スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

シオニズムへの影響&肺癌

2023-07-08 19:01:04 | 哲学
 『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』を読む限り,スピノザはいずれはパレスチナへのユダヤ人の帰還が果たされると考えていたように思われます。ただ,これは未来のことであって,スピノザが生きている間にそのようなことが起こるとは,スピノザは考えていなかったであろうと僕は思います。第二次世界大戦を経てイスラエルという国家が成立することで,スピノザのこの予測は実現することになります。もっとも,このような形でのイスラエル国家の建設を,スピノザが好意的に評価するのかということはまた別です。スピノザは単にユダヤ人は自身の国家を構築するだろうといっただけで,それがよいことか悪いことかを示しているわけではないからです。
                                            
 『神学・政治論』のこの部分について,『スピノザ 異端の系譜Spinoza and Other Heretics : The Marrano of reason」では,後世のユダヤ人に影響を与えたという主旨のことがいわれています。
 パレスチナへのユダヤ人の帰還を目指す運動は,シオニズムといわれます。シオニズムの運動は,ユダヤ人が各地に散らばって以降,強弱に差はあっても常にあったと考えておくべきだと僕は思います。しかしそれが最も盛り上がったのは,19世紀末からの運動で,一般的にシオニズムといわれるのは,この時代からのユダヤ人の運動を意味するかもしれません。そしてその時代にシオニズム運動を展開した少なからぬユダヤ人が,ユダヤ人はいずれは独自の国家を建設するであろうという『神学・政治論』の記述に,共感を示していたようです。スピノザの破門が解かれるのは,イスラエルが建国されてからのことですから,この時代のスピノザはユダヤ教から破門された人物だったことになります。なのでたとえ長い書物のごく一部のことであれ,ユダヤ人が共感を示したのは,僕には意外なことでした。
 たぶんこれは,この部分だけが特異に抽出されたことがゆえのことだと思います。スピノザは単にこのことを予測しただけで,それを推奨していたわけではありません。後世のシオニストたちがスピノザを自分たちの先駆者とみなしていたとすれば,それは勘違いであったとしかいいようがないのではないでしょうか。

 10月13日,木曜日。総講に行きました。13日の総講は日蓮の月命日の総講です。とくに日蓮の命日は弘安5年10月13日となっていますから,この日は単に月命日であっただけでなく,命日の当日であったことになります。「建長五年癸丑の四月廿八日の朝より,弘安五年壬午の十月十三日の夕にいたるまで」という文章が,経典の中にも含まれています。なお,建長5年4月28日というのは,日蓮が産まれた日ではありません。宗派を設立することを宣言した日です。
 10月14日,金曜日。妹を通所施設へ迎えに行きました。この日はО眼科に寄って目薬を処方してもらいました。また,僕が歯科検診に行く月でしたから,ついでにI歯科に寄って,検診の予約を入れました。
 10月15日,土曜日。死んだ従妹の夫から電話がありました。これは正確にいうと元夫です。この従妹は最初に結婚した後で離婚し,別の人と結婚しました。その相手とも別居するようになったのですが,籍は抜きませんでした。そのまま死んでしまいましたから,従弟の通夜や葬式のとき,従妹の苗字は戸籍上の苗字になっていました。つまり僕の母が結婚する前の苗字,あるいは福江島に転居した叔父の苗字とは異なっていたのです。このときに電話を掛けてきたのは,従妹が最初に結婚したときに夫だった人です。離婚したわけですが関係はその後も良好で,とくに叔父とはウマが合ったので,従妹が死んだ後も関係が継続していたのです。
 このときにこの方から伝えられたのは,叔父,これはもちろん福江島に転居した叔父のことですが,この叔父に肺癌が見つかったということです。肺癌自体はステージ3でしたが,これはステージ4にきわめて近い状態で,リンパと骨にはすでに転移しているとのことでした。治療をしなければ余命が1年ほどと告知され,叔父は自らの希望で延命治療をしているとのことでした。
 この電話が叔父本人からではなく,従妹の元夫からだったのには理由があって,叔父自身はこのことを僕やロサンゼルスの姉には秘匿しておいてほしいという希望があったのでした。それでも僕には伝えておいた方がよいだろうと判断され,僕には連絡がきたのです。

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