2022年です。今年もよろしくね。
気がついてみればもうニューアルバム『BADモード』の配信リリースまであと半月。2週間後の深夜にはもう聴けるという所まで来た。こんなに“すぐに”アルバムが聴けるって体感では最速な感じがする。いつもだったら待ちに待って2週間前くらいにCDシングルとは別にラジオ解禁曲が発表されて…みたいなリズムだったのだが今回はあっという間な肌感覚。1月発売というのも初めてになるし、自分に新しい感覚を馴染ませないといけないような気分でいますわ。
ストリーミングが始まった2015年以降は「フルアルバムという形態」に対する、アンチテーゼまではいかなくても新しいリリース形態を模索する方法論が各レコード会社各アーティストに於いて様々に実践されている。4曲入りくらいのミニアルバムを半年ごとにリリースするとか、逆に3分くらいの曲を20曲用意するとか、はたまたいきなりフルアルバム4枚を4日間でリリースするとか(先月のArcaですね)、みんな色々やってくるなぁと。
そんな中、遂に宇多田ヒカルも動いたといいますか。今までCDリリースが通常盤仕様一形態だったのが初めて初回限定豪華盤との2種類リリースとなり、更にその一ヶ月前に先行フル配信という、唐突なまでに実験的なリリース形態となった。
CDリリースと配信の順序が逆ではないかと一瞬思うかもだが、絶対的な売上枚数を考えると現代では極めて正統的ともいえる。現代娯楽の覇権をとったソーシャルゲームでも、まず無料でリリースして多くの人々にリーチして、そこから様々な“優越権”を有料で売ることによって収益を挙げている。まず皆の関心を引いて話題になって、ある程度多数の認知を得てからそこに更に豪華なモノを投入する方が結果的には収益の絶対額が上がるのだ。
今回のヒカル側の戦術もそれと似たようなものだろう。ストリーミングで話題になり再生回数などでニュースとして取り上げられて衆目を集める。配信ライブは実質4日間、話題になる頃には観られなくなっていて皆の渇望を煽るだろう。もしかしたらテレビで配信ライブの映像が流されるかもしれない。「観たかった」と「もう一度観たい」の合わさった来月のDVD/Blu-rayの売上は相当のものになる。CDもついてくるんだから尚更だよね。
勿論、非ストリーミングユーザー、非ダウンロード利用者にとって腹立たしい事態なのは間違いないだろう。だが、現代においてストリーミングを使わない層というのは特定のアーティストのみを購入する時流に左右されないユーザーが主流だ。ごくごく大雑把にいえば、その特定のアーティストの音源が手に入るのが一ヶ月遅れる程度なら購入を辞めたりはしないだろう。ブツブツ文句を言いながらも購入自体はしてくれるに違いない、そう予想されるのだ。
このように考えると「フィジカルに1ヶ月先行しての配信リリース」というのは収益上も理にかなった策となっているのがわかるかと思う。梶さんのことだから、それら以外にも他に理由があるかもしれないが、概ね基本路線はそんなところではないか。読者各位におかれましても、自分がどんなリスナー/ユーザー/ファンであるのかをよくよく自問して各リリースへの対応を考えてうただければ幸いです。
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