかになってきた。
ただ、それを含めて、この災害の危険性は、日本各地に散在している。
しかも、梅雨末期の今が、最も危険な時だ。

そこで、原因はどうあれ、土砂崩れのパワー(”山津波”といわれ、雪崩に相当する)の直撃を受けた時点での、生死を分ける最後の分岐点について、頭にたたき込んでほしいことがある。

事前の戸外への避難(水平避難)のタイミングを逸して、家にいて土砂災害に直撃された場合の話だ。
生死を分ける最後の行動は、「垂直避難」にかかっている。

1階ではなく、2階以上に逃げること。
今回も、同じ家にいて、これが(家族の間での)生死を分けた。

さらに、同じ2階以上でも山側でない空間に移ること。
こうすれば、たとえ家が破壊されても、その空間は土砂の表面を流れて(内部に巻込まれず)、助かる可能性が高くなる。

ただし、最後の手段である家内の垂直避難の方向は、必ずしも”階上”とは限らない。
それは災害の種類によって異なるのだ。
これらも含めて頭にたたき込んでおいてほしい。
自宅内の避難先:例題


熱海市伊豆山での土砂災害:動画リンク

2021年07月03日 | 防災・安全

本日3日(土)、「安全学」という防災の授業の最終回を遠隔で担当した。
そのさなか(後で知った)、静岡県熱海市伊豆山(いずさん)で、すさまじい土砂災害が発生した(20名ほどが安否不明)。
毎年、梅雨末期と台風上陸時には死者が出る災害が発生しているが、今年も例外ではなかったか。

現場住民による投稿動画をリンクする(リンクはじきに切れる)。
目の前で車や家が土石流に呑み込まれていく。
これが住宅地を襲う土石流のリアルな姿だ。
動画1走湯山般若院付近
動画2:1の別アングル(赤いビルの裏から)  
動画3:下流のコマツ屋製麺所付近の別の土石流(音声なし)

伊豆山は(地名に反して顕著な山ではなく、むしろ谷)、箱根火山外郭の岩戸山(734m)山麓の斜面上ながら温泉(=地下水)も湧出する所で(元は修験道の拠点)、熱海駅から路線バスもあり、それなりに住宅や宿が集まっている。
そしてその中央に、「土石流危険渓流」(右図のオレンジの帯)が流れていて、まさにこの渓(たに)が流路となって今回の土石流が流れた。
※:アプリ「スーパー地形」からコピー
動画1・2と3は同じ「渓流」のもの(右図の中央にある左上→右下の帯)。
今日だけでも土石流は繰り返して発生している。

そしてこの「渓流」沿いに道路が走っているので、土石流は道路上を流れた(車と遭遇)。
しかもその「渓流」内になんと住宅などの建物もある。
だから住宅が破壊されて被害者が出た。

なんでこんな危険な所に住むのか、と訝(いぶか)しむなかれ。
日本の75%は山地で、25%しかない平野の居住者以外の日本国中の人たちは、このような”土砂災害危険箇所”※に居を構えなくてはならないのだ。

※:「土砂災害危険箇所」として土石流危険渓流・地すべり危険箇所・急傾斜地崩壊危険箇所のいずれかに指定されていた所は、現在、表現がより穏やかな(危機感がゆるい)「土砂災害警戒区域」に置き換えられつつある。

もちろん(上の”区域”は公開されており)住民はそれを承知の上で居住しているはずなので、今回のような総雨量が多い雨の時は、まずは土石流・地滑りの警戒(=避難の一択)を最優先すべきだった(総雨量は多くない短時間強雨の場合は、土石流ではなく崖崩れに警戒)。

言い換えれば、災害リスクの観点から「私だったら、ここには住まない」と判断せざるをえない居住地は、日本のあちこち(都内も含む)に存在する。

関連記事☞土砂災害こそ怖い

やや関連記事☞武蔵小杉は沼地だった

7月4日 追記:地質図や土地条件図で調べてみたら、”伊豆山”地区である舌状の谷全体は、土石流によって形成された扇状地で、この地は本来的に土石流の通路だったことがわかる
だから、もしこの谷に人工の手を加えるなら、当然治山事業であるべきだが、現実には、流路となる谷は宅地開発で人が住み、そして土石流の川の源頭には産廃場があり、周囲には
メガソーラーなどが造られ、産廃場は残土(土石流の材料)の捨て場(盛土)となっていた。
結果的に、人の手によって土石流災害の発生を促進していたのだ。
今回の長雨自体が記録的だったが、それに加えてこの盛土が土石流を起こしやすくしていた(複数ある「渓流」の中で、この渓流だけに土石流が発生した理由)。

災害被害は、自然的要因と人的要因の相互作用で発生することが如実に示された。


ハンドルを取られても歩行者を轢かない方法

2021年06月29日 | 防災・安全

千葉県八街(やちまた)市で、下校中の児童たちにトラックが突っ込むという痛ましい事故が発生した。
事故を招いた要因として、通学路としての道路管理の問題(数年前にも事故が起きている)も運転手の飲酒(本人だけでなく雇っている会社レベル)の問題もあるが、直接原因そのものが避けられたのではないかと思う。

すなわち、運転行動そのもの。
言い換えれば、この事故は飲酒していなくても、ドライバーの行動特性からみて起りうる事故だ。

直接原因は、ドライバーのハンドル操作を中心とする運転行動にあった。
つまり、走行中、右側から人影が出てきたと思ったので(客観的には確認されていない)、左にハンドルを切ったら、道路脇の電柱に衝突し、そのまま突進して、小学生たちの列につっこんだ。

