泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

わかってるんだけどうらやましい気持ちに

2011-01-19 14:22:08 | 丹下一の泡盛日記
今回、香港でたくさんの新しい出会いがあった。
集まった名刺がトランプみたい。
そしてこの1年知り合ったダンサー、パフォーマーと一緒に舞台に立ったり、その現場に立ち会ってもらったことでより深い会話が交わせるようになった。
帰国してからもFace Bookなどでおしゃべり。

香港はもともと一つの都市だ。(今はニューテリトリーが開発されていてちょっと事情が違う)
フローティング・シティー、と皆よく言うがその通り、アジアの海を漂っている。
そして香港の空港から飛び立つ便はすべて国際線。
みな気軽に「海外」に飛んでいくし、それを助ける助成金やスポンサーも日本より充実しているように見える。
今は知らないが15年くらい前、メインランドと張り合っていた台湾も現代芸術を助成することが国益につながると政府が考えていた。
こんな前衛で小さな舞台にも助成するんだ、と驚くこともあった。
もちろんクォリティは素晴らしい。
日本では難しいだろうなあと思うような作品だった。

香港でも「これくらいなら昔の自分たちの方が」なんて思うような舞台にも結構助成がついている。
日本だと同時に複数の助成を受けられないことが多いが、助成団体が存在を誇示したいのか、5つも6つもマークがついている。
実にうらやましい。
そして彼らダンサーやパフォーマーは30歳前半なのに、ワークショップのファシリテーターや様々な講師や学校の教師、仕事の舞台、フェスティバルスタッフ、時にはヌードモデルなどで食いつないでいて、居酒屋でお運びさんをしている人にはまだ出会っていないし土方(ひじかた、ではありません。念のため♪)をしている男性にも会っていない。
(ひじかた、をやってる男性の写真はマカオで見たぞ♪)

AManやVinch,Saffronは月に1回以上のAction Artやダンスの本番をこなしている。
Vinchは先週自分がちょこっと出た本番に続けて来週はマカオで舞台。


オープニングで劇場の外(建物の中庭)で踊るVinch Mok

AManはプレイバックシアターの本番の他、ファシリテーターの仕事もしつつ演出もしている。
7月は若い(彼女も若いぞ)人たちを引率して交換プログラムでメインランドに滞在。9月は1ヶ月ドイツのアートフェスに参加。
共同演出のHofanは4月にポーランドの舞踏フェスティバルに招聘されている。
彼女は1年ポーランドに留学していたことがあってポーランド語も話す。それもかなりちゃんと。

Michele(ミッシェル)などは障がい者とアートを出会わせる大きな団体の職員として「毎週書類に埋もれてるわよ!」と嘆く。
そして1週間に8本から10本のワークショップとプレイバックの本番をこなしている。
彼女は2つのプレイバックグループを動かしている。
そして障がいを持つ人たちと劇団を作り上海のフェスティバルに参加したり。
それに加えて通訳や翻訳で稼ぎ、年末はイベントのMCで夜明かしした。
年に数回は周辺のアジア諸国でオフを取り、昨年はヨーロッパでアクティングのワークショップに参加。
それらはもちろん様々な助成金やスポンサーシップに支えられているのだ。

なんかすごいなあ、と思う。
日本で芸術文化振興基金が登場した時「自分たちアングラにはきっと関係ないんだよな」と思い込んでいて、そして向こうさんにもそんなニュアンスが確かにあった。
それを「いや、それはおかしい」と動いて下さった方がいて今がある。
そして、なんだか香港がうらやましい。もちろんマイナスの部分もかなり見えてきている。
Vinchは「日本のアーティストから学んだこと」を教えてくれた。ここには書けないが日本ではそう言う問題はみんな隠していてあまり外に出ないんだよな。

彼らから日本でこんな仕事ない? と尋ねられる。
無いんだよ,本当に。日本ではワークショップより先生が来てお話しする方を喜ぶらしい。
身体で学ぶって発想が未だに少数派なの。
お料理教室やマナー教室のように具体的なスキルのことだと思ってるの、身体で学ぶことを。
「小さな現場でも政府から助成金が出て日本に行けるんだけど」。
そうだよねえ。。。。

それとね、香港のおまわりさんにも言われたけど、香港でもよく知られているように日本人の教育レベルは高くてたくさんの人が大学出てる。なのに、ほとんどの人が英語わかんないの。
(何をもってして教育レベルというかわかんないけど)英語話すのはちゃんと留学した人だけ。
海外の語学学校に遊びにいって履歴書に「留学経験有り」って人もいるんだ。まだたくさんの人が「教養」の一部だと思ってる。
僕の英語だってかなりレベル低いけど。
(Vinchいわく「Your English is...ah...um....a..O.K!」だとさ。)
話そうともしないし聞こうともしないのよ。
大学卒業者で英語話さないのはありえない、のとは環境も違う。(あんなに高い授業料払って/払ってもらって/るのに)世界への視野も違う。
「ここは日本だ。日本語でしゃべれ!」って外国人に言う人が本当にいるんだ。プレイバックの本番でいたよ。
極端なこといったらその人は国内旅行もできないよねえ。中国だったら隣村にも行けないか。
香港で中学卒でも英語修得していくのとは世界が違う。
だから日本では通訳者が必要になり、そして演劇やダンスのワークショップを理解している通訳者は自分が知る限りではかなり少数だと思う。まして地方都市では皆無だろう。

一般的に労働ビザを個人で取得するのが不可能に近いと言われる香港で、ニューヨークで演劇学校出た日本人のHちゃんが小学校の演劇の先生で就職している。
(彼女は英語で授業している)
日本ではその逆はありえないだろう。大学とか専門学校になるんだろうな。
日本にはそもそも義務教育に「演劇」の授業が無いというとみんな驚く。

今日は終日パソの前でお仕事。
寒いのかわんこたちがやってきては「わんこ」まみれになる。
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いちご大福

2011-01-19 00:53:39 | 丹下一の泡盛日記
香港の「初舞台」の写真がFace bookにアップされています。
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=481424846845&set=t.100000125614322

今日は2月の末の「ハムレットーデンマーク王子解体新書」の稽古へ。
役者の原元さんがイチゴ大福を持ってきてくれた。


なんか赤いイチゴがセクシーだ。
美味しくいただきました。



それにしても寒い。
お肉食べないし酒も控えめ。
なのに寒くて食べ過ぎてなんと70キロまで戻ってしまった。
いかんいかん。

かみさんは明日軽井沢へ契約に赴く。
プロジェクトは大きく前進する。
さて、こちらもどうなるか、楽しみだ。
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