今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

地震に強い建物・弱い建物

2024年01月15日 | 防災・安全

能登半島地震で、ビルや観光施設が軒並み倒れた中、能登町の縄文遺跡に復元された竪穴式住居が無傷だったことが話題となっている。

確かに竪穴式住居は、断面が末広がりの三角形のため、接地面が広くて、屋根部分が上に行くほど狭くなり、重心が低くなって構造的に倒壊しにくい。
また屋根部分は分厚いが素材的に軽いため、たとえ倒壊しても、中の人が押しつぶされることがない。
実際、江戸時代でも、震災のあった藩では、防災のため屋根瓦が禁止され、屋根は茅葺が指定されていた。
瓦屋根は雨などの気象対策であって(ただし強風には弱い)、地震に対してはレンガと同じく逆効果であることは江戸時代から既知だった。

こう見ると、確かに竪穴式住居は、地震に強い力学構造になっている。
茅葺の分厚い屋根は、夏は涼しく冬は暖かい。
もっとも、窓などの開口部がほとんどないので室内は暗く、視覚的居住性は良くないが。
それに対し、能登半島の民家は瓦屋根の家屋ばかり。

一方、輪島市で横倒しになったビルは、基礎部分の杭が抜けたことで倒れた。
その杭は地下の硬い層に打ち込んでビルの横揺れを防ぐものだが、その硬い層の上の柔らかい層が地震で液状化して、ビルを支えることができなくなってしまったのだ。
このような地層構造は、東京湾などの都市の湾岸部の埋立地も同じで、むしろ人工的に埋め立てた分、軟弱地盤の層が厚い(その分杭も長い)。
ということは、首都直下型地震は、そもそも震源地が東京湾なので、これら湾岸(ベイエリア)の埋めて地に立つ高層ビル群は、地下層の液状化によって皆この横倒しの危険がある。
※:いまだに関東大震災を起こした相模トラフの地震と混同している人がいる。50年以上前の古い知識が更新されていない。

私は、もともと防災の観点からベイエリアには住むことはもちろん、足を踏み入れることすら遠慮しているが、ますますその思いが強くなった。

すなわち、地震に弱い建物は、瓦屋根の多い地方(の過疎地)と海沿いに高層ビルの多い都市部の両方に分布していることになる。


機内がパニックにならなかった理由

2024年01月05日 | 防災・安全

2日に起きた羽田空港での衝突事故。

テレビをつけたら、事故直後の中継で、旅客機から煙が出ていて、消火作業を続けられている中、火はどんどん燃え広がり、機体全体が炎に包まれた。
その中継時点では、乗客の安否についての情報がなかったが、もし機内に取り残されていたら、焼死は免れない状態(1994年の中部国際空港での中華航空事故を思い出した)。
その後、乗客乗員が全員避難済みと知らされ、安堵の息をついた。

この奇跡的避難が、世界中に紹介され、避難を担当した CAたちが称賛された。

世界中の人たちが、疑問に思ったのは、なぜ機内がパニックに陥らなかったのか、ということ。
言い換えると、このような事態になると、人々はパニック状態になる(パニックは個人心理(パニクる)ではなく集団現象)ものと思われているから。

防災心理学では、パニックが発生する4条件が確認されている(私は大学の授業で紹介)。

①差し迫った危険が存在するという認識が人々の間にある
②脱出の可能性がある
③脱出路に制約があり、全員は避難できそうにない
④正常なコミュニケーションが欠けている

以上のうち4つが同時に満たされてるとパニックが発生する
※:①だけでパニックなるという思い込みは「パニック神話」とう誤った認識なのだが、為政者レベルがこの認識だと、パニックの発生を恐れて危険情報が提供されなくなる(福島原発事故時の政府による情報隠蔽)。
言い換えると、1つでも欠けると発生しない(にくい)。

今回の着陸後の機内は、
①窓の外の炎、そして機内の煙で成立。
②空港に着陸しているので成立(1985年、御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機ではこれが成立しなかったので、パニックは発生しなかった)
③航空機は使用できる出入り口が少なく、狭い。すなわち構造的に成立しやすい。