一般にドライバーは、急に車の進行方向がずれた時、そのずれを回復するために、ハンドル操作に専念する。
これはドライバーなら誰でもそうする。

だが、そういう突発事では頭が真っ白になってしまうため、ハンドル操作がスムースにいかず、方向のずれは回復するどころか拡大して、道路脇に突っ込む。

これは、私自身が、かつて信号のない交差点で、右から直進してきた車(一時停止違反)と衝突して、道路左のガードレールにぶつかった時に経験している。

すなわち、進行方向が思わずずれた時、まずはハンドル操作でそれを回復しようとするのは、人の行動として自然だ。
だが車は制御を失って、結果的に道路脇につっこむ(右直事故での死亡事故の例)。

ハンドル操作による回復の試みはドライバーとしては自然な努力なのだが、
それでなんで車の進行方向を制御できないか、冷静に考えてほしい。

一番の理由は、車が速度を出しているからだ(慣性の力の方向に動く)。

ハンドル操作を思い通りにするには、車の速度(慣性の力)を落とすほどよく、停止すればハンドル操作自体が不要になる。

今回のトラックは、電柱にぶつかった後、子どもたちの列に達するまで距離が40mあった。
その間、ブレーキを踏んでいれば、こんな結果にならなかった。

もっとも既述したように、ドライバーの行動特性として、これは意外に難しい。

だからこそ、すべてのドライバーは、走行に異常が起きたらまずは停止
ハンドルよりもブレーキ
これを心に刻みたい。
刻んでおかないと、すぐに行動に移せないから。
そうすれば、今回だけでなく、2019年の滋賀での右直事故での園児たちも犠牲にならずにすんだ。→右直事故に巻込まれないために


山手線停電事故に思う

2021年06月22日 | 防災・安全

20日の日曜、あの山手線が停電事故に遭い、運行中の車両が一斉に数時間もの間、停まってしまった(数時間前に山手線を利用)。
駅の間で停まった車両では、乗客は1時間以上も停電した車内に閉じこめられた。
都心の山手線だけに線路脇のスペースもなく、できるだけ線路の上を歩かせないための措置だったのだろう。

こういう思ってもみない乗物アクシデントに備えて、私はできるだけ乗る前にトイレを済ませるよう心がけている。
山手線の場合、乗っている時間が短いので、乗る駅ではなく、降りる駅のトイレでいいや、と思うこともしばしば。
だが、こういうアクシデントに遭遇したら、どうなるだろう。
山手線の車両にトイレはないのだ。

なにも公共交通機関だけではない。
エレベータやジェットコースター・観覧車においても同様の対応を心がける。
心がけるというのは、乗る前には必ずトイレに行くわけではないため。
それほど”近くない”時は、降りてからでいいやと思うこともしばしば。
だが、その油断がこわい気がする。
今回のアクシデントで、あらためて油断禁物を心に誓った。


なぜ人は川で沈むのか

2021年04月11日 | 防災・安全

東京、荒川の支流の新河岸川で、7日に小学生が溺死し、さらに助けようと川に入った成人男性のうち一人が溺れて行方不明となり、11日に3km下流で水死体となって発見された。

水の事故は、海やプールでも発生するが、海よりも身近で危険なのは川だ。

私は川歩きが好きなので、よくかわるが、子ども、とりわけ小学校の男子は川遊びが大好き。
なのでまずは彼らの中から犠牲者が出やすい。
そして近くにいた大人がそれを助けようとして、次の犠牲者になる。

川は、超絶的に広大な海と違って、人間の生活圏に入りこめる大きさなので、その危険性が過小評価されるきらいがある。
川に入ろうとするなら、川固有の危険性をきちんと認識してほしい。
ただその危険性が目に見えないからやっかいだ(海のような見ただけで圧倒されるパワーを感じない)。

当然ながら、川は水流が強い。
下流方向への力が常に作用している(これは目に見える)。
1立方メートルの水(1000ℓ)は1000kg=1tの重さがあるから、幅と深さが1m以上ある川は、1t以上の重い力が絶え間なくかかっている(新河岸川は水深2m)。
まずはこの力で人は川に引き込まれる。

その方向が水平方向だけなら、下流に流されるだけだが、現実はそうではない。
川は深さがあり、その深みにも人は引き込まれる。
それは重力(自重)だけによるのではない。
川の水には鉛直循環があり、下降流による沈む力が作用する。
なぜなら、川底の方が流速が遅い(凹凸があり、低温で重い)から。
川は自らの力で人を呑み込むのだ。

人は水中では、身体を水平にして重力に抗する下から上に向う力(浮力)を多く受けて浮くことができる。
だが、服を着て水分が増えて重くなると、浮力は、沈む力(重力+下降流)に抗えなくなる。
すなわち水平姿勢になること自体が難しくなり、さらに垂直になってしまうと、受ける浮力が最小になり、下降流の流れにハマってしまう。
人が岸から川に入る場合、最初は垂直姿勢が多いので、そのまま下に引っ張られて沈んでしまう。
今回、助けに入った男性も、目撃者によると、立ったまま沈んでいったという。

その男性は浮いた遺体で発見されたが、浮いてこれずに川底で発見される場合も多い※。
※淀んでいる所は流速の鉛直差もなくなるので、遺体も水平に伸びて浮力を得やすい。

川は、流れのないプールや濃い塩分によって浮力が効く海とは異なる、
人を呑み込もうと、いつも口を開け続けている、蟻地獄のような恐ろしい水環境である。
ちなみに、太平洋横断に向う辛坊治郎氏によれば、海でもヨットから落水すれば命はないという。
 大量の水環境の恐ろしさは、津波や洪水被害者たちも身にしみている。

関連記事☞に沈まない方法