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ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

大道芸人に自由の神髄を見た!

2007-03-07 19:56:43 | アート・文化

 うわーっ!またまたすごい本を読んでしまった!

 森直実:編・著『大道芸人』ビレッジセンター刊。

 チンドン屋のことを調べようと、ついでに買った本だったのに。この本、アマゾンのマーケットプレイスで手に入れたってことは、もうすでに絶版ってこと?ウソでしょ!出てない本、絶賛してどうする!いやいや、ご心配なく、今日現在、まだ7冊はマーケットプレイスに出品されてたから、十分手にはいりますよ、って、なんか、最近、アマゾンの下働きみたいになってきたゾ。

 さて、チンドン屋の二人、林幸次郎さんと安達ひでやさんの本にびっくり仰天したのが、つい一週間前(本ブログ『チンドン屋の本当』を参照)。いやもう、今度も目から鱗、はもうすでに落ちちゃってるから、まぶたがひんむけるような驚きの一冊だった。

 中心となるのは、当代名うての大道芸人50人。その芸と生き様が、こってり、ぎっちり、ずっしり詰まってる。執筆するのは、この本の編著者の森さんを中心に、平岡正明、荻野アンナ、山崎洋子(この三人は大道芸人としても登場する入れ込みようだ。)、そして、横浜野毛の大道芸フェスティバルを支えてきた面々だ。

 まずは、芸人一人一人を紹介する文章が、実に良いなあ。愛情に溢れてる。凄いぞ凄いぞって、超人的な芸の中身を伝えるだけじゃない、その芸の神髄に迫り、その芸を一途に追求する芸人の魂に必死で肉薄しようとしている。その気迫だよ、どっちもその気迫。執筆者たちも、真剣勝負ってことが、ぐぐっと伝わってくる文章たちだ。芸と芸人を通して、人生を感じ、人間を知るって深みがある。でも、生真面目なだけじゃないゾ。観客の財布のひもをゆるめるユーモアが、大道芸に欠かせないのと同じこと。エスプリってとこかな、お洒落だよ、ほんと。

 大道芸人は、芸を披露して、投げ銭をもらう。それだけで生活してる。だから、必死で芸を磨く。時には、我が身の危険も顧みず、新しい技に挑戦する。実にシンプルな生き方だ。媚びることもない。怠けることもない。力を抜くこともできない。常に、その瞬間に全力投球する。紹介された芸人の生い立ちを見てみると、思いがけず、名門、名家、高学歴者が多い。特に、外国の芸人にはその傾向が大きいようだ。安定した職をなげうって、この道にのめり込んでる人も多い。

 何に惹かれてこんな不安定で、明日もままならない道に進むのか?50人の大道芸人たちの短い伝記を読んで、こう思った。それは、自由といさぎよさへの憧憬ではないかって。誰にも束縛されず、何人にも媚びへつらわず、自らの鍛え抜かれた肉体と研ぎすまされた技だけを頼りに生きていく。このいさぎよさ!究極のダンディズム。かっこいい~~!!だから、人々は、足を止める。だから、その芸に見ほれる。だから、投げ銭を帽子に入れる。芸の素晴らしさを讃えながら、彼らの生き様に拍手を送る。でも、これは、ちょっと、うがちすぎかも知れない。特に日本では、芸人は一段低いものと見られてきた。その蔑みと哀れみの感覚も、投げ銭には込められているかも知れない。

 でも、この本に集った人たちは違う。誰もが、芸人を愛している。惚れ抜いている。芸人の生き方を尊敬し、心を奪われている。そのぞっこんの片思いが、この本を生み出した。いやいや、その前に、『野毛大道芸フェスティバル』というとてつもない祝祭を誕生させ、大きく育ててきた。

知らなかったんだ!、『野毛大道芸フェスティバル』。今年で34回になるんだって。そんなこと、今さらっていう人には、ごめん。でも知らない人は次のページをぜひ見て欲しい。http://www.noge-net.com/daidogei.htm地元テレビ局制作の動画も見られる。

 ああ、チンドン屋の富山、大道芸の野毛、行ってみたいところがどんどんできてしまう、どうすりゃいいんだ?!

 決まってるだろ!行きゃいいんだよ!

 

コメント (2)
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