以上から、状況としてパニックが発生しやすい条件が3つ揃った。

そこで決め手のなるのが④。
④だけが、その場に居合わせた人々で制御できる条件なのだ。
すなわち、実際にパニックが発生するかどうかは、④で決まる。

CAはこの④についてトレーニングを受けている。
もちろん、 CAとて①の正確な状況は把握していなかったし、 CAと機長、 CA間のコミュニケーションが物理的に遮断されていた。
なので個々のCAの判断・行動に頼るしかない状況だった。
そして CAは独力で判断することができた( CA間での意思疎通も可能に)。
炎と煙という目の前の情報のみで対応を考え、開けるべき扉を選定し(これを間違えたら機内に炎が入り込む)、あとは訓練通り、大声で断定的に避難行動を乗客に指示した。
すなわち①の危険が高まる中、④を起こさせないことで、③の成立も回避し、②の可能性を最大限にした(結果、”①だけの状態”にもっていった)。

一方、乗客も、このような事態では、 CAの指示に従うのが最善であると理解しているので、皆指示に従った。
この乗客の秩序だった行動が他国では成立しにくいと、他国の人(例えば中国)自ら認めている。
実は、我々日本人は、義務教育時代に全員、学校で避難訓練を体験していて、こういう時は各自が慌てず走らず避難することが体に染み付いている(避難訓練は大学でも実施。会社員時代、会社でも実施していた)。

すなわち、(幼い子どもを除く)日本人全員が、適切な避難行動をマスターしているのだ。
全員避難成功という奇跡は、このような理由で実現した。


次の地震は”ここ”で起きる

2024年01月04日 | 防災・安全

日本で地震の危険がある場所は、「首都直下」と「南海トラフ」だけだと思っている人は、まさかいないと思うが、これらの地域以外の人は、自分の住む”ここ”では起きないとたかをくくっているのではないか。
そう思いたくなるほど、これら以外の地域の耐震化(耐震補強)が進んでいない(最優先すべき地震防災は家の耐震化)。
そして、そういう地域に限って地震に遭って、耐震性のない古いビルや重い瓦屋根の民家が倒壊する(1981年以降の耐震基準を満たしていれば震度7でも倒壊はしない。2000年以降なら尚更)。
※:この2つは地震想定域内では存在してはならないのだが、旅先でよく見かける。

熊本も、大地震の記録がなかったため、耐震基準そのものが緩め(すなわち震度7では倒壊するレベル)になっていた。
そこに震度7の地震が2回襲ってきた(記録がなくても活断層は複数走っていた)。
結果的に、耐震基準を緩くしたことで、被害を大きくしたことになる。

能登半島は、陸地にこそ活断層は見当たらないが、そもそも半島という地形の多くは海側が隆起してできたもの(房総半島、三浦半島も)。
なので海側に地面を隆起させるほどの活断層(逆断層)がある。

次の地震は”ここ”で起きると本気で思っている東京都や静岡県は、地震対策の手を休めない。
その結果、首都直下型地震での東京都の想定死者数は減少し続けている。

言い換えれば、”ここ”で起きると想定していない地域は、他人事なので、被害想定(=地域内のどこがどう危険かのチェック)すらしていない。

防災の第一歩は、災害を自分の問題として本気で受け止めること。
次の地震は自分の居る”ここ”で起きると思うことだ。

本記事タイトルの”ここ”はどこの地かと思ってこの記事を開いた人に、まずは心してほしい。


車の中に子どもを置き忘れない方法3

2023年09月11日 | 防災・安全

祖母が預かった2歳の孫を車に置き忘れて、孫が車内で死亡した事故。

この手の事故が一向になくならないなら、なお一層我々は再発防止を自覚すべきだ。

前回の記事(車の中に子どもを置き忘れない方法2)で説明した論理を使うと(前回の記事での提案はまだハードルが高そうなので、ここではさらにハードルを下げる)、

孫を預かったという非ルーティン的状況は、システム2を作動させ、普通なら頭(意識)から離れない。

ところが、運転中(運転はほとんどルーティン作業なのでシステム1に任せられる)、孫とは全く無関係の考え事(システム2)に耽ってしまった。

ミスでもいわゆるポカ的なミスは、システム1がやらかす。
それを補うために精巧な思考ができるシステム2が創発された。

システム2の意識集中がそれを可能にする。
だが、意識集中とは、集中対象以外を意識の外に置くことでもある。
運転中、考え事に集中している間、孫の存在が意識から消える。
それはシステム2の限界なので仕方ない。
そのままの状態で車を降りるとどうなるかは明らか。

