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無意識日記
宇多田光 word:i_
 



昨日深夜にフジテレビで放送された「心のベストテン」をTverで観たよ。ダイノジ大谷さんと柴那典さんが『Mine or Yours』を大変好意的に評価してくださってて有難い。地上波でもこうやって言ってくれる事でまたこの曲を聴いてみようという人が出てきてくれればいいね。

その中で柴さんが『Mine or Yours』を「70年代R&B風」と形容していたので、そこんとこを少し解説しておきたい。

プロの音楽ジャーナリストさんの発言なので遠慮無く指摘させてもらうと、「70年代R&B(アール・アンド・ビー)」という語を使うのはやや不適切だ。「70年代ソウル」と呼ぶのが通常である。

1940年代以降のリズム・アンド・ブルース由来の歌モノ路線は、その時代ごとに呼び方が変わっている。2025年現在ビルボードで「Hot R&B / Hip-Hop Songs chart」に掲載されてるこのジャンルの名称は、

60年代はリズム・アンド・ブルース
70年代はソウル・ミュージック
80年代はブラック・コンテンポラリー
90年代にはR&B(アール・アンド・ビー)
https://en.wikipedia.org/wiki/Hot_R%26B/Hip-Hop_Songs

とそれぞれ呼ばれていた。なので恐らく、柴さんが仰りたかったのは「70年代ソウル」のことだろう。


さて、では具体的に誰の何という曲をもってくれば『Mine or Yours』のサウンドに似ているかなと思った時に、「モータウンは外せないな」となったので70年代モータウン・レコードでいちばん有名な作品を紹介しよう。

スティービーワンダーの1976年のアルバム「キー・オブ・ライフ - A Songs In The Key Of Life」である。

いや別に「『Mine or Yours』のこことスティービーワンダーのこの曲が似ている」とか、そういうことではない。もっとおおらかに、「あの時代の雰囲気」を何となく伝えるのにあたって、非常に著名な作品を持ってきたに過ぎない。


とりあえずWikipediaから曲目リストを引っ張ってこようか。

アナログA面
1. ある愛の伝説 - Love's in Need of Love Today (7:04)
2. 神とお話し - Have a Talk with God (2:40)
3. ビレッジ・ゲットー・ランド - Village Ghetto Land (3:23)
4. 負傷 - Contusion (3:44)
5. 愛するデューク - Sir Duke (3:52)
アナログB面
1. 回想 - I Wish (4:11)
2. 孤独という名の恋人 - Knocks Me Off My Feet (3:34)
3. 楽園の彼方へ - Pastime Paradise (3:26)
4. 今はひとりぼっち - Summer Soft (4:12)
5. 出逢いと別れの間に - Ordinary Pain (6:23)
アナログC面
1. 可愛いアイシャ - Isn't She Lovely (6:32)
2. 涙のかたすみで - Joy Inside My Tears (6:28)
3. ブラック・マン - Black Man (8:27)
アナログD面
1. 歌を唄えば - Ngiculela - Es Una Historia - I Am Singing (3:47)
2. イフ・イッツ・マジック - If It's Magic (3:10)
3. 永遠の誓い - As (7:06)
4. アナザー・スター - Another Star (8:26)
5.
A Something's Extra
1. 土星 - Saturn (4:52)
2. エボニー・アイズ - Ebony Eyes (4:07)
3. 嘘と偽りの日々 - All Day Sucker (5:04)
4. イージー・ゴーイン・イヴニング - Easy Goin' Evening (3:57)

この中でも「愛するデューク - Sir Duke」や「可愛いアイシャ - Isn’t She Lovely ?」なんかは日本のテレビCMでも使われてたのでご存知の方も多いかもしれない。

まぁ、アナログ2枚組で2時間もある作品なのでこれを全部聴くというよりは、BGMとして流して“『Mine or Yours』に通じる空気感”みたいなものを感じ取ってうただければそれで十分なんだけど、少し突っ込んで聴いてみたいという方に対して、一応何曲かピックアップしとくか。

『Mine or Yours』に通じるゆったりとしたのびやかなヴォーカルラインとエレクトリックピアノの組み合わせ、となると例えば冒頭の「ある愛の伝説 - Love’s in Need of Love Today」だとか「孤独という名の恋人 - Knocks Me Off My Feet」なんかが近い雰囲気を持っていると思われる。この2曲を聴いて「そうそうこういう感じ!」と思ってもらえれば私の言いたい事は伝わってる、かな?

時折入るストリングスの入れ方なんかは「ビレッジ・ゲットー・ランド - Village Ghetto Land」を聴くといいかもしれない。

軽快なリズムギターとグルーヴィなベースライン、オルガンのコードの組み合わせなら有名な「愛するデューク - Sir Duke」がいい。

シャッフルのリズムにキャッチーなメロディとコーラスの合体といえば「可愛いアイシャ - Isn’t She Lovely」だわな。しかし歌うまいなもう。

『Mine or Yours』のイントロでヒカルがハミングしてるけど、同じくイントロでハミングしてる曲は「As - 永遠の誓い」か。まぁでも、スティービーワンダーはこれしょっちゅうやってるのでこの曲に限ったことではないよね。


、、、という感じで、アルバム全部は聴かなくても、今挙げた何曲かを聴いてみてもらえれば、「70年代ソウル/モータウン・サウンド」ってのがどんなものか知ってもらえるだろうし、柴さんが『Mine or Yours』にこの頃の空気を感じ取った理由も何となく伝わるんじゃないかな。うん、この少しのどかであたたかでソウルフルなサウンドは、この頃ならではのものだよねぇ。

てことでこの日記を書く為にこのアルバムのことを調べてみて気がついたんだが、発売日が1976年9月28日なのね。このキッカリ40年後の2016年9月28日に宇多田ヒカルが『Fantôme』をリリースしてるんですねぇ。特に深い縁は感じないけど、こいつは覚えやすくていいやね。ではでは。


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フラゲ日から数えると今日の時点で『Electricity Remixes』のリリース2週間前。こちらが取り上げる話題も暫しこちらにシフトした方がいいのかな? 探り探り。

アナログ盤のリリースは、広範なライトファン相手よりは熱心なファンがぐつぐつと煮え滾ってる場合に効果的だ。先日発売されたスウェーデンのメタルバンド、ゴーストの新譜が全米1位を獲得したが、総ユニット86000のうち44000ユニット、半数以上がアナログ盤売上によるポイントだった。
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/149139/2

結局はファン層の質ということになる。メタルバンドが全米1位をとるには、熱心なファンから搾れるだけ搾り取るというのが現実的な道筋だったのだろう。熱心なファンもそれで全米1位となれば誇らしい。やはり、メタルの支持層はシーン全体からみても特異な性質をもっている。80年代後期の一時期を除き、半世紀間ずっとそうだね。


