たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

新カリキュラムへ

2009-11-18 01:23:09 | Weblog
 今日、新しい学習指導要領(これに沿って、すべての初等・中等教育が行われる。教員および教員志望者の必須アイテム)の高校バージョンがでたらしい。だいたいの変化を友達から教えてもらった。

 「今日さ、高校の指導要領が出てたから…」
 『衝動買いしちゃった?(笑)』
 「うん、そんで、読んでたんだけど、…」

 マジかよ(笑)。こっちとら、冗談のつもりだったんのに、このクソ真面目ヤロー、すげーな。

 「物理の変化がヤバいね。」
 『なんか、大幅に消えてた?』
 「っていうか、Ⅱへの移行が激しい。」
 『ふーん。どんな範囲?』
 「えーっとねぇ、光がⅡになっちゃってた。」
 『うわー。授業すんのめんどくせ。』
 「うん。どーすんだろうね。」
 『波の基礎原理をやって、波の具体例として、音をやります。3年になったら、もう一つ、光やりますからねー。…ってのを、毎回やるんかいな。』
 「絶対、混乱するよね。」
 『現行でも、コンデンサーがⅡってのが、わかりにくい気がするのに。だって、電荷とか定義せずに、抵抗回路はやっちゃうんでしょ?意味わかんないじゃん。』
 「確かに。しかも、音はⅠかと思いきや、ドップラー効果だけは、Ⅱなんだよ。」
 『はぁー?何それ。。』
 「そして、剛体もⅡだー。」
 『Ⅱに押し付けすぎだろっ!』
 「うーん。よくわかんないよね。」
 『理系の生徒がやりにくいだろうな。。』

 でも、センター試験はラクになります。物理基礎だけですから(俺らの会話では、ⅠとかⅡとか言ってますが、次期指導要領から、物理Ⅰ→物理基礎、化学Ⅰ→化学基礎、生物Ⅰ→生物基礎、物理Ⅱ→物理、化学Ⅱ→化学、生物Ⅱ→生物、と名称が変更になります)。
 化学範囲も無機と有機は化学基礎では行わないことになりました(っま、今までも、多くの公立高校で、Ⅱでやってたから、変わらないけどさ)。新過程でイオンや周期表は中学でやることになってるから、総体的に、化学基礎のセンターもラクになるでしょう。
 それでラッキーっと思う人はイイとして、高校である程度ちゃんと理科を学びたいという人(で、特に文科系の生徒)にとっては、可哀想だと思います。生化学の範囲もがっつり消えちゃってるし(生物の「生命現象と物質」は健在)、電気の事も、これじゃあわかりにくいよね。

 そのほか、高校理科での大きな変化として、理科総合が完全に消え、必修が「科学と人間生活」を含む基礎科目2つか基礎科目3つになりました。だとしたら、学区トップクラス校(今や学区がねーけどな)では、3科目(物、化、生の基礎)履修が当たり前になるのか?
 僕はお偉いさんじゃないのでわかりませんが、俺だったら、そうします。だって、「科学と人間生活」や理科総なんて、入試にでねーもん(だからって高校卒業程度の学力として~みたいな、キレイ事は無視!)。理科総の教科書、中学の内容みたいだし。だから、理科総と言いながら物理やってたりと、他のことやってる高校が結構あるのです。

 『んで、数学は?』
 「うーんとね、やっぱり、行列の範囲がガッツリ無くなった。でも、それくらいかな」
 『あそこは、イイや。まぁ、教えるのも、簡単すぎてタルいしね。』
 「でも、複素平面復活だよ。」 
 『まぁ、別に、そんなに難しくないし。それに、Ⅲでしょ?』
 「そうだね。あと、整数問題が増えてた気がする。」
 『ふーん。じゃぁ、まあ、特に変更なしか。』

 数学は、Cが無くなり、Ⅲが5単位になります。行列無くなるの、高校教員サイドとしては良いんですが、大学教員サイドとしては、困ります。線形代数をまるまる最初っからやらなきゃいけないわけですから、それは、ホント、大変です。したら、2次曲線…っと思ったけど、あれはあれでなくなったら、困るな。大学入試の問題って意味でも困るし、大学入ってからも困る。
 どっちにしろ、複素平面も行列も、なんでも、大学行くと必要なんですよね。xy座標での回転系の話をするために、一次変換か複素平面のどちらかはやらないといけないんですが、最終的に、理系は、どっちも絶対に必要です。

 こんな感じで、今の中学3年生からは、高校の理科系の科目を、履修することになりますね。
 教員志望でもないくせに、結構、現職の先生の中でも、総体的に理解しているほうだと自負していますが、もし、間違いや追加したい点などを発見されたら、どのような方でも、コメントをくださるようにお願いします。一応、あと2年は、この手のお仕事をしていく予定ですので。

 学習指導要領がいくら変わっても、東大入試やセンター試験は、きっとカワラナイ。前期量子論の分野が出しやすくなったり、生化学の分野が化学からは出せなくなったり、行列の問題が出せなくなったけど、きっと、ほとんど変わりません。
 東京大学の学部入試と大学入試センター試験は、すべての大学入試のベースになります。もちろん、それによって、東工大の、あの独自の化学の出題の仕方や、京都の和訳英訳、物理の穴埋めが、変わるわけはないですが、なんてーか、空気がちょいちょい、動く。

 学習指導要領なんか研究するよりも、教員はもっと他の教材研究をしなきゃいけないし(だからって、指導要領は把握しなきゃだけどね)、高校生はもっと本質を見抜かなきゃいけない。
 後輩達よ、高校や予備校の先生、本に書かれていることを、そのまま、真に受けないで、きちんと吟味し、本当かどうかを把握し、自分の目で見に行かなきゃいけません。

 情報を自分で処理する力も受験に勝つ力なのです。
 って、この記事は、ほとんど、友達からの情報だけどね。俺はもう受験しねーもん(笑)。
 (注:一応、自分でも確認しています。。)
コメント
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