逆にその過集中を補えるのが、知覚に依存するシステム1だ。
ただシステム1は、視野にないものは意識に入りにくい(傘を乗り物に忘れる場合)。

つまり、孫を置き忘れた原因となるのは、後部座席に座らせることで、通常の視野から外れ、さらに意識からも外れ、しかもその子が眠ることで音的にも存在感を出せなかった点だ。
ただし助手席より後部座席に配置することは交通安全上は望ましい。
また幼な子がすぐ眠ってしまうのは仕方ない。

「後部座席の幼児は眠る」、ということを前提にすると、
考えられる対策は、システム2でその子のことを思い続ける、
が理想だが、仕事に行く時は、どうしても仕事の事を考えてしまう。
とすると、システム2がその子を意識から外しても、車を降りるときに、その子の存在を思い出せる仕組みが必要となる。

それには、その子の存在を視野に入れるというシステム1的行動を取り入れる。
具体的には、①仕事の荷物を後部座席に置く、あるいは②その子の持ち物を助手席の自分の荷物と一緒に置く(重ねて置くとなおよい)。
すなわちその子の代わりとなる物を強制的に視野に入れる仕組みを作るのだ。
ポイントは、車を出てすぐに使う荷物に近接させること(雨天だったら傘と一緒でも)。
これなら、少なくとも車を出てからまもなく気づくことができる。

①②のうち、確実に忘れないのは、①荷物を後部座席に置く方だが、いつも助手席に置いているとこの行動が取りにくく、また子供が荷物をいじってしまう。
なので②子供の荷物(帽子でも靴でも)を助手席の自分の荷物と一緒に置く方が実行しやすい。

ちなみに、祖母に預けた親や保育施設からの確認の連絡は、ミスの多重防御(フェイル・セーフ)対策であって、もちろんそれも大切だが、ここで問題にするのは、あくまで直接原因の対策(フール・プルーフ)。


関東大震災の慰霊堂で知ったこと

2023年09月02日 | 防災・安全

関東大震災から100年目の震災記念日の翌日、墨田区にある東京都慰霊堂および復興記念館に行った(2011年にも訪れている→記事)。
関東大震災について学び、犠牲者を慰霊する唯一の場所だ(東京大空襲の犠牲者も)。

この地は国技館に近いこともあり「横綱町公園」となっているのだが、大正時代には「被服廠(ひふくしょう)跡」という広場になっていた。
そこに大地震で家を失った人々が集まり、当時は大八車に家財道具などを積んで避難したため、折からの強風で飛んできた火の粉がそれらの布や木材に着火し、この広場一帯が火の海となり、この一ヶ所で38000人もの焼死者を出した(一ヶ所での焼死者数では、信長が一向宗徒を柵で囲って焼き殺した20000人を上回る)
そこは数日後には遺体の焼き場になり、そして遺骨の埋葬場となった。
その跡地は公園を予定してたのだが、こういうわけで昭和5年に慰霊堂が園内に建てられた(写真)。
慰霊堂の建物は、前半部が寺院の本堂の形で、ここで慰霊祭が行われ、後半部が三重塔でここに遺骨が納められている。

慰霊堂では2日も午後三時に慰霊祭が開催され(本日の主催は都神社庁)、正午過ぎに着いたら、神官らしき服装の数人だけが、最前列で慰霊の準備をしている。
祭壇前のすでに用意されている献花には、秋篠宮、内閣総理大臣、東京都知事などの名前が記してある。
私も線香に火を灯し、鈴(リン)を鳴らして、合掌した(このように記念堂そのものは仏式)。

