今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

雷の予兆とは

2024年04月03日 | 防災・安全

まず今朝の台湾東海岸の地震、まだ被害の実態がわからないので、ここは南海トラフの延長上であることを指摘するにとどめる。

午後2時半過ぎ、宮崎の大学グラウンドに落雷があり、サッカーの試合に来ていた高校生2名が意識不明の重体に陥った。
こちらを問題にしたい。

当時は、気象庁から「雷注意報」が出ていた。
雷については、落雷地点の予想ができないので、地域を絞った「警報」ではなく、より広範囲な注意報レベルしか出せない。
すなわちそれが発令されている地域の特定地点にとっては「雷があるかもよ」程度の情報だ。
ということもあり、この注意報程度で、人々が行動を制限することは滅多にない(心理的に”注意”するだけ)。

日本サッカー協会の指針によると、試合中止の基準の中に「雷の予兆がある時」が入っている。

この”予兆”の判断が問題だ。

雷の予兆とは何か。

空に雷光(稲妻)があり、雷鳴が聞こえる状態が”予兆”だろうか。

最初の雷光・雷鳴がすでに起きた後だから、”予兆”ではない。
なので、この状態での屋外活動は”厳禁”段階。

雷光・雷鳴が発生するの状態が”予兆”のはず。

それは、雷を起こす本体=積乱雲が接近していること。

果たして、サッカー試合の運営者に、それがわかるだろうか。
知識さえあればわかる(知識がないとわからない)。

積乱雲は、地上から上空1万メートルにまで達する最大級に分厚い雲なので、空が暗くなる。
そして急に強い雨が降る(雹の場合も)。
雨が降らなくても不気味な乳房雲(写真)が雲底に現れる(乳房が不気味なわけではない)

実際、当時の宮崎ではあっという間に強烈な雨に見舞われたという。
これこそ、積乱雲が頭上を覆っていること、すなわち雷の”予兆”だ。

なので雷の予兆=積乱雲の存在(暗い空と強い雨)ということを知っていれば、判断できる。
この基本的な気象知識がなかったのではないか。
しかもサッカーは野球と違って、雨の中でも試合を続行する。
なので尚更、雨という実際の予兆に鈍感になったかもしれない。

ちなみに、テレビのニュースでは今回の雷を”前線の影響”と述べているが、
実際には、当時の宮崎は接近する低気圧の温暖前線と寒冷前線の間にあって、
これら前線の影響ではなく、その間の”暖域”という不安定な領域(低気圧中心の南側)に発生した単独の積乱雲だろう。
同じ積乱雲でも寒冷前線のそれは明確な雲列が向こうからやってくるから予想しやすいが、暖域では突発的に(30分で)発生・発達するので予想しづらい(晴れることもある)。
なので、あくまで積乱雲そのものに注視すべき
(気象予報士なら、暖域下にあることで警戒を喚起する)。

では、実際に”雷が来る”と判断したらどうすればいいか。
もちろん試合は中止して、だだっ広いグラウンドそのものから全員離れて、
体育館や校舎など大きな建物の中に避難する。
これしかない。

身に付けた金属類を外すという行為は無意味。
なぜなら人間の身体が(電気を通す)導体だから。


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