さて宇多田ヒカルのファン層に変化はあるか? 昔は典型的な「広く浅く」のアーティストだった。CDの売上や着うたダウンロードは史上最高記録をもっていても、ツアーとなると別にドームツアーができるほどでもない。今度の嵐のツアーは50公演なんだって? スケールが違うよね。

一方で、昔コアなファンになった数少ない精鋭たちは今も健在で、しかもそのままシフトしてるから購買力平均は上がっている。中高生でCD購入がままならなかった人も今ならオリジナル・プリント買っちゃうもんねの勢いである。…たぶん。

そう、写真集『NINE STORIES』がどれだけ試金石になったかなんだよね。そこの売上と傾向次第で、今後のフィジカル・アイテムのリリース形態が変わってくる。コアなファンが熱心なら、『Electricity Remixes』のように配信既発音源のみでのフィジカルもリリースしてくれよう。

ここで「だからみんなフィジカルが出たら買おうね!」と言いたいわけではない。レコード会社が欲しいと思わせる商品を用意して、消費者が欲しいと思って初めて商談は成立する。それ以上でもそれ以下でもない。

買うかどうか迷ってる人に対して、「こういう副次的効果もあるよ」と助言するという程度の事はあるだろうか。売上次第で、今後もっとフィジカル・アイテムがリリースされる可能性が高まるよ、とね。リミックスにはそこまで興味がないからなぁと購入を逡巡してる人に、「今後あなたが気に入る新曲が出たとして、そのアナログ盤が出るかどうかはそれまでの実績も加味して判断されるよ」みたいなことを耳元で囁く。…いやこれかなり圧が強いな。やっぱ欲しいと思ったら買ってくれ、だな。シンプル。

「悩む理由が値段なら買え。買う理由が値段ならやめとけ。」とはよく言ったもので、少々高額でも買って気に入れれば納得できるものだ。安いからといって手を出すと安物買いの銭失いになる。まぁ配信既発音源4曲入りで税抜3800円、税込4180円てのをどう判断するかですよねぇ。高いねぇ。(言っちゃった) 

せめてExtended Mixを幾つか入れて欲しかったとこだわ。『First Love/初恋』EPも、アナログ限定のアカペラトラック入ってたしなぁ。ただ、これだけ皆が配信で聴いてるとアナログのみ音源はそれはそれで不興を買うからむずかしい。レピュテーション・ストラテジーの難儀なとこ。評判戦略とでもいうのかこれ。

まぁでも、特典の缶バッジを身につけて出掛けたら、「わかる人にはわかる」というのが伝え合えて、そこはいいかもしれないね。お互いにコアなファンで間違いない!ってなるからな。普通にしてて遭遇できるかというと時の運だけど。

あとはアナログ盤らしい音作りを期待することくらいですかねっ。あぁそうか、「もう一度各リミックスの魅力を振り返る」をやってもいいな。それは考えときますっ。



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先週末に触れた話のちょっとした続き。


『君はコーヒー 僕は緑茶 いつもの』

これが本来なら実は

・『君』が好きなのは緑茶
・『僕』が好きなのはコーヒー

であって、君がコーヒーを選んで僕が緑茶を選ぶのは、お互いのことをわかり合おうとするが故の事だったのかもしれない、という話をした。そして、この2人がうまくいかなかったとすれば、それはお互いがお互いの「枷(かせ)」になりかねない、足を引っ張り合いかねないと思ったからなのだと。最初から最後までお互いを思い遣ったが故の出会いと別れだったのだなと。そんな2人だと妄想してみたのでありました。

そう考えたのには根拠がある。『Mine or Yours』の歌詞のこの部分よね。

『ずっと一緒にいたいけれど
 毎日一緒はしんどいかも』

ここを聴いて真っ先に思い出したのが、『Parody』のこの部分だった。

『七階まで急いでお願いね
 意外と狭いエレベーター
 誰もいないから安心
 「思いやり」から
 Set me free』

ここを初めて聴いた時、如何にもヒカル本人の本音だよなぁとしみじみした。一人で過ごすのが好きなのは、人と触れ合うのが嫌いだからなのではなく、酷く疲れるからなのよね。人を大事にしようと思うあまり、「こうなのかな?ああなのかな?この人はどう思ってるのかな?気を悪くしてはいないだろうか?私の言い方で傷つけたりはしていないだろうか?」と自分の言動を逐一批判検討する羽目になってしまう。とても疲れる。誰もいないエレベーターなら誰に気を遣う事もなくて一息つける。たぶんそんな感じ。いやホント、凄いなこの人はと感心したものです。もう四半世紀前。

どうもこの、『毎日一緒はしんどいかも』にも、少し通じるところがある気がするのよね。どこかで一息つきたい。二人の生活の中で「誰もいないエレベーター」に乗れる時間が欲しい、とそういう風に思ってるように捉えた。相手に対して気を遣い過ぎる。思い遣り過ぎる。愛情があるが故に、相手の気持ちを慮りまくるんじゃないかなぁ。だから少し距離を置いた。まぁこれ最終的には別居なので、「たまに会うくらいがちょうどいい」って結論だったんだろうけど。

(かなり事情は違うが、無意識日記も似たようなもので、平日更新で土日は基本的に何も書かないのは「ずっと終わりなく書くけど、休みは取るよ」ということでね。というか寧ろ、「ずっと続けるつもりだからちゃんと休み取るよ」って言い方の方がいいのか。「ずっと」の為には「毎日」はちと過酷なんだよねぇ。ほんに、毎日更新してる人凄いよ。ストイックだわよ私は真似できないわ。閑話休題。)


でその『Parody』の歌詞、この段落の最後が今ご覧になった通り

『思いやりから
 Set me free』

なんですよ。

「思いやりから私を自由にして。」

なんですよ。『Mine or Yours』の

『自由に慣れれば慣れるほど不自由だって』

でも「自由」って言葉が響くけど、それは望んだものだったのか望まざるものだったのか、これホントひとりひとり答が違いそうでね。是非各自、自分はどう感じるか考えてみてくださいね。……こういう丸投げの結論好きじゃないんだけど、この歌の懐の深さに思いを馳せると、一度はこういう締め括り方も必要かなと思った月曜夜でありましたとさ。暑いね依然。


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週末に『Mine or Yours』MVのYouTube再生回数が100万回を突破して嬉しい限り。これで格好がつくよね。


一方「THE F1RST TAKE」の2曲はというと、『Mine or Yours』が430万回、『First Love』が985万回と、それぞれ500万回と1000万回を窺う勢い。あれだけ頻繁に更新してるチャンネルでもこれだけ後追いで再生されるもんなんだな。


あと、もしかしたら今YouTubeで「宇多田ヒカル Mine or Yours」で検索したら綾鷹ムービーよりMVより先に「THE F1RST TAKE」バージョンが表示されてるのかも? こういう正のフィードバックが効き始めるとそりゃ伸び率も怯まないか。仮にそうだとしたらMVが不憫といえば不憫ね。