次に堂の斜向かいにある復興記念館に入る。
こちらも戦前の重厚な建造物で、中はひんやりしている。
2011年に訪れた時とは展示内容も異なって、新たな情報を得た。

最も驚いたのは、当時の被災風景の写真は、被害を大きく見せるために、火災の煙を合成していたということ(写真:展示写真を撮影)。
この震災だけでなく、当時は、こういう細工が平然と行なわれていたという。
私自身の関東大震災の風景として記憶の中にあった、被災した建物の背後に濛々と立つ煙(≒ジブリアニメ「風立ちぬ」の震災シーン)は、誇張だったのだ。
100年前からフェイクニュースが作られていたとは。

言い換えれば、震災の被害を正しく伝えることの重要性をあらためて感じた。
ならば実際の被害はもっと軽微だったのかというと、そうではない。
たとえば、一番の被害地である「被服廠跡」での焼死者の写真(最も悲惨な状況)は展示されていない(本の写真集で見た事がある)。
このため、ここの展示だけでは被服廠跡の惨事のイメージがわきにくい。
同館にある空襲の展示では、炭化した焼死体の写真があるのだが。

それと、この震災によって火災の延焼を食い止めたのが、上野公園などの並木や広場であったことが判明し、これによって広域避難場所としての公園が整備されることとなる(ただし燃えやすい物を持込んで避難しないこと)。

慰霊堂の横には、朝鮮人犠牲者追悼碑があって、昨日の震災記念日に慰霊祭が行なわれたようだ。
彼らもフェークニュースを信じた人たちによる犠牲者である(彼らを自警団から守った日本人たちもいた)。
ここでも合掌した。
最後に慰霊堂裏側の三重塔側にまわって、そこの閉じられた入口でも合掌した。

ここから安田庭園を抜けて、国技館入口を素通りし、総武線の線路をくぐった先の回向院(えこういん)に立ち寄る。
ここは、江戸時代に引き取り手のない横死者供養のために建てられた寺で、江戸の火災や海難者の供養碑に並んで、関東大震災の横死者90余名の墓があるのだ(写真:左のこちら側の碑。碑には人名が記されてない)。
もちろん、ここでも合掌した。
この寺は、その他に動物の供養も(江戸時代から)受け付けていて、ペットの集合墓地(霊廟)もある。
真新しい立派な愛猫供養碑の上では、生きているネコが体を伸ばして眠っていた。

かように関東大震災の供養なら、慰霊堂と回向院を廻るといい。

それにしても、これらを廻っただけで、汗びっしょり。
気候的には、まだ歩き回る時期ではない。


水に沈まない方法

2023年08月01日 | 防災・安全

8月を迎えて、水の事故が増える時期になった。

水の事故の多くは溺死なので、まずは溺れない方法を示そう。

頼もしいことに、人間は、本来的に、溺れずに浮くことができる。

水死体が浮くのがその証拠。

そう、水死体が浮く方法を教えている。

①体を仰向けに水平にすればいいのだ。

その理由を力学的に述べる。
ポイントは”浮力”。
浮力は、空気より遥かに密度の高い水中ならでは発生する、重力に抗して水の中で下から上に働く力。
この浮力によって、文字通り”浮く”ことができる。

逆に絶対に沈む姿勢は、垂直に立つこと。
垂直に立つと、浮力が作用する面が足の裏だけとなり、そこに重力(体重)が集中する。
すなわち、人体の単位面積でみると、重力が最大で浮力が最小になる姿勢。

水平に横たわると、下からの浮力が作用する面が最大となり、しかも重力はその広がった面に分散される。
なので、人体の単位面積で見ると、重力が最小で浮力が最大となる。
今仮りに、両足裏の面積が水平に横たわった人体面の1/10とすると、垂直姿勢から水平姿勢に変化することで、単位面積にかかる重力は1/10に減り、浮力は10倍になる。
その結果 人体では重力<浮力になるので、必ず”浮く”。

