無意識日記
宇多田光 word:i_
 



この間の日曜日の話。

きっかけは、うちのTweenで設定している「"Utada"検索ストリーム」で呟かれた、一枚の写真でした。(肝心のツイートのURLが目下見つからないのだけど)

どうやら、タイの人のツイートらしい。ヒカルもやっぱりワールドワイドと改めて感心。

で、その写真は「WILD LIFE」DVDのジャケット写真。まぁそれは何の変哲もないのだけれど、右下に貼られたシールにくっきり「WARNER MUSIC THAILAND」と書いてあるのが目に付いた。タイのワーナーミュージック!

タイにもEMIあるんじゃないの?と思って調べてみると、実態はどうかはともかくちゃんとあるにはあるようだ。

> http://www.emimusic.com/d2c/emi-list-of-companies/
EMI Music (Thailand) Co. Ltd Ltd Thailand

一体どういうことだろう、と思いこの写真に貼り付けてあるURLに飛んでみた。ここ

どうやら、タイの通販サイトらしい。Utada検索してみる。全18件ヒット。内訳は以下。

> DVD (3) [1] | DVD (ALL) [1] | CD [14] | VCD-ไทย [2]


まず、「WILD LIFE」DVDをみてみる。
確かに、「Distributor : Warner Music」と書いてある。つまり、配給はワーナーミュージック。
459タイバーツというとgoogleさんによれば約1179円。安っ。
一方で「Copyright/Studio EMI Music」とも書いてあるから、著作権はEMIのもの。
Release Date : 21/07/2011」とあるから、どうやらまだ発売されてから日もたっていないらしい。

更に、貼り付けられている裏ジャケットの写真をよくみてみる、と、次のように日本語、及び英語で書いてある。

韓国、インドネシア、香港、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、中国、台湾国内頒布専用
Only For Distribution In Korea, Indonesia, Hong Kong, Malaysia, Singapore, Philippines, Thailand, China, Taiwan

そして、その脇にはしっかりと「株式会社 EMIミュージックジャパン」の文字、更に、「MANUFACTURED, MARKETED, DISTRIBUTED IN THAILAND UNCER EXCLUSIVE LICENSE TO WARNER MUSIC THAILAND.」とある。つまり、「原盤権は依然EMIにあるが、タイでの製造、販売、配給の独占権はワーナーミュージックタイランドにある」という訳である。いつの間に。昔は、EMIタイランドが売ってたはずなんだけど。タイに出張に行く某odyssey氏もそのように言っていた。



他の製品も、みてみよう。

・ 28/03/2001 import - Distance 2,320.00 ≒ 5958円
・ 05/07/2004 United - VCD : Utada Hikaru: Unplugged (EMI) 199.00 ≒ 511円
・ 26/11/2004 Warner - Utada Hikaru Live In Budokan (EMI) 499.00 ≒ 1282円
・ 30/09/2004 Univer - Exodus 399.00 ≒ 1025円
・ 05/10/2004 import - Exodus 710.00 ≒ 1823円
・ 04/07/2006 import - Single Collection Vol.1 940.00 ≒ 2414円
・ 10/04/2007 import - Flavor Of Life 740.00 ≒ 1901円
・ 29/08/2007 import - Beautiful World / Kiss & Cry 1,130.00 ≒ 2902円
・ 03/12/2007 Warner - VCD : Utada Hikaru: Singles Clip (EMI) 179.00 ≒ 460円
・ 31/03/2009 Univer - This Is The One (SJB) 425.00 ≒ 1092円
・ 02/04/2009 Univer - This Is The One (LEP) 279.00 ≒ 717円
・ 12/05/2009 import - This Is The One 510.00 ≒ 1310円
・ 29/05/2009 Warner - Heart Station 399.00 ≒ 1025円
・ 27/08/2009 Warner - Single Collection Vol.1 399.00 ≒ 1025円
・ 29/07/2010 Warner - First Love 399.00 ≒ 1025円
・ 29/07/2010 Warner - Distance 399.00 ≒ 1025円
・ 23/12/2010 Warner - Single Collection Vol.2 399.00 ≒ 1025円
・ 21/07/2011 Warner - Wild Life 500.00 ≒ 1284円


左から、日/月/年 配給元 - タイトル お値段(タイバーツ&日本円)。

お値段はSRP(Suggested Retail Price/希望小売価格)の方で表示した。
配給元のUniverはUniversalの略。importは輸入盤、即ちタイ国外盤。

なるほど、こうしてみれば大体の事情が分かってくる。
まず、Heart Station アルバムが日本発売から1年余りを経て2009年8月27日にワーナー(タイランド)から発売になり、それを追うように同年8月27日にはSingle Collection Vol.1が、翌2010年には7月29日にFirst LoveDistanceが同じくワーナーから同時(再)発売になった、という経緯らしい。これらのアルバムは総て値段が統一されており、何れも399タイバーツ≒1025円である。タイ国内の配給網で正規盤の宇多田ヒカルのアルバムを一定価格で供給することが可能になった、ということだろうか。

