スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

戸口の雑感⑤&指示の時期

2020-08-27 19:30:33 | NOAH
 戸口の雑感④の続きです。
 戸口がジャンボ・鶴田と初めて戦ったのは,全日本で戦い始めたシリーズ中の10月1日でした。戸口のパートナーはもちろん大木金太郎。鶴田のパートナーは高千穂明久すなわち後のザ・グレート・カブキでした。このシリーズの最終戦で,戸口と大木が組んで馬場と鶴田が保持するインタータッグに挑戦するというカードが決定していたのですが,前哨戦は意図的に避けられ,戸口と鶴田が当たったのはこの試合のほかにもう1試合だけだったそうです。一方,高千穂とは何度も対戦が組まれたようで,戸口には鶴田の印象より高千穂の印象が強く残っているようです。高千穂は受けるだけ受けてその後に自分を出すというタイプの試合運びをしていて,戸口は巧みな選手であったと評価しています。
 大木と戸口のチームはこのシリーズでは全勝でした。つまり,インタータッグの王者も獲得したことになります。その時点で24戦無敗となっていますから,おそらくシリーズを通じてほとんどの試合,もしかしたら全部の試合で,戸口は大木とのタッグで仕事をしたのかもしれません。このときの大木の状況からするとシングルマッチを行うには無理がありそうですし,かといってほかの選手とタッグを結成するというのも変なので,このような形になったものと思われます。またこのことから,大木が自身のパートナーとして戸口を全日本プロレスに迎えることを要求したのも,当然のことだったといえるかもしれません。
 この頃の鶴田は戸口からみると,足腰の強さは凄かったけれども,試合運びはきわめて単調という選手でした。一方,馬場は試合の組立も攻守の切り替えも絶妙で,休むときは休み,行くときは行くというリズムも素晴らしかったと絶賛しています。戸口からみて,最高のレスラーだったそうです。このとき戸口は,レスラーとしては最高,といういい方をしていて,これはつまり経営者としてはそうではなかったという思いの裏返しでしょう。
 戸口は馬場が最高のレスラーであった理由も分析しています。これについては次回に詳しく紹介しましょう。

 スピノザの死の状況を総合的に勘案すれば,実際にスピノザが死ぬ以前の段階で,その余命がそうも長くはないということを,シュラーGeorg Hermann Schullerが知っていたとしてもおかしくはありません。もちろんそれは医師としての自身の診断なのであって,スピノザは間もなく死ぬということを確実に知るということはだれにもできないことではありますが,そんなに長くスピノザが生きられる可能性はきわめて低いということくらいは,シュラーが分かってたとしてもおかしくはありません。そこでもしもそうした事情をシュラーがライプニッツGottfried Wilhelm Leibnizに伝えていたとしたら,スピノザが死ぬ以前の段階,これはつまり遺稿集Opera Posthumaの編集に入る前の段階という意味であり,同時に編集者たちが遺稿を入手する前の段階という意味でもありますが,この段階において,当該の書簡を削除するという要求が,ライプニッツからシュラーに伝えられていたとしてもおかしくはありません。スピノザが死ねばその遺稿集が出版されるであろうということは,ライプニッツには容易に予見できることだったからです。なぜならライプニッツは実際にスピノザと書簡のやり取りをしていたわけですし,未出版の『エチカ』が存在するということも知っていたからです。いい換えればスピノザには未発表の原稿があるということを知っていたからです。
 したがって,ライプニッツの指示がスピノザの死の前にシュラーに伝えれていた可能性はあるわけで,そうであるなら,スピノザが死ぬ前あるいは死の直後に,いい換えるなら遺構がスぺイクHendrik van der Spyckの作業によってリューウェルツJan Rieuwertszの手に渡る前に,シュラーは当該の書簡を抜き取ったとしても不思議ではありません。これがもうひとつの可能性として示す物語の,原理的な部分を構成します。
                                        
 もしもスピノザの死を看取った医師が,スぺイクが証言しているようにマイエルLodewijk Meyerではなくてシュラーであったとしたら,おそらくシュラーはだれにも,というのはほかの遺稿集の編集者たちのことだけを意味するのではなく,スぺイクをはじめとするこの一家の人びとも含めた意味で,だれにも知られないように,遺稿の一部である当該の書簡を抜き取ることが可能であったと思われるのです。
コメント
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