②さらに、浮力を増加する方法がある。
単なる水平姿勢ではなく、胸を反らせる(その分、頭部が下がるが心配不要)。

この姿勢によって胸郭が広がるため、肺に入る空気量が増える。
肺は、魚類の浮袋から進化したもの。
そう、肺は自前の”浮袋”になるのだ。
胸部が浮くことによって、そこに近い頭部下部(鼻と口)も水面に出る。
なので、単に浮くだけでなく、呼吸も自由にできるわけだ。

この姿勢をまずはプールで体現しよう。

この姿勢になるには、慌てずに、力を抜いてリラックスし、息を大きく吸うこと。
心理的に慌てると、筋肉が緊張して、もがいてしまい、この姿勢が取れなくなってしまうので、”慌てないこと”が何よりのコツとなる(自らいち早く水死体のようになってしまえ)。

このように”本来的には浮くんだ”ということを実感できたら、慌てずに済む。

③ただ、川で流された場合は、頭を先頭にしないことも重要(頭部が岩に激突する)。
人体の形状は、何もしないと頭が先頭になってしまう。
両手を舵がわりにして、思い切り開いて(岩を掴めるかも)、水平のまま方向を調整し、足を先頭にしよう。

④海の場合は波が大きいので、水平姿勢だと呼吸しにくい。
完全水平ではなく、手足を動かすことで(イカ泳ぎ)、沈み込みを防ぐ。
海は強い塩分のおかげで川より浮力が効く。

関連記事☞なぜ人は川で沈むのか


自然の力と接する覚悟

2023年07月22日 | 防災・安全

やっと梅雨明けを迎えたが、すでに痛ましい水の事故が続発している。

これらは災害によるものではなく、人間の方からあえて自然に接近(入り込んで)の結果だから、責めは人間側にある。

地球上の生物は本来、自然の中で生存している。
人間も自然の力と隣り合って生きている。

なので、隣の自然の力(恐ろしさ)をきちんと知ることが生存していく上で必須。

ところが、都市化されてむき出しの自然から隔離されて生活している人たちは、その生存知を身に付けないまま、隣の自然に入り込み、人間の命など一飲みの自然の力にさらされる(この失敗経験はやり直しが効かない)。

川だけでなく、高尾山いや富士山にもサンダルばきで登ろうとする人がいる始末。

川はプールの延長ではなく、山は公園の延長ではない。
すなわち、川で泳いではならない

こういう事故に対する最も安直な対策は、隔離をさらに強固にして、生存知を必要としない生活を強要することだが、これは生物本来の在り方から外れていく(人間を脆弱にする)。

きちんとした安全教育をした上で、自分の実力に相応した自然と接するようにしていくことが理想だ。
川・海・山での安全な遊び方を、遠足や林間・臨海学校などで教られないか(学校の先生では無理か)。

例えば、山に行くには、最低限、頑丈な靴と現在地を確認する地図は必須。
それに加えて、道迷いや天気急変を想定して、携帯照明や雨具・防寒具・非常食などを装備する(私は高尾山でもこれらを装備する)。
実際には、最低限の装備(靴・地図)すらない人が山に入ってくる。
遭難して当然といえないか。
山に行きたいなら、装備についての知識(生存知)がまずは必要ということ。

私は「沢登り」という、川の上流・源流部を遡行して山頂に達する登山形式も楽しんできたが、その場合、ヘルメットと苔むした石に乗っても滑らない履き物(草鞋)、それに身体を支えるロープを持参する。
滝つぼの深い釜などは、泳いで渡る。
実は源流部だからこそ、流れの中をじゃぶじゃぶ歩いて進める。

これが中流部だと、沢登りの対象から外れる。
水圧・水深が人間の力を超えているから。
舟で航行する領域だ。


車で避難する際の危険

2023年07月16日 | 防災・安全

梅雨末期の大雨によって九州だけでなく秋田でも死者が出た。
気象防災は、予測・実況の情報入手が可能(気象庁のキキクル)で、適切な対応をすれば、少なくとも人的被害は抑えられるはずなのに…。