そもそもその綾鷹ムービーがMVに先立って沢山観られてたわけで。普段から追ってるファンでもその余りの映像のクォリティに『traveling (Re-Recording)』に引き続いて感覚的についついこれをミュージック・ビデオだと捉えちゃってるとこもあるくらいだったのだから、遠くから「宇多田が新曲出したのかぁ」とか思ってる人たちが区別ついてないのは当然といえば当然で。MVの存在自体気がついてないのかもしれない。


『traveling (Re-Recording)』の時は綾鷹ムービーだけだったからよかったものの、今後このパターン、つまりスペシャル・ムービーとミュージック・ビデオが併在する場合のプロモーション・アプローチはある程度整理した方がいいかもわかんないね。出来れば、2種類映像があることを強みに転化したい。


とはいえ、あクマで商品のプロモーションである綾鷹ムービーと、音楽家の思惑と映像作家の創造性が絡み合うMVとをどう連携させたものかというのは、事前に想定できる性質のものではなくって。その都度楽曲毎に判断・発想するしかなさそうやね。


今回はそれにスタジオ・ライブ・テイクである「THE F1RST TAKE」が絡んできたのだからそりゃややこしいわ。引くて数多ならではの贅沢な悩みですわね。


ミュージック・ビデオをピックアップして語り合う地上波テレビ番組でもあればいいんだけど、昔からMV流すのはテレビ撮影スタジオ代の節約の為だったりするもんだから相性がよろしくない。ふむ。


まぁもう『Electricity Remixes』のリリースまで2週間とちょっとだし、『Mine or Yours』の公式プロモーションも一段落なのかな。もう少し様子を見てみましょうか。MVのフルアニメバージョンとか、AI駆使したら可能な気がするんだけどどこかやる気のあるとこないかな?(往生際悪く食い下がりたい人なのでした)



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宇多田ヒカルの歌詞はより多くの人に共感してもらえるように(間口を広く取って)最終的な形態が整えられている。『Mine or Yours』の

『君はコーヒー 僕は緑茶 いつもの』

の一節も同じくだろう。聴いた多くの人が「あるある」と共感する。だが、この完成形に至る迄にヒントを与える何某かの中に、実体験談が入っていないとも限らない。ヒカルが歌詞を実話とも何とも言いづらそうにしているのは、全くの空想から出来てるわけでも、まるごと本当の話からだけで出来てるわけでもないからだ。それぞれを等しく素材として組み合わせて、最終的な歌詞を完成させている。(それを指して「サイエンス・フィクション」だと呼んでるのだけど今はさておく)

その見地から立つと、この

『君はコーヒー 僕は緑茶 いつもの』

という歌詞も実は、実際の経験を由来にしている可能性があるわけだ。もしそうだとするとどうなる? なぜここで綾鷹の為の『緑茶』の対になってる言葉が『コーヒー』なのか? その答えが実は「現実にそうだったから」なのかもしれないのだ。

ヒカルの二度目の結婚は国際結婚で、イタリア人男性との婚姻だった。イタリアといえばエスプレッソ・コーヒーの国で、緑茶はもちろん日本だろう(ホントは中国かな)。つまりこの一節は、ヒカルが二度目の結婚生活を送ってる時(から離婚した後までも?)の一場面を切り取ったものなのかもしれないのです。

…いや? でもちょっと待て?

・君はコーヒー
・僕は緑茶

だとすると、男性が緑茶を飲んで、女性がコーヒーを飲んでいるな? 逆じゃない? 日本人女性のヒカルが緑茶で、イタリア人男性のキコがエスプレッソ・コーヒーでないといけなくない?

ここで作詞家宇多田ヒカルの「歌詞を仕上げる時は性別や年齢などを変える」という基本技を思い出せばそれはそれで解決する。親との関係性を男女の恋愛の歌に昇華する人なんですから。それがまずひとつめの、宇多田ファンからしたら極めてオーソドックスな解釈だ。この『Mine or Yours』の歌詞では実体験を素材にして尚且つ男女を逆転させてみたと。それならそれでいい。

今夜はもうひとつの、『Mine or Yours』ならではの解釈を記しておこう。

この歌は「選択の歌」である。これまで散々見てきたようにね。そしてそれは、ごく自然に「選好の歌」でもあると解釈されてきた。好んで選ぶ事だね。各々の価値観を尊重し、それぞれが気に入ってる飲み物を飲んでいるのだと、そういう風に受け止めてきた。

そこが、そうじゃないのでは? つまり、この歌は

「お互いがお互いの嗜好を“わかりあおう”としている歌」

なんじゃないだろうか? つまり、

『君はコーヒー』
『僕は緑茶』

という選択は、それぞれの「相手」がいつも飲んでるもの、なのではないでしょうか?
だから

『いつもの』

と念を押すように歌っているのではないかなと。「相手の好きなものを飲んでみよう」=「相手の趣味嗜好価値観を理解しようとする」、そういう話だったのかもしれない。そして、だからこそその関係はうまくいかなくなったのかもしれない。相手のことを思い遣ってばかりになってしまって。

これで思い出すのが『Apple And Cinnamon』のあの一節。

『What we had was just too good to last』

即ち

「私たちは(相性が)良過ぎて長続きしなかった」

のだと。りんごとシナモンみたいに2人でいるとすごいケミストリーがあったのだけど、それは長持ちの秘訣にはならなかったのだと。

『Mine or Yours』でも、似たようなことがあったのかもしれない。お互いが自分の価値観を主張し合って譲らなかったのではなくて、譲り合い過ぎてどうにならなくなった結果、お互い離婚しようということになったのかもしれない。相手から見ると、自分のせいでこの人は自由を犠牲にしてはいないか?とそう思えるようになった結果というかね。

、、、と、そんなヒカルの実体験が元になった歌詞だったりしたら、いきなり歌の響きが変わって聞こえる。特に『いつもの』の称える哀愁と切なさの説得力が段違い。「THE F1RST TAKE」でのあの歌い上げ方も納得できる説明になってはいると思う。…のだけど、毎度ながら私は仮説の一つとして唱えるだけで、その真実性を強弁するつもりは毛頭ありませんのであしからず。と、そう、こういう風に“弁えられ過ぎる”と逆に不安になるのよね。誰がその責任を取るのかと。人間関係って不思議だね。


聴けば聴くほど多義的に捉えられるね『Mine or Yours』は。万華鏡を覗いた時のように次から次へと新しい光が射し込んでくる。歌詞に気を取られて曲の良さを否定する人、過去の名曲の存在感にまでしか至らない人は、すぐそばをこの素敵な歌が通り過ぎているのかな。なんとも勿体無い事だけど、私は私でこの歌を愛するのに忙しいので来週もまた続きを書きますね。


