ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

置賜農業高校演劇部激励公演

2023-01-16 11:25:36 | 演劇
うおーっ、お客さんの多いこと!菜の花座より大入りだぜ。なんて幸せな君たちだ。こんな風に大喝采で東北大会に送り出してもらえるなんて。

幕上がって、おっとぉ、言ってることわかんねぇ!耳も悪くなっちゃいる、高校生の早口&甲高い声が脳の言語中枢に引っかからない。いや、時折キャッチする単語も意味が通じない。どうやら、アニメの声優の推しの自慢をし合っているらしいんだが、違ったか?
うーん、なんか懐かしいなぁ、机と椅子4客ずつの殺風景な舞台。何かってえと前に出て客席めがけて投げかけるセリフ。
進路をめぐる希望と不安、無理解な親に友達との行き違い、そして和解。見た見た、10年以上前に。
元気いっぱい、たった4人の役者たち。そう、その勢いが高校演劇の決め手なんだよ。
無難な題材をそつなく組み立てた台本と演出、やっぱり農業高校を舞台にしたのが良かった。見知った世界を描くのが一番だ。課題研究のテーマ設定の話し合いをするうちにばらばらだった4人が一つにまとまっていく。しかも絞られていくテーマは「ミツバチ」。
そうそう、ミツバチの研究で農業クラブ発表大会全国最優秀を取った学校あったよ、あれからヒント得たかな?
「ミツバチ」研究をどう進めるか?生態研究?商品開発?なんのなんの、ミツバチの生活をお芝居にしよう、でまとまる。何年も子どもミュージカルを手掛けて来た置賜農業高校演劇部と顧問Nの得意分野だ。簡単な衣装を使って、脱皮から成虫に、そして働きバチの日常行動を描写する。ここらあたりはスピーディーでとても面白かったなぁ。
そして、最後は巣と女王バチを守って死ぬ。誰にだって役割はある、これが最後のメッセージだ。
少し反応が遅くれる生徒が、何度も繰り返す、誰にでも役割はある、って言葉が効いてくる。人はだれも同じじゃない、だれにだって役割はある。あっ、彼が最初から最後まで読んでいる図鑑、その簡単な蘊蓄が笑いの活力になっていた。あれはいい。
ところで、
もちろん、このラストとセリフ、ポジティブに置いているんだと思うんだが、働きバチたちが一斉に死滅する際の真っ赤な照明と、必死に寄り合う姿、なんか禍々しいものを感じてしまった。
守るのが巣や女王バチでなく、領土や国、国体と置き換えると、話は一気に今の時代を暗く照らし出す幕切れになる。
命を懸けて戦うんだ侵略者と!身を挺して守るんだ祖国を!打ち破るんだファシストを!
若者よ、君らの役割=使命はスズメバチから巣=国を守って死ぬことだっ!まっとうせよ、各自の役割を!
俺ならば、きっとそう書いたろうな。そして、続きはこうだ。
ま、待ってくれ、そんな役割は真っ平ごめんだっ!たしかに、みんなそれぞれ役割はある。が、問題は、どんな役割を自分のものにするか?だろ。DNAに書き込まれた使命なんてまっぴらだぜ!ミツバチと人間、やっぱり違うんだ、って。
で、高校演劇の範囲から逸脱して予選落ちするんだよ、10数年間そうだったように。
そんなひねくれた見方はしない真っ当勝負の置賜農業高校演劇部と顧問N、たくさんの人に喜んでもらって、さかんな応援をもらって、東北大会、思い切ってはじけて来てくれ!

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