今回、目についたのは、車による移動中の死亡。

たしかに、大都市でない地方だと、避難を含む人間の移動は車が前提となろう。

ならば、車での避難を前提とした避難タイミングルート選定を”事前”に確定しておかねばならない。

避難タイミングは、車での走行が不可能になる、「道路が冠水する前」となる。

なぜか。
冠水した道路だと、深さがわからないまま、進むことになる。
そして深みにはまって水深がマフラーを超えると、エンジンが停止する。
車が動かない状態で、さらに水深が深まると、タイヤに浮力が発生し、ハンドルが利かなくなる。
そうなると車は水流に無抵抗に流される。
水深がドアの半ばまで来ると、水圧でドアが開かなくなり、脱出不能となる。
車内に水がどっと浸入し、人を閉じこめたまま水没する。

タイミングは、避難ルートの道路状況との兼ね合いにもなる。

選定すべき避難ルートには、以下の危険箇所が無い事。
●小さな橋…橋ごと流される
●低地:田んぼがひろがる、河川近く…冠水して走行不能
●アンダーパス…突進して水没する
●崖沿い

多少遠回りになっても危険箇所を避ける事。
なので事前のルート選定(実地見学も)は必須。
どうしてもどれかの危険箇所を通らざるをえない場合は、自宅ではなく”その箇所が安全な時”が、避難タイミングとなる。
そして脱出用のハンマーを車内に備えておく。
割れれば車のガラスは粉々に散るので、すぐに脱出できる。


警戒レベル5になったら避難しない

2023年06月03日 | 防災・安全

今回の大雨※で、やっぱり死者が出てしまった。
※:本州上の停滞前線に台風の東側から暖湿空気が流入してできた線状降水帯による。移動が速い台風だけだとこれほどの雨量にならない。

大雨にまつわる情報(雨量、風速、河川水位)は、予測も実況もできるので、リアルタイムに状況を判断できる(気象庁サイトの「キキクル」、国交省サイトの「川の防災情報」)。

今回の死者は、家に居てではなく、避難行動中の被災。

気象災害の場合、壊滅的な津波と違って、家から避難することがベストとは限らない(雨さらしの屋外より屋根のある家が基本的に安全)。

「警戒レベル4」の間なら避難した方がいい場合があるが、「警戒レベル5」に達したら、家の外の方が危険な状態になっている。
なのでその該当地域には、テレビも避難を呼びかけず、家の中で安全を確保しろと繰り返すはず。

警戒レベル5になって、(手遅れながら)避難行動をする人は、増水した川に流される/車が水没する、などの致死的危険が待ち構えていることを覚悟してほしい。

車は水没すると、エンジンが止まり、タイヤが浮いてハンドルも効かず、水が車内に侵入してくるが、ドアが水圧で開かず、脱出できないたね、溺死を待つのみとなる。

車で避難するなら、脱出用の(窓ガラスを割る)ハンマーは必携。
また低地・水辺には絶対乗り入れないこと。
そして、その前に避難のタイミングを誤らないこと。
そのために必要なのは、自宅の災害危険度の事前確認だ。
自宅の災害危険度の事前確認:気象災害編


グラっときたら、○の○○

2023年05月12日 | 防災・安全

地震に対する標語「グラっときたら、○の○○

この○を漢字で埋めてほしい。

 

 

年配者は、「火の用心」と回答するかもしれない。
実際、昔はそれが正解だった。
でも現在は不正解。

消防庁による正解は、「身の安全」。

身の安全が火の用心より優先となった。

ところが学生に質問すると、ほとんどの学生は「机の真?下』と答える(「机の下」で充分)。
小学校以来、学校で教わった地震時の反応(机の下に身を隠す)が頭に焼きつているから。

