スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典東京盃&第二部定理四九備考

2019-10-03 19:09:54 | 地方競馬
 昨晩の第53回東京盃
 ニホンピロタイドは加速が鈍く1馬身の不利。内からコパンキッキングが先手を奪いきっての逃げ。控えたクルセイズスピリツは2番手に。3番手はポッドギル,キャンドルグラス,サクセスエナジーの3頭。6番手にショコラブラン。7番手はブルドッグボスとグランドボヌール。9番手がゴーディーで10番手にニホンピロタイド。11番手にイノデライト,エイシンユニコーン,ヒザクリゲの3頭。マッチレスヒーローとマイネルルークスが最後尾で併走という隊列。前半の600mは34秒3のミドルペース。
 3コーナーでサクセスエナジーがクルセイズスピリツの外まで上がって2番手で併走。クルセイズスピリツはコーナーで一杯になり,サクセスエナジーが逃げるコパノキッキングを単独で追う形に。ただ,サクセスエナジーが手を動かしながら追っていたのに対してコパノキッキングはこの時点でまだ楽な手応え。直線に入るとコパノキッキングがまたサクセスエナジーとの差を広げていき,楽に逃げ切って優勝。大外から追い込んできたブルドッグボスが4馬身差の2着。サクセスエナジーが4分の3馬身差で3着。
 優勝したコパノキッキングは1月の根岸ステークス以来の勝利で重賞3勝目。その後の3戦は勝てませんでしたが,ここは相手関係が格段に楽になっていたので,圧勝まであり得ると思っていました。逃げるとは思っていませんでしたが,着差は能力差を反映したものだと思います。末脚勝負型の馬でしたから,逃げて結果を出したのは収穫といっていいでしょう。母の4つ上の半兄に2005年のNARグランプリの最優秀ターフ馬のモエレジーニアス
 騎乗した藤田菜七子騎手はデビューから3年7か月で重賞初勝利。管理している村山明調教師第49回以来4年ぶりの東京盃2勝目。

 スピノザは同じ第二部定理四九備考の中で,次のようなこともいっています。それを手掛かりにします。
                                   
 「我々が真なるものを真として肯定するのに偽なるものを