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『Mine or Yours』で最初に印象に残ったフレーズといえば、初出が綾鷹ムービーだったのもあって、

『君はコーヒー 僕は緑茶 いつもの』

が筆頭に上がる。タイアップ相手の商品がペットボトルの緑茶だからと直接歌詞に『緑茶』を入れてきたのだ。まぁ日清カップヌードルの時点でお察しな人なんですがね宇多田ヒカルさんは。

それはそれでいいんだけど、ではなぜ対となる飲み物が『コーヒー』だったのか。もちろんメロディにハマったというのもあるだろうけど、他にも候補はあった筈だ。


例えば紅茶。ヒカルがイギリス在住である事を考えたら寧ろこちらの方が自然なくらい。

例えば番茶。このたびの綾鷹の新製品ラインナップには従来からの緑茶のみならず茶色い番茶やほうじ茶もある。タイアップ重視なら「どちらを選ぶにせよ綾鷹で」となってよりよかったかもしれない。

例えばコーラ。タイアップ相手はそもそも日本コカ・コーラだもんね。それに、ヒカルはニューヨークで暮らしてた時期も長かった。ニューヨーカーだアメリカンだというのを印象づけるには、たとえ実態と乖離してようとイメージ通りの選択にはなったかなと思われる。

その中での、敢えてのコーヒーだったのだ。なぜだろうね。

紅茶に関しては、少し政治的な深読みを誘発してしまうきらいがある。東インド会社とかボストン茶会事件とかで検索してくれればわかりやすい。「イギリスのお茶」の歴史的・政治的な威力は『夫婦別姓』ワードより更に強い。Mrs.Green Appleの「コロンブス」みたいなことになりかねない。なので避けるのが無難だったわけだけど今のヒカルなら歌ってみてもよかったかもね。

番茶やほうじ茶に関しては、「両方綾鷹になってしまうからこそよくない」と言える。『Mine or Yours』は洗濯の、じゃないや、選択の苦悩にまつわる物語。どちらを選んでも綾鷹だといまいち葛藤の色を出しづらい。

コーラに関しては、こればっかりはアメリカのカラーを出す気にならなかったというのが、曲調からもわかるかなぁと。演奏メンバーもイギリス人主体だしね。あと、コーラと緑茶では日米対比にイメージが限定されがちというのもあったのかな。そのテーマは『Easy Breezy』でも取り上げたしな。


…という感じで、どうやら消去法でいくと『コーヒー」が良さそうだというのはわかってくるのだけど、もっと積極的な理由はあったのかな? 次回はそこらへんを探るかもわかりません。話を進めちゃうかもしれないけどそれは書いてからのお楽しみで。


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一日一回は「宇多田ヒカルって歌うめぇな…」と、「夏って暑いのね」よりも当たり前な事を呟く日々を送っている私。これだけ上手いと「リスナーの負荷と負担を軽くしてくれる」よのね。その事に途轍も無く感心する。

音楽を集中して聴くって結構難しい。自分も交響曲を黙って目を瞑って聴いていると大抵第二楽章の途中で寝てしまう方なのだ。だからメタルくらいやかましくて身体が反応してしまう音楽の方が性に合っているのだけど、ヒカルさんの歌は一節毎に「ハッとさせられてしまう」為、自分から「集中して聴こう」と意識しなくてもいつのまにか聴き入っている。音楽を聴く身にとってこの事態は有り難いこの上ない。

視覚で例えると。道を歩いてるときに、ものすごい美人とかとても背の高い人とか奇抜な衣装の人とかが視界に入ると、思わずそちらを見てしまうでしょう? ヒカルさんの歌唱はずっとそんな瞬間の連続なんです。美術館で次から次へと名画に巡り合っていくような。

「歌が上手い」って、自分にとってそういう事なんですよ。細かい技術とかがわかるわけではない。どんな声の出し方をしてるかも知らない。ただ、聴いていていつのまにかずっと気を引かれてるなぁ私なぁという事実を確認してそれを指して「あんたお歌上手よねぇ」という言い方をしてみてるに過ぎない。

下手な歌だと耳を逸らしたくなる…のかどうかはさておいて、歳を取って年々集中力の低下を実感して嘆く身にとってこれは最早救世主いやさ救いの女神様なのですよ。んだもんだから、歳を取れば取るほど歌が上手な人が持て囃されていく。極論すれば、起きてる間ずっと元気で集中力が途切れず持続する若い人にとってはこの有り難みはわからないかもしれなくってな。凄いのよヒカルさんの歌声は。目の覚めるような、目を見張るような上手さなんですよ。眠れる獅子も起きて聴き入る、そんな歌。


そうね、最近では『First Love from THE FIRST TAKE』での歌唱パフォーマンスが評判だけれど、例えば『SCIENCE FICTION TOUR 2024』の『誰かの願いが叶うころ (Live 2024)』での歌唱も素晴らしいんだわよね。あれを「THE FIRST TAKE」で歌ってたらどんな反応だったろうか?というのは少し気になった。

もともとノリノリな曲主体でバラード少なめだった『SCIENCE FICTION TOUR 2024』のセットリスト。『In The Flesh 2010』ですら外さなかった『SAKURAドロップス』を押し除けてまで『誰かの願いが叶うころ』を歌ったのは、中東や東欧での惨状を憂いたヒカルの切なる願いと祈りの顕われだったと思うので、どうせ政治的に論われるのならこの歌を歌ってもよかったのになとも、私は思ったわねぇ。イランまで絡んできたらいよいよヤバいですね。ま、中東ってずっとこうなんだけども。ヒカルがMARILLIONの“Gaza”を歌ったら滂沱の涙だろうなぁ。それはさておき。


今日は個人的にとても集中力が低い日だったので(幸いさしたる失敗もしなかったけど今の所までは)、余計にヒカルの歌声が骨身に沁みました。美声というよりは美歌というか、歌の描く輪郭が繊細で美しいのよねぇ。さっぱりお酒を飲まない私をこれだけ酔わせてくれるのは、現実にはなんだかんだ貴女の歌声くらいなのでした。ありがとうね。


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毎日日本列島各所で猛暑日(最高気温35℃以上2007年から)を記録するこの暑さ、昔のこの季節の思い出とのズレが甚だしい。同じ季節の発売だった気がしないぞ『DEEP RIVER』とか『ULTRA BLUE』とか。暑熱馴化なんて言葉、昔は知らなかったわ。