「身の安全」という答えは実は抽象的で、具体的にどうしたらいいのかわからない。
その意味では、良くない”正解”だ。

その点「机の真下」だと具体的な行動を指示しているので、どうすればいいかすぐわかる。
その意味では、こちらの方が良い答えだ。

ただ、そう答えた学生にこう質問する。
「もしその場に机がなかったらどうする?」
すると学生は答えに窮す。

「机の真下」は学校の教室に該当する限定された答えで、いわば具体的すぎて、応用性がない点で望ましくない。

ということは、最適な答えは、「身の安全」と「机の真下」の間にある。

安全を確保したい”身”とはどこか、机の下に入って守るのはどこか、そこに答えがある。

頭部を守るのが最重要なのだ。

なので、望ましい正解は、「グラっときたら、頭の保護」としたい。

机がなくても、なんでもいいから頭を保護すること(最悪、両腕を使う)。

→関連記事「スーパーで頭を刺されない方法


震度5強の地震に遭遇したら

2023年05月11日 | 防災・安全

震度5強の地震は、震度7や6強の地震よりも、広範囲・高頻度で起こりうる。
なので、起きた時どうするか、常に考えておいて損はない。

屋内にいる場合。
1981年以降の新耐震の建物の場合、震度5強では損傷の恐れはなく、外に逃げ出す必要はない。
外の方が、瓦落下等の被害をもたらすこともあるから。

地震時での対応は「逃げ道の確保」であって、逃げることではない。
ところが、震度5強で毎回負傷者が発生する。
今回も、慌てて逃げようとして、負傷した。
揺れが激しくて、身体を正しく制御できないから、負傷するのだ。
毎度発生するパターン。
逃げるよりも、その場で身をかがめて、安全を確保(=頭部を保護する)こと。

地震が終わった後、都市ガスは自動的に止まっている(慌てて使用中のガスコンロに向かう必要もない)。
停電も発生して、高層住宅ではエレベータが止まる。

ただし、これらはインフラが破壊された訳ではなく、安全装置が作動しもので、順次復旧する(エレベータ復旧作業には時間がかる)。

なので停電の対策は必要(高層階に住むということはこういう事態を想定済みのはず)。

都市ガスの復旧は、各家ごとにガスメータ側にある「復旧ボタン」を押すこと。

以上、新耐震を前提とした対策。
旧耐震に住んでいることは震度5強でも倒壊死に繋がるので、今時住んではならない。
※:東日本大震災の東京(震度5強)で死亡した3名は、これに該当。


不在通知のショートメール

2023年04月19日 | 防災・安全

先日、ドコモの有りそうな携帯番号からショートメールが届いた。

クリックして本文画面に進むと、

「お客様*が不在の為お荷物を持ち帰りました。こちらにてご確認くださ*い」
も文面の一部)

しかもそれに続く URLがランダムな文字列で.com?du0kと続く。

たまたまAmazonで注文をしていた時だが、Amazonでの配送は置き配なので持ち帰らないし、他の配送会社だと、ポストに不在通知を入れる。

なので心当たりがないメッセージだし、文面とURLがおかしいのでこれは詐欺メールだと思い、反応せずにそのままにしておいたら、本日のモーニングショーでこれを扱っていた。

番組でもアドバイスしていたように、文面等をよくチェックして慌てて反応しないことだ。


キャンプ場で木の下敷きにならない方法

2023年04月17日 | 防災・安全

神奈川県相模原市の道志川沿いのキャンプ場で、16日未明にテントで寝ていた夫婦の上に木が倒れてきて、その下敷きで妻が圧死、夫が肋骨を骨折という惨事が発生した。
※;行方不明少女の骨が発見された道志川のキャンプ場は、もっと上流の山梨県側。

昨今のキャンプ愛好者だけでなく、私のような山でのテント泊経験者にとっても、心胆寒からしめる出来事だ。

すなわち、当時は強風でもなく、明らかな油断・不注意とはいえず、むしろ誰でも犠牲者になる可能性があったから。

根本から倒れた木は”根腐れ”していたという。

その木の映像を見ると、枝のほとんどが枯れており(一部にのみ葉がついている)、木自体は死んでいるといえる(人間でも、本体が死んでも真皮細胞は生きていてヒゲが伸びたりする)。
ただし、太い幹は枯れ木の様相を示しておらず(水分を保っていて苔などが付着)、施設側では毎日確認していて、問題視していなかったという。
すなわち、目視では倒木の可能性がわからなかったわけだ。

