ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

作曲者に聞こえる”音”

2010-04-04 09:44:53 | 演劇

 レミさんが来た。朝、メールをチェックしたら、「今日行きます」って。やばいぞこれは!だって先月の30日に公演終わったあと子どもミュージカルはまったく稽古してないんだから。作曲者に見てもらう状態じゃない。せりふだって動きだってかなり飛んじゃってるに違いない。それに、二回の公演を終えて、大幅に手直しが必要ってこともわかっていた。

 でも、作曲者自ら指導してくれるってこんな素晴らしい機会はまたとない。それに仕上がった作品を見てもらうってことは、ある意味礼儀でもあるしね。よし、そんなら、この際手直しやっちまおうぜ!どうせいつかはやんなくちゃなんないことだもの。ってことで、早めに学校に行き作業に入った。

 約束の時間3時までになんとか舞台装置をセットし、削るせりふの指示を終え、衣装・かぶり物の準備が終わった。さっそくレミさんにみてもらう。

 いやはやひどいもんだ。せりふがまだしっかり入っていない上に直前の大幅手直しで立ち往生の連続。こんないっぱいいっぱいの状態で舞台に上がってたのか!と思うと今更ながら冷や汗ものだ。それに動きもせりふも未熟なことこの上ない。良い機会だから、こっちもダメ出しをと思って始めたメモだったけど、あまりのダメだしの多さにすぐに諦めた。こりゃじっくり通し小返しで直すしかないってね。

 さて、通し終えてのレミさんの感想。ばっさり落第点と切られるのかと思ったら、まずまずの仕上がりってことでまずは一安心。その後一曲ずつ歌と踊りを再現しつつ、具体的に声の出し方、歌うメンバーの数、ダンスの動きなど入念に直してもらった。その指摘は、然り、仰せの通り、納得、の連続だった。なんせ、ぎりぎりで仕上げた状態だから、歌とダンスについては、①歌詞を間違わない、②音程が狂わない、③大きな声で歌う、④笑顔で元気よく、こんな最低限のレベルでしか注意してこなかったのでね、もう、まったく作曲者に対しては汗顔の至り極まれり、だった。

 レミさんの指導を聞きながら考えたのは、「ああ、作曲者にしか聞こえない音があるんだなぁ!」ってことだった。台本の作者と同じ、せりふの言葉は誰もが読めるものであっても、それがどう読まれ発声されるかそのときの人物の心情やそれを表現する身体の動き、こういったものは作者の頭の中にはくっきりとあるのだけれど、それはせりふの一行一行からだけでは読み尽くせないものなんだってこと。だから演出がいる。これと同じことが音楽だってあるんだ、って当たり前のことを妙に実感した。レミさんの頭の中で響いている歌声は、今部員たちが歌っているのとはかけ離れたものなんだろうなって思いながら聞いていた。

 『トマト君』の歌は松田聖子の可愛らしいお色気、『ジュースマン』は宇宙戦艦ヤマトのササキイサオのたっぷりとした感じ、『ベジタブルクエスチョン』に至っては植木等のスーダラ節の適当さ、と、いやぁぁぁねそんな歌い方が作曲者のイメージだったなんて、知らなかった。ちょっと、こっちもまじめに対応しすぎたなってところだ。それにとしもこの幅の広さ、これもレミさんの大きな魅力の一つだと大いに実感できた。

 せっかく手直しをしてもらったので、この際、一気に二次加工に突き進むことにした。まず、上演時間を60分程度に圧縮すること、一人一人の演技を生きたものにすること、歌やダンスに磨きをかけること、そして、何より面白くすること、これを目指して後一週間とことんつっこむことに決めた。次回までには見違える作品に仕上げます!お約束します。レミさん。未来の観客の皆様。

 新入生歓迎の準備、定期公演の稽古、新しい演歌舞踊、新しいヒップポップダンスの練習、いろんなことがぎっちり詰まっているけど、まずやれる時にやる、それが大事だね。

 

コメント (2)
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