※ 映画「リトル・マーメイド」のネタバレに触れます。
その名を見た瞬間から物議を醸し始めるアルバムタイトル『BADモード』。これが宇多田ヒカルという名と結び付くとは容易に想像できない。
そもそもヒカルさんは10代の頃から自他共に認める「いい子」であり、“bad”なんて形容とは無縁過ぎる人生を送ってきた。法律に引っ掛かるかもしれないのは『浮気したことあります』発言くらいか。これだって別に既婚者が絡んでたとは限らないしな。
そんな感じなので、曲を知るまではこの『BADモード』という響きとどう付き合っていくかは戸惑う所。どう読めばしっくりくるか引き続き探っていこう。
前にこの“BAD”はいわゆる悪役を指しているのではと指摘した。英語で悪役といえば“Villain”/ヴィランなんていう言い方をする。『君に夢中』でメロディが引用されて再び脚光を浴びたディズニー映画「リトル・マーメイド」。そこでのヴィランといえば主人公の声を奪う海の魔女Ursula(アースラ/ウルスラetc.)だ。
どうやら彼女は「ディズニー・ヴィランズ」のひとりとしてかなりの人気を博しているようだが、「リトル・マーメイド」での役割は徹底的に主人公の敵役だ。最も印象的な場面はそのアリエルから声を奪う場面で、ちょうど『君に夢中』で引用されたのと最もよく似た歌唱をその場面で聞くことができる。
即ち、我々は『君に夢中』のアウトロで聞かれる歌唱は自然と主人公アリエルのそれだと解釈してきているが、実はヒカルはUrsulaのつもりで歌っている、なんてことがあるかもしれないのだ。何しろアリエルの声をそのまま奪ったのだから歌声だけなら区別のつけようがない。つまり実は、『君に夢中』という歌は最初っから「悪役の歌」としての伏線が引かれていた可能性がある訳である。加瀬さん目線にフィットする筈だよと。いや加瀬さんを悪役と言ってしまうのは相変わらず抵抗あるけども。
ただ、『君に夢中』だけでそう解釈するのなら若干の飛躍を感じる訳だが、ことここに至って同曲が収録されるアルバムのタイトルが『BADモード』という「悪役側を想像させる」ネーミングであると知った以上、この解釈は検討に値するものとなってきた。ちょっとゾクゾクしている。
こうなってくると『Time』は“マグダラのマリア”(小池栄子ね)側からの歌詞だったのでは?とか考えてみたくなってくるし、『PINK BLOOD』もハヤセ目線だったのでは?と勘繰りたくなってくる。まぁそういうのは各自に任せるとして、今後は本気で『BADモード』=「悪役視点」という仮説について考えないといけないかもしれないね。
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