更に同じく、2010年12月23日には日本から遅れること約1ヶ月、Single Collection Vol.2が399タイバーツ≒1025円で発売になっている。今回のWILD LIFEも、同様の流れだろう。

たとえば、Distanceアルバムは“import”、海外からタイへの輸入盤、即ち日本からの輸出商品もあり、これは発売日表記が日本での発売日2001年3月28日になっていて、値段も約6000円とバカ高い。これでは確かに、ファンも手が出ない。タイ国内での配給が決まり、日本円にして約1000円で手に入るようになったのは喜ばしいことだ。



とすると、「じゃあ、このタイ盤を日本に逆輸入したら、少しくらい上乗せされても日本盤(約3000円)より安く仕入れることができるんじゃないの?」と思うところだが、もちろんそれは上記のように、「各国国内頒布専用」とある通り、許されていない。これらWarner Thailandの配給商品、例えば Single Collection Vol.2の裏ジャケット写真(こちら)をみてみよう。こう書いてある。

[日本国内頒布禁止(14・11・23まで)]
このCDは、日本で頒布されているCDと同一で、専ら日本国外で頒布する事を条件に権利者から許諾を受けています。

SC2の日本発売日は2010年11月24日だから、丸4年日本への逆輸入禁止の措置が取られている訳だ。そりゃそうだわな。


他のワーナー商品も同様。
First Loveの裏ジャケ、Distanceの裏ジャケには上記の「このCDは、~」の記述がある。
Heart Stationの裏ジャケにはその記述に加えSC2同様、[日本国内頒布禁止]の記述もあり日付は 12・03・18」で、Hステ日本発売が08年3月19日だからこちらも丸4年逆輸入禁止である。
恐らく、First LoveとDistanceは日本発売日から既に4年以上過ぎている為逆輸入可なのだろう。まぁ、多分値段では中古盤の方が安い気はしますが。
Single Collection Vol.1については、裏ジャケ写真が掲載されていない為詳細不明。



以上をまとめると。

・タイではHeart Station以降宇多田ヒカルはWarner Music Thailandが製造と販売と配給を担当している。
・EMI MUSIC JAPANは、9つの国と地域(韓国、インドネシア、香港、マレーシア、シンガポール、フィリピン、タイ、中国、台湾)で宇多田ヒカルの作品を「国内販売」している。
・それらの商品は、恐らく逆輸入措置として日本発売日から4年間各国々国内頒布専用盤。


んで、これで明確になったのは、EMI Music Japanがアジアで10にのぼる国と地域で宇多田ヒカルを売っているという事実。かなりの規模だ。どれくらいかというと、外務省の頁とWikipediaによれば、各国と地域の人口は夫々、日本1億2700万、韓国4730万、インドネシア2億600万、香港690万、マレーシア2330万、シンガポール400万、フィリピン8830万、タイ6060万、中国12.4億、台湾2300万人。(2011年現在より古いデータな点は注意) 仮に中国を除いたとしても単純人口合計は5.8億人と、現時点でEU27カ国の総計より大きい市場を既に相手にしているわけだ宇多田ヒカルは。勿論、各国の日本への関心度を鑑みないと意味のない数字ではあるけれど。

復帰後は全世界でEMI配給となる見通しだけど、既に9つの国と地域でリリースが進んでるんならアジア圏での移行は比較的スムーズだろう。あとは北米、欧州、南米か。アジアも、まだインドが入ってないのが気掛かりだけど、こちらはまだまだこれからか。



***** *****


余談。件のboomeran.co.thには This Is The One が3種類あるけれど、推測すると、恐らくそれぞれ以下のような概要になる。


・ 31/03/2009 Univer - This Is The One (SJB) 425.00 ≒ 1092円
これは、裏ジャケによると、Come Back To Me が1曲目でボーナス・トラックなしなので欧州盤或いは韓国盤あたりか?

・ 02/04/2009 Univer - This Is The One (LEP) 279.00 ≒ 717円
これは、表ジャケからもわかる通り、Thailand Editon,ユニヴァーサル・タイランドから発売された“タイ国内盤”であろうと思われる。

12/05/2009 import - This Is The One 510.00 ≒ 1310円
これは、On And On から始まる曲順からして日本盤の輸入かと思われる。が、発売日がUS盤発売日である5月12日になっているのが気にはなる。



同作は今の所最も多くの各国盤が存在するアルバムになっているかもしれない。コレクターはThis Is The Oneを何枚持てばいいのやら。






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