そんな猛暑日設定のないような昔から真夏を忌避していたヒカルさんが昨年は真夏丸ごとツアーするんだから、長生きはするものだわね。


そんなエアコンラブな(?)ヒカルさんなので、季節感が楽曲に直接出ることは少ないのだが、いつのまにかちょくちょく顔を出してたりはする。代表的なのは『気分じゃないの(Not In The Mood)』で、あの歌の『Rain rain go away』『雨、雨、どっか行け』という歌詞は、イギリスロンドンの曇天模様と寒々しい冬の雨降りの感触無くしては生まれなかった気がする。「雨の憂鬱さ」が日本のそれとは異質な気がするのよね。『HEART STATION』の『肌寒い雨の日』とは違うというか。と言いつつ同曲がどの国を想定してるのかインタビューとかで聞けたことはないとは思うけど。

『Mine or Yours』も、正調宇多田ヒカルというか、どの季節にも流せる曲調ではあるのだが、しかし一節、

『冷めたら温め直せばいい』

だけは、「秋冬向けの曲だなぁ」と思わずにはいられない。まぁそもそも、コーヒーと緑茶をお湯から淹れてそうではあるのだけど、一応アイスコーヒーとかはあるからね。それをこの一節が持っていっちゃうとこある。ただ次の、

『不安材料も味付け次第』

という小粋な一節が「あクマでこれはキッチンレシピの話だよ」と後方から印象修正をかけてくれるところは流石というかなんというか。

比喩が重なり合ってるな。『冷めたら』というのは元々は「人間関係が冷え切ったら」という意味だろう。それで諦めちゃわずに関係修復に取り組もうよというのが『温め直せばいい』。「旧交を温める」という表現があるように、人間関係が修復されることもまた温度が上がる事で表現される。うまくまとめたものだな。

なので、この歌のコーヒーと緑茶はどうしたってホットコーヒーと熱い緑茶ということにはなるので、もうどこのお店に行っても出されるお茶が冷えてるこの季節ではアウト・オブ・シーズンになりつつあるのだけど、サウンドの醸し出すほんのりとした暖かさが上品な為、歌詞に気を取られず音だけ流してる分には結構この暑さの中で涼しげに響いてくれる。歌詞を二行でバランスを取り、更にサウンドのまとめ方も工夫してアウト・オブ・シーズンになりかけるところをオール・シーズンズOKな楽曲として仕上げてるところ、やっぱりヒカルの曲は季節を問わないという認識のままで何の問題もなかったなと再確認できましたわよ。ですからこれからの季節も愛聴させてうただきますわね。…今回は、それを言いたいが為の長々とした言い訳でございましたとさ⭐︎


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てことでいつものやつも書いとくか。各アルバム収録曲の中で時期的にいちばん早いリリース曲一覧。

1st『First Love』:『Automatic/time will tell』
2nd『Distance』:『Addicted To You』
3rd『DEEP RIVER』:『FINAL DISTANCE』
4th『ULTRA BLUE』:『COLORS』
5th『HEART STATION』:『ぼくはくま』
6th『Fantôme』:『桜流し』
7th『初恋』:『大空で抱きしめて』
8th『BADモード』:『Face My Fears』
9th?????:『Mine or Yours』

こうやってまとめると、つくづく「何の傾向もない。ひたすらバラバラ。」であることに気付かされる。前作のタイトルトラックのバラード・バージョンから始まるとかそんなの事前に予想つかんよ。R&Bというジャンルの名前を日本に広めた人が突如童謡歌ってこどもたちと触れ合うとかわかるわけないだろ。エヴァが特別だからってリリースしてから4年近く待たせるとかさぁ。タイアップもMDに車に水にゲームにってもう何が何だか! ある意味今回綾鷹だったのは「初めて被った」とすら言えるかも。

その被った相手は『大空で抱きしめて』。サントリー繋がりで、リズムパターンも『Mine or Yours』と近く、色々と参考になるかもしれない。この曲のリリースが2017年の7月10日で、収録アルバム『初恋』のリリース日が2018年6月27日。一年経たないうちに『Forevermore』『あなた』『Play A Love Song』『初恋』と立て続けにリリースしてアルバム出してんのね。同じベースでここから行くとすると『Mine or Yours』の配信日が2025年5月2日だから2026年4月19日か。この日は日曜日だから違うけど、うぅむ、ペースだけなら2026年3月末(3月18日や3月25日)にオリジナル・アルバムが出ても何も不思議ではない感じになっちゃう? え、次のアルバムってそんなに近いの? うそーん。この計算、もっと若い頃じゃなくてほんの8年前のだから参考にできる距離感よねぇ。


確かに、油断してたけどもうそろそろ『SCIENCE FICTION TOUR 2024』のスタートからも1年経つんだもんなぁ。

ほいじゃついでに参考までに、過去の全国ツアー終結から次のオリジナル・アルバム発売日までの日数を記しておくか。

・211日:『Bohemian Summer 2000』から『Distance』まで
・556日:『UTADA UNITED 2006』から『HEART STATION』まで
・1137日:『Laughter In The Dark Tour 2018』から『BADモード』まで
・???日:『SCIENCE FICTION TOUR 2024』から9th アルバムまで??

となっている。それぞれの日数分をSF最終日2024年9月1日に足してみると、

・2025年4月10日木曜日
・2026年3月21日土曜日
・2027年10月23日土曜日

ってなるな。うわ、ボヘサマから『Distance』は早いな! 今だともう先月出てた計算かよっ! ウタユナからハトステまでの感覚だと、上述したのと似たようなペースになりますね。そしてラフダクからBADモードって結構空いてんだね! コロナ禍を挟んだのもあったけれど、『Face My Fears』から次の『Time』まで16ヶ月近く空いたのが大きかったか。

てことで、『Mine or Yours』から始まる9thアルバムへの旅、もう始まっちゃってる感じなので今後もいろいろと期待して参りましょうね♪



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本日は、毎年お馴染み『First Love』地上波初披露記念日。26年前。この時出演した「ミュージック・ステーション」は歴代最高視聴率である26%を記録したので3000万人くらいの人たちが観ていた換算。故にアルバム発売の1999年3月10日やシングル発売の4月28日よりも遥かに多くの人々にとっての『First Love』記念日は今日だったりします。もちろん、それまでにラジオでは掛かりまくってはいたけれどね。そこは、今も昔もラジオ・リスナーって限定的だから。

2014年はそのアルバムの15周年記念盤が発売されたり、2022年はNetflixドラマ「First Love 初恋」が配信されたり、2023年は『40代はいろいろ♫」でそれまでになかった大胆なアレンジで歌われたりと、ことあるごとに話題になってきていたこの『First Love』だが、今年は「THE F1RST TAKE」でのパフォーマンスが話題の中この記念日を迎えた。現在961万回再生なので、滞り無く1000万回再生を迎えそうだ。全くこの曲の神通力は衰える事を知らない。

他方、ヒカル自身はといえば、この日記でも何度となく触れてきたように、アルバム『SCIENCE FICTION』では2曲目という「いちばんの売りというわけでもない曲順」に配置し、ツアーでは「ノリノリの曲の間の箸休め」扱いだったりしたので、特に『First Love』にだけ注力してるわけではない。他の曲達と同様にケアして愛情を注いでいる。

