無意識日記
宇多田光 word:i_
 



BABY METALのセカンドアルバムが全英チャート15位に続き全米チャートでも39位と非常な好順位につけてきた。グループの性質上ここからチャートを駆け上がる事は無いが、掛け値無しの快挙だ。おめでとう。

ここから半年続くワールドツアーもイギリスのウェンブリーアリーナ(詳しくは知らないが1万人以上入る会場だと)を皮きりにラストは日本で東京ドーム。勿論両方でヘッドライン公演を行う日本人は過去に例が無い。

全米39位は衝撃的だ。上には14位の坂本九しか居ない。Dir en greyもUtadaもLOUDNESSも抜き去ってしまった。ここまでのツアーの動員数や海外記事の数からしても全く意外でも何でもないが、実際に数字として出るとやはり驚く。

彼女たちの成功は、世界各地のメタル・コミュニティーに受け入れられた事が大きい。日本とそこは変わらなくて、主要なメタルフェスでどれだけ注目されるか。そこを突破出来たのは、国や地域や時代や年代にとらわれず幅広くモダンなメタルを研究し尽くしてきた制作陣の力によるところが大きい。曲を作らないお嬢ちゃん3人がメンバーだが、KISSが白塗りメイクで客を引き寄せたように、女の子3人が客を引き寄せる。しかし、客寄せパンダにしてはパフォーマンスに気合いが入っている。YouTubeに幾らでも映像があるから見て貰えればわかる。日本のあの世代のアイドル女子においてはトップクラスの歌唱力だ。

狙いを定めたのがメタル・コミュニティーだった事も大きい。Dir en greyも日本語の歌を歌うのを躊躇しないが、世界のメタル・ファンは何語で歌われようと気にとめない。これがブラック・ミュージックのコミュニティーだったらブレイクは不可能だっただろう。イスラエルにチュニジアにアルメニアにとデビューするメタルバンドの国籍は様々だ。メタリカが開拓したメタルのコミュニティーは文字通り世界中に広がっている。ユニットの性質上長続きはしないかもしれないが、前例をひとつ作った功績はとてつもなく大きい。花束を贈りたい気分とはこういうのを言うのか。


Utadaのセカンドアルバムも69位だったが、iTunesStoreチャートでは18位だった。あのまま活動を続けていれば、と思わなくもないが、それは世界が気付くまで待てばいい。どうせならずっと放っておいてくれてもいいですよと少し言いたい気分が無いでもない。アデルがあれだけ売れているんだからともチラッと思ったがあれはハリウッドみたいなものなので、結局は異質である。Hikaruとは違うのだ。今のところ、それこそジェフ・バックリーみたいに「同業者の評価は高いんだけれど」でとどまりそうだ。そうなる必要が出ればそうなるだろう。どちらになってもさほど気にしない。コンサートのチケットがとりにくくなるなら寧ろ迷惑ですらある。ドーム公演なんて音が悪いだけ。…嗚呼、今言っても負け惜しみに聞こえるだけだわな。兎に角のんびりいきましょうかな。

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