無意識日記
宇多田光 word:i_
 



ツイッターにおける作品性の欠如は本質的なものである。本来、小説や詩や歌や芝居の台詞の中に組み込まれるかもしれなかった名文句の数々がふぁぼられりついされて(※お気に入り登録やリツイートされて)拡散し薄まってゆく。勿論波と波が合わさってより大きな波になる事もあるが、それは拡散するが故に(特に時間軸上において)局所的であり、作品性を獲得する事がない。もう少し丁寧にいえば、140文字以下の文学としての作品性までしかここでは生まれ得ない。俳句や短歌ならその枠の中だな、と早合点してはいけない。そういった作品は今迄必ず句集や詩集、歌集といった体裁で提示されてきたのだ。作者が単独であれ複数であれ、そこには編者の世界観が如実に反映されていた。言い換えれば、編集や添削、統合や整理といった過程が内在的であったのだ。しかしツイッターは編集を完全に外部にもち、しかも改変はまだまだ市民権を得ていない(非公式RTの改変に警戒感がもたれている)。仮に今後市民権を得て周知されたとしても拡散性という本質は消え得ない。

でだ。勿論Togetter等のツイートまとめシステムはあるものの、それは度を過ぎればチャットの過去ログや往復書簡に近くなっていき、即ち旧来の仕組みに組み込まれ直されてゆく。結局、Blogやチャットの利点は見直され、今後はそれぞれの役割分担が明確になっていくだろう。特に日本では震災を契機にツイッターの知名度は格段に上がる。もしかしたら、有吉風にいえばバカにもう見つかっているのかもしれない。

光は、元々Message from Hikki という独自のシステムとメールフォームMail to Hikki をメインとしたHPを駆使してネットを利用してきた。当初は最先端だったこのシステムも今やアナクロな感覚が漂う。一方でしっかりストリーム&チャットやブログ、そして今回のツイッターとその時々のニーズの高まりに応えてシステムを臨時運用してきた。各種ブログは期間限定という約束通り、あるものは更新停止、あるものはアクセス不能、あるものはなんか途中…という風に。

さてではツイッターはどうすべきなのだろう。当初の予定通りしっかり期間がきたら終わるべきだろうか。先ほど述べたように、ツイッターへの"熱狂期"は(バカにみつかることで)収束に向かい、ブログやチャットのようにWebを効率的に利用する手段の一つとして相対化されていくことだろう。まぁ他のシステムと違い、twitter.comが存在し各クライアントを通じて…なんて話はまぁ他の人に任せておくとして、その相対化がどの程度のラインに落ち着くかが見極めどころである。

ファンの方はひとりも「やめてほしい」と考える人はいない。「やめるべきだ」というスジ論を唱える人であっても@utadahikaruがTLから消える事自体に万歳三唱する人は…検索以外ではここ読みに来ないわな…まぁつまりいらっしゃらないとみていいだろうとりあえず。なので、当初の約束をなかったことにするのは、感情的には反対されない。ひとこと、「これから呟きは不定期になります。ひょっとすると何ヶ月も呟かないかも」と書いておけばよい。RSS以前のメッセは確かにこちらからアクセスしなければ更新されているかどうかわからなかったからそういう言い方で気をもたせるのは心にヒッカカルものがあっただろうが、ツイッターというシステムは、ただ待っていれば発言が転がり込んでくる(これが拡散性という本質のキモ)所が大きい為、言い方はよくないが、みんな@utadahikaruがそこに在るという安心感によって、逆に“宇多田ヒカルのことを忘れていく”。勿論、最初っからライトファンはニュースにでも載らなければメッセを確認しにいくこともなかっただろうが、コアなファンとライトなファンの中間層(多分、これは意外に大きい)の“忘れ具合”は、ひょっとするとメッセを放置していた頃より甚だしくなるかもしれない。光としては、緩やかに人間活動に入っていく為には、Twitterアカウントをそのままで置いておくことが有利にはたらくことになるかもしれない、のだ。今迄の音沙汰なしではなかなか合点がいかなかった“No News Is A Good News”、便りのないのは良い便り、という頼りない慰めが、ほんの少しだけ説得力を増すかもしれない。Twitterの流れの速さ、拡散の大きさは、人のイメージを薄れさせる作用もある訳である。

まぁ尤も、ここを定期的に読んでいてくれるような向きにとっては、メッセだろうがツイッターだろうが毎日宇多田光欠乏症候群なのだから、音沙汰が24時間ないだけで狼狽し始めるんだろうなぁ、、、ホント、バカばっかw(<お前が言うなの大合唱♪)


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )


« bitter sweet,... Father,more. »
 
コメント
 
 
 
確かにね (NY723)
2011-04-06 23:07:30
実は、このこと頭のどこかで考えてました。
ファンとしてはありがたいのだけれど、本人が明言したことに対して、どのように収めていくのかな、と。個人的には、これのけじめをつけてはじめて芸能活動を切った個人の活動に入れると思っています。
 
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