ただ、理由や動機やキッカケはどうであれ、こうやってパフォーマンスやリアレンジを通して過去の曲に向き合う機会が訪れてくると、今度は次の創作への影響というものも表れてきたりはするだろう。歌い直してみてあらためて良さに気づいたり、今の技量なら全く違ったアプローチで編曲できてただろうなとか、今のサウンド・クォリティなら違うミックスでリリースもできたかなといった過去曲への気づきがそのまま次の新曲に影響を及ぼす事は有り得る。

実際、これまた事の経緯はどうであれ、『初恋』という和訳そのままのタイトルの全く新しい新曲をリリースしたり、『Flavor Of Life』や『Find Love』といった、タイトルが韻を踏んでいる曲をリリースしたりしている(なお前者はアップテンポの軽快なポップ・ロック・ナンバーである)。過去との比較や連想をしたい人はしてくれて一向に構わない、というその度の新曲への自信の顕れですわね。実際『初恋』は、『Laughter In The Dark Tour 2018』において「『First Love』の次順の曲」という大役を見事に果たしてみせた。あのライブ最大の見せ場が『初恋』の静寂だった、と思い返す人も多かろうて。

なので、ヒカルのこれからのアウトプットにまたもや『First Love』の面影が現れる可能性は結構ある(敢えて封印したりはしない)とは思われるが、結局のところはその都度都度の新曲たちがその時の主役を張るのであって、やっぱりヒカルの中では、特にクリエイターとしては『First Love』の存在は過去の一曲として相対化されている事になるだろう。一方、「THE F1RST TAKE」のようなスタジオ・パフォーマンスも含めて、自分で歌って誰かしらのリアクションを貰える機会に恵まれたとすれば、それはそれで特別な感慨を抱くことにもなるだろう。過去最高の出来とも言える出色の『First Love from THE FIRST TAKE』をApple MusicやSpotifyで聴きながら、そんなことを思うのでありましたとさ。


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いやほんと、しょこたんのことは当然心配なんだけど、それ以上に叩いてる人たちの精神状況が心配、というか不穏に感じるわ。彼らからのあれやこれやに対処する為に事務所が発表(週刊誌媒体に寄稿、なのかな?)した内容が「ゲーム機の入手手段」としょこたんの謝罪コメントって事態のおかしさ。たとえ盗品だったとしても何の関係もない我々にしょこたんが謝る理由ひとつもないからね本来は? 盗られた人と関係者の皆様に謝るだけで。道歩いてたら「お前ひとのモノ盗ったんだって? 俺に謝れよ!」っていきなり全く無関係な人に話しかけられるようなもんだからね今の事態は? もちろん現実には盗品なんてことはなく、人からプレゼントされただけのしょこたんが謝罪のコメント出すとこまで追い込まれるとか、完全におかしいからね? その自覚のない人が世の中にたくさんいるとしたらなんとも怖い、、、。


…なんて話が延々続くと流石にうんざりなので話をガラリと変えますね。


『Mine or Yours』が『SCIENCE FICTION TOUR 2024』完遂後初のオリジナル曲リリースとなったので、過去のヒカルの各ツアー後の最初のシングル曲を列挙してみる。


・『Can You Keep A Secret?』
こちらは2000年の『Bohemian Summer 2000』終了後初のシングル。ツアーが終わったのが2000年8月下旬で、このシングルの発売日が2001年2月中旬。半年待たされたってことだね。1月から既にドラマで流れてたし翌3月にはアルバム『Distance』がリリースで一挙に“新曲群”を得たのだけれど。

・『ぼくはくま』
こちらは2006年の『UTADA UNITED 2006』完遂直後、同年11月のリリース。ツアーが終わったのが9月10日なので2ヶ月半で発売されたんだな。前回のツアーよりもずっと早かったね。

・『Hymne à l'amour 〜愛のアンセム』
こちらは2010年2月に『In The Flesh 2010』が終わってから初のリリース。同年9月配信開始だから7ヶ月ほど後ってとこか。

・『Face My Fears』
こちらは2018年12月に『Laughter In The Dark Tour 2018』が終わって、翌2019年1月のリリース。5週間後だから『ぼくはくま』より更に早いな。

・『Mine or Yours』
SFツアーが終わったのが2024年9月、こちらのリリースが2025年5月だから8ヶ月後ですね。とはいえ、間に『Electricity Remixes』シリーズ3連発を挟んでいるのだけど。


てことで概観してみたんだけど、「ツアー中にもう次のアルバムへの曲作りに取り掛かってた」感のある『Bohemian Summer 2010』と『In The Flesh 2010』はリリースまでのスパンが半年前後と長く、アルバム完成直後にツアーに出た『UTADA UNITED 2006』と『Laughter In The Dark Tour 2018』は、ツアーが終わって即新曲を出した感じだね。

…ん?普通と逆じゃねーかこれ?

アルバム制作途中にツアーしたんなら次から次へと新曲を出しそうだし、アルバム完成直後にツアーしたんならそうそう新曲にすぐ取り掛かれないだろうに、ヒカルさんは逆なんすかね? 『Hymne à l'amour 〜愛のアンセム』収録の『Single Collection Vol. 2』にいつ取り掛かったのかはよくわかってないにせよ、それにしたってねぇ? アルバム作ってツアーも終わらせて、もう空っぽ!暫く休む!ってなるかと思いきやもう新曲作っちゃいましたっていう。そんな人ですか。ですね。本人も友人にいろいろと指摘されて苦笑いしてるようですし。

で、今年の『Mine or Yours』はそのどちらとも言えないというか。SFツアーはアルバムリリース直後の全国ツアーではあるけれど、『SCIENCE FICTION』がベスト・アルバムとしての側面も強かったから通常の制作とは違ってたはず。更にツアー後はコンサートBlu-rayの発売まではいつも通りにせよ(過去最速だけどね!)、映画館上映に写真集発売に、上述のリミックス連発もあって、つまり「新曲のリリースではなかった」だけで、間断なく活動が続いてるのは間違いないわけでね。

となるとなー。いやね、これまとめようと思ったのはそもそも

「『Mine or Yours』は次のアルバムの中でどんな位置付けになり得るか?」

について気が早過ぎるながらも論じてみたかったからなんだけど、結局、

「過去に前例のない展開になってるからさっぱりわかんない!」

という結論になっちゃったですよ、ハイ。やれやれ、これはアプローチを考え直さなきゃいけませんな。今はこうやって単曲で楽しませてもらってるけど、ゆくゆくはいつか「アルバム曲」になるからね。今からワクワクしてしゃーないのでな。ほんにいい曲からスタートしたなと思うよ宇多田ヒカルの9枚目のオリジナル・アルバムは! いやでも『NINE STORIES』なんてタイトルで写真集出したし『SCIENCE FICTION』を9枚目と数えるセンもある?? なら次は10枚目? そこらへんの話もまたいつか触れますかねー。



