おっ、面白そうだぜぇ、『剣の詩』。朝鮮独立の抵抗運動を西部劇仕立てで描いたか、なるほど!
主人公は脛に疵持つガンマンだな。得物はウィンチェスターとコルト?詳しくは知らんけど、西部劇で見慣れたやつ。カッコいいぜぇぇぇ!
独立軍に肩入れする両班の御令嬢
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を守って荒くれ者どもバッタバッタ!ハラハラドキドキのストーリーで引っ張って、大いに見せてくれる。
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独立運動には加担せず、盗賊たちを組織して地域を守る。その仲間たちも一癖二癖あって楽しめる。
何よりいいのは女のガンマン、おっと違ったガンウーマン?の殺し屋だ。
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幼い顔立ちでためらうことなく相手を殺す。拳銃の腕もさることながら格闘技も誰にも引けを取らない。今時流行のキャラクターだな。惹かれる。
と、まぁ、設定やら歴史背景、人物造形にゃそそられるんだが、うーん、どうもなぁ・・・
西部劇、それも初期のそれ、ってことはインディアンの襲撃があるわけよ。荒野で襲われる駅馬車、なんて昔懐かしいシーンも出て来たりして。この悪役非道のインディアンがこのドラマでは日本の軍隊だったり警察だったり馬賊だったりする。
この日本軍や領事館員の描き方がどうにも、如何にも風の悪漢だっり、臆病な癖に権柄づくの男たちで、人間としてあまりにちゃち!もちろん、とことん弱くて、数十人の軍隊や警察隊が数人の悪党どもに簡単に殲滅されちまったりする。
強い主人公たちにスカッとするって人もいるんだろうが、建物に立てこもって、一人で十数人を次々打ち殺し、殴り殺す、となると、痛快さ通り越して、あり得ねぇ!の感が湧き上がって来る。
しかも、親玉は臆病で卑怯で惨めったらしくて、そうまでちゃちや人物に仕上げるなよ、別に日本人を醜く描いたから反感あるなんてこと全然ないんだが、敵役ってのはもうちょっと、って言うより、実力も人間も魅力的でないと物語の厚みってものが生まれないんだぜ。今時、ゲームだってそうだろ、倒すのに苦心惨憺するし、時には敵ながらあっぱれ!みたいな共感が生まれたりするものだろ。
ダメだよなぁ、ここがまるでなっちゃない。
実を言うと本当の敵役は別にいて、朝鮮人ながら日本軍の将校になってる男との角逐がストーリーの柱になっている。主人公のガンマンはこの少佐のかつては奴婢で、取り立ててもらって、一時は日本軍の将校だったこともあるって曰く因縁付きの間柄なんだ。
この朝鮮人ながら進んで日本軍人に志願したという人物設定は、とても興味をそそられる。宗主国と植民地って支配=従属、あるいは強権に対する反抗といった敵対関係ばかりじゃないからだ。そこが人間を描くうえでとても魅力的で、この人物が出て来ることで、当時の朝鮮人の置かれた難しい位置がよくわかって面白い。
ここをもっと掘り下げて、日本に憧れの目を向けつつも差別に悩み苦しむ様子とか、それでもなお、日本とともに歩むことを決めた人たちの心の屈折を描いてくれたなら、見応えのあるドラマになったと思う。って、これは勝手なないものねだりってことかもな。
この少佐がだんだんと窮地に追い詰められて、単調な悪役に変わって行ってしまうのが残念なんだなぁ。もっと、見る側の心を引き寄せる流れに作れたとおもうんだけど。
ただ、最終回は、この少佐が自分を裏切り騙し続けてきた御令嬢と結婚するシーンで終わる。これはおっと、期待が持てるぜ。御令嬢の方は政略結婚?スパイとして男の懐に入るんだ。男は女の意図、愛はないってことも含め、すべて知りつつ迎え入れる。
これはドラマだろ。
シーズンⅡ、ちょっと楽しみになる。が、日本人の描き方、このまんまカリカチュアで済ますとすれば、続けて見るのは辛いかな。
あっ、日本人が馬鹿にされてて許せん!とかそんな愛国感情は全然ないからね。