なので、木の隣でテントを張った夫婦も、目立つ木なので目視でそれとなくチェックしたはずだが、危険性を感じなかったと思う。

ということは、目視では不充分ということだ。

枯れた大木は内部が空洞になっているように、大木は内部から腐っていく(樹皮部分は最後まで平常を残す)。

テントを張る時、周囲の木で倒れたらヤバそうな木については、目視ではなく、実際に(誰もいない方向に)幹に力を入れてみて、安全性を力学的に確認するしかない。

ほとんどの人はこれをやってこなかっただろうが、この事故を受けて、これからは実施した方がいい。

そういえば、街の街路樹は、”倒木の危険があるため前もって撤去する”、という措置が行政によって実施されている。
すなわち倒れて被害を出す前に、目視以上のチェックをして、予防措置を講じているのだ。

自然の天然木に関しては、そのような管理責任者はいないので、その木に関わる人が目視以上の確認をするしかない。

そういうことを肝に銘じさせられる事故だった。


スーパーで頭を刺されない方法

2023年04月10日 | 防災・安全

大阪のスーパーマーケットで、男がテントのペグ(土に突き刺してテントを安定させる道具)を振りかざして、女性の頭部を襲い、頭部陥没骨折の重傷を負わせた。

言うなれば、混雑した空間での無差別襲撃(殺人未遂)で、非常に恐ろしい。

もしこの現場に遭遇したら、どうすればいいか。

ポイントはスーパー内だということ。

一旦話を防犯から防災に移すと、スーパーで買い物中に大地震が来たらどうすればいいか。

学校だったら机の下に隠れるのだが、スーパーには入れる机(空間)はない。

そもそもとっさに机の下に入る理由は、一番大切な頭部を保護するため。
頭部が損傷して、意識を失うと、後の避難行動ができなくなる。

ではスーパーではどうすればいいか。

客がすでに手に持っているはずの籠(カゴ)を頭に被るのだ。
平時にそれをやったら笑いの対象となるが、地震時にはこれが頭部を保護するものとなる。

もうお分かりのように、この対応行動は、頭部攻撃への防犯にも使える(ペグ程度なら防御可能)。
さらに籠は、相手との距離(間合い)を保つのにも使える(カートならなおさら)。

スーパーだから籠はたくさんあるので、いつでも防御できる(置いてある場所を頭に入れておこう)。
棚に並んでいる食品よりは、籠の方が硬さと容積の点で使い勝手がいい。


幼児の転落事故を防ぐ方法

2023年03月27日 | 防災・安全

2歳の双子がマンションの高層階の窓から転落死した事故。
2歳という所にポイントがある。
そして母がごく短時間だが不在であったことも(別室で家事中だったとのこと)。

この時期の幼児は、母親に対して異常ともいえる愛着を示す
(再接近期といって、内面の不安が原因)。
具体的には、家の中で母親が見当たらないと、泣き叫んで探し回る。
母親以外の家族がいてもこれはおさまらない。

パニック的な状態になるので、日常行動外の挙に出る。
たとえ窓の鍵を開けたことがなくても(知っていたらしい)、
観察学習で鍵を回して窓を開ける仕組みを知っていれば、
家にいない母を求めて、外につながる窓を開けることを試みるだろう。
すなわち、気持ちは母に向かっているので、その母が室内にいなければ、
気持ちは外に向かう。
すると体もそれについてくる(あとは重力に支配される)。

現実問題として、母親が子を置いて(玄関の)外に出することを無しにはできまい(この時期の子の異常な愛着は、母親にとってストレスともなる)。
その場合は、他の人が残って、少なくとも、母を探して泣きわめく子が危険な挙に出ないように監視することが必要。
最悪、誰もいない瞬間となっても、窓やベランダの手すりを乗り越えられないように、
その下に踏み台となるものは置かない措置は必須。
この最後の措置だけでも、転落事故は免れる。

逆に言えば、この措置をしなかったことが転落事故を招き、
実際にそうなってしまった。
なぜしなかったのかというと、
我が子の”日常行動”内では危険がないと判断したためだろう。
日常行動ではなく、可能な行動で判断しなくてはならないのだ。

歩ける幼児がいる場合、家の窓・ベランダだけでなく、
駐車場においても同様な注意が必要。