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Hikkiとしょこたんの比較というと、どうしても2人の学校生活の頃の妄想を繰り広げてしまうのよね。

ヒカルさんは過去の各発言から総合するに、特定のグループやカーストには所属せず、どこの人たちとも円滑に人間関係を営めていて、結構な遅刻癖があったりしても、学業成績の良さと愛嬌の良さで教師陣からも悪からず思われていて…みたいな“生徒像”を思い浮かべる。社交的というほど積極的に人と関わることはしないが、如才なく学校生活をやり過ごせたタイプだろうと。

一方しょこたんは、いじめや不登校の話題となると行政からも駆り出されるほどの知名度がある元不登校児で、人間関係に悩まされていたことは周知の事実。如才無いヒカルとは対照的だ。

この構図が、社会人になってからも展開されているようにみえちゃうのよね。決して人付き合いがいいとは言えない宇多田ヒカルだけれどもたまにメディアに顔を出すと方々から歓迎され尊敬され人当たりの良さも相俟って好感度は常に高く来た。あのタモリがデレデレになる人なんて吉永小百合以来じゃないかというくらいに。

しょこたんは、ネットでいじめに合ってる。ご覧の通りに。

でもこの構図、結局は「運」でしかないように思えるんだの。確かに、ヒカルさんはいじめられる要素が少ないように振る舞えてはいるけれど、いじめのターゲットになるかならないかなんて時の運でしかなくて。結局少数派とみなして追い詰めて生贄にできるなら誰でもいいので。なので、現状ヒカルさんがある程度いじめられずに来てたとしても、しょこたんをみると「もしかしたらヒカルもあそこに居たかもしれないなぁ」ってついつい思っちゃうんですよ。他人事とは思えない。

現実には、「無差別に人を襲った。誰でもよかった。」と供述する通り魔も、屈強な男たちが並んで歩いてるところに突撃はしないわけで、しっかり自分より弱そうなヤツを狙ってるというのが実際のところのようで。意識してるかしてないかに関わらずね。そんな現場に居合わせたことないけれども。なので、いじめのターゲット選びも空気を読んでるんだろうなと思われるので、結局のところ「いじめはよくない」という全称命題の空気が醸成されない事にはどうしようもないんだけれど、行政体のトップからそういう構造だったりすると歯止めがどこも利かないよね。司法体のトップなんぞいうまでもなく。なのでヒカルさんが物理的に日本列島から居なくなってるのは、至極正解だったなぁと痛感し直してますわ。それでもこうやって何度も来日してくれて嬉しい限りではあるのですが。

これで今後「宇多田ヒカルまでいじめられる構図」がみられるようになってきたら、いよいよ正気がどこにも見当たらなくなっていくだろうけど、どうなるやら。


暑いと怠いね。コーヒーと緑茶もアイスコーヒーと麦茶になる季節? 「冷えた緑茶」もペットボトルでポピュラーになったねぇ。あらかじめの水分補給を、皆様どうか忘れずに。コーヒーと緑茶は水分補給には向いてないけどなっ! ああいや、向いてないだけで飲まないよりはずっといいのだけども。


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しょこたんが叩かれてて何が悲しいってねぇ、、、ってことで昔語りするわ。


20年くらい前までは、ヲタクが地上波テレビの番組でレギュラー獲るなんてあり得なかったんですよ。今ならゴールデンで深夜アニメについて熱く語っても趣味の一つとして一応尊重してくれるとこまで来てるけれども。そんな当時、グラビアを張れるルックスなのにヲタク全開の芸風で地上波に出始めた中川翔子は衝撃的でね。「あんたなんでそんなに絵ぇ上手いの!?」って度肝抜かれたフジテレビの「考えるヒトコマ」が2005年春か。ちょうど20年前だね。そこからですよ、ブログの女王としてどんどんテレビに出てヲタクの市民権獲得に大きく貢献してってくれたのがしょこたん、中川翔子様なんですよ。

そんな彼女が歌うあの傑作テレビアニメ「天元突破グレンラガン」の主題歌「空色デイズ」をリリースしたのが2007年6月で、他方、宇多田ヒカルが歌う劇場アニメ「新世紀エヴァンゲリオン新劇場版・序」の主題歌『Beautiful World』をリリースしたのが2007年8月ですわ。大体同時期なんだよね。この頃からぐんっと「ヲタクアニメの主題歌を一流アーティストやアイドルが歌うのは何も特殊なことではない」という風潮が浸透していって。今トップアーティストたちがこぞって深夜アニメの主題歌歌ってる令和の時代からみたら考えられないかもしれないけどねー。そんな経緯だったんですよ。

んで。中川翔子と宇多田ヒカル。この2人個々人に関しては特にお互い接点はないんだけれどさ、見てるこちらとしてはそれぞれに時代を動かしてくれた恩人みたいな存在という認識なんですよ。ヒカルさんだってしょこたんがブログ女王と呼ばれる5年も前から「未成年の女性歌手が自らのウェブサイトで自分の言葉でメッセージを発信している」ことでも注目を浴びてたしな。色々と親近感があったんだわ。

なお2007年当時のヒカルさんはしょこたんと違って「私はオタクではありません!」と力強く力説していたことを記しておく。信じるかどうかは君次第だ。


そんな2人だったんだけれど、どうなんだろうね? Xを見る限り、今の世ではもうヲタクたちの救世主だったみたいなことは忘れられてたりするのかねぇ? 我々一般大衆は3歩も歩いたら大恩を忘れる鶏程度の頭しかないからなぁ。20年経って世代が移り変わった? いやぁ、10年以上前のことを蒸し返す人とかいるからそうでもなさそうだね。

ヒカルさんも昔は「ババア、結婚してくれ!」って次々と書き込まれるくらいに愛されてたなぁ、なんてその20年くらい前の事を思い出したりして。ああこれは、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)で「もう20代だし既婚者(後にバツイチ)なんだけど、10代みたいな可愛らしさがあるし何より才能抜群だし超大金持ちだし俺も逆玉の輿に乗りたい!」みたいな複雑な感情を表す歪んだ物言いだったんだけどやっぱり昔の空気感を今出すの難しいね…っ!

そんな2人が今年はそれぞれの理由でXとかで叩かれてて、まぁ遣る瀬無い。ヒカルさんは多分色々と覚悟の上で時流も読みつつ仕掛けてきたのだろうから叩かれるのも計算のうちなんだろうけど、しょこたんはそこらへん朴訥だからね。不意打ち喰らって心理的ダメージ多大に受けてるんじゃないかな。何とも理不尽だわ。

確かに色々と不器用なとこあるんだけど、だからって叩いていいとかましてや燃やしていいとかあるはずもなく。『Mine or Yours』関連で随分とXの検索をしたけど、そこにいる人たち、まぁ荒んでるというか、常識がズレてるのをもう全く感知できてないというか(アメリカがあれじゃ仕方ないんだけども)、末期というにはまだ早いけど随分と偏ったなぁという印象。今に始まったことではないとはいえ、しょこたんみたいな子(もう40歳で人妻ですけどね)がのびのび生きられない社会は問題ありまくりですよ。「いや彼女にも悪いところが…」とか反論したくなってるとしたら、かなり毒されてるので気をつけた方が、私はいいと思いました。やれやれだぜ全くもう!


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FFさんがレダラッハというスイスの有名チョコレートブランドについてのつぶやきをRPしていて、なるほど何が話題になってるかと思えば創業者の設立した学校での児童虐待疑惑か。同ブランドは今年の2月から5年ぶりに日本で再展開をしてて、疑惑は2年以上前から取り沙汰されていると。もうその創業者は経営から離れているがはてさて道義的にこのブランドの商品を購入すべきかと議論になっている、のね。

「商品に罪はない」と述べる人と「購買活動は資金供与にあたるのではないか」と言う人と双方いらっしゃる。ふむ、これは確かに難しいわね。

疑惑も確定してるようではないみたいだけれど(ここらへんのことは情報のタイムラグがあるかもしれない)、一方でこの学校の教義はキリスト教福音派らしく「同性婚・中絶反対」で、こちらは疑惑とかでなく中の人がインタビューでしっかり主張してることなので間違いなさそう。ふむ、これに基づいて不買してる人は、それこそ前回の日本撤退以前からいらっしゃるのねぇ。


なんでこんな話をしてるかというと、『Mine or Yours』もこういう世論に晒されかけたのかなぁって。「曲に罪はない」と思った人がどれくらい居たのか。「そんな主義主張の歌手にお金を払いたくない」という不買気味の投稿も見かけた気がする。

だけど、そこまで大きな話にはならなかったかな。結局、全体のアクセス数をみても『THE F1RST TAKE』での2曲のパフォーマンスの評価が圧倒的だったからね。

とはいえ人数の多寡の話でもない気はする。そもそもこのスタイルの歌の歌詞で、作詞家や歌手の主義主張がそのまま表れていると断ずるのも勇み足なのだとは思うけれど、結局の所政治は熱狂のうちに暴走するか否かが問題なので、ややもするとそのうち理屈も道理も通らなくなっていく。それこそ日本語圏内の風向きによっては、ヒカルが犯罪者呼ばわりされるかもしれない。毎度のように中川翔子様が炎上なさってるが、彼女は言い方が幼いだけで特に何か大きな瑕疵があったことはない。一度目をつけられると何をしても悪意をぶつけられるというだけだ。いわば運でしかない。

確かにヒカルは発言に恐ろしく気をつけているからしょこたんのような炎上被害に遭う確率は相対的には低いものの、ゼロではない。今回もそこまで派手に延焼することなく鎮火したのは圧倒的な実績と信頼によるものが大きいけれど、日本語圏における情報伝達能力劣化速度をみてると、それすらも効かなくなる日々が来るのかなとちと恐ろしくはなる。現在の有難き日々の幸せと好運を噛み締めて今までの成果をじっくり堪能しつつ次のアウトプットを待ちたい。


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ふむ、キンハ関連の新情報は無さそうね。まそりゃそうか。


さて話変わって。
最近のリリースの今日時点でのYouTubeの再生回数を見てみると。

50万回『First Love SF Tour 2024』
933万回『First Love THE F1RST TAKE』
424万回『Mine or Yours THE F1RST TAKE』
93万回『Mine or Yours』MV
33万回『Electricity MAJ2025』
27万回『Electricity (Arca Remix)』
239万回『Electricity』

こんな感じか。うぅむ、『First Love』が圧倒的に強い。その中で、『Mine or Yours』のFIRST TAKE バージョンもなかなかに健闘しているのではあるまいか。

そして『Electricity』関連、普通であれば十二分な再生回数なんだけど、楽曲の風格に見合うにはあと3桁足りないなっ…!

如何にタイアップが大事かわかるわよね。いやそれを言ったら『First Love』を提供した「魔女の条件」もそこまで視聴率が高かったわけじゃないけども。あ、でも各回平均視聴率21%は結構なものか。それでもやっぱり、どこまでも別格なのかなこの曲の世間での評価は。

『Mine or Yours』も、綾鷹スペシャル・ムービーの方はコカコーラのチャンネルで185万回、宇多田公式で36万回と、合計で200万回を上回っているのでなかなかのもの。このイメージの良さが、THE F1RST TAKEのバージョンやMVの再生回数に結びついているらのかな? いや、MVに関してはスペシャル・ムービーと役割を勘違いされてるかもしれないけどなっ!?

斯様にそれぞれ事情はあるけれど、『Electricity』に関しては、結局は伊藤忠商事の出稿が少なかったってことよなぁ。

でもね、どこかでノンタイアップで大ヒットして欲しいなというのは、なんだかんだであるのよね。(なおGoogle先生に「宇多田ヒカルのノンタイアップ・シングル曲はありますか?」と訊いたらAIさんが大量に大嘘ぶっこいてくれるので気をつけてね⭐︎ 2025年上半期時点で無料で使えるAIさんってこんなものかね?)

(それは置いておいても、)歌が歌だけで売れるって、どこかで出来ないのかな? つまり、テレビでもYouTubeでも、ただひたすら歌の宣伝をするだけというプロモーション・スタイルで売り出してみる、っていうね。営利企業がそんなことをしてくる意味はあまりない。そもそも引くて数多だろうからね宇多田ヒカルが新曲を作って出すとなるとね。向こうがお金出して曲の宣伝してくれるんだから乗っからない手はない。その上こちらが選び放題。は言い過ぎにしても大抵の場合選ぶ側なのは間違いなかろう。

ただ、相手を見極めないと、中途半端なイメージがついてそれっきりになってしまう、というリスクは有り得るわね。それも総合的にみると結局は「常にどの曲もタイアップをつける」のが最適解にはなるのだろうな。

『Electricity 』に関してはアナログ盤『Electricity Remixes』のリリースまであと4週間を切っているので、ここでもう一押ししてくれる期待は、ある! もう地獄の底から天国の頂上まで、どこまでもどこまでもついていきますよこの曲に関してはっ。是非是非、曲もレコード会社の中の人たちも、頑張って欲しいところなのです。


あまりに最近プロモーションが多元的で多角的で、今までとは違った感覚で追いつけてない気がするので、今回のような箸休め的まとめって結構のちのち効いて来ると、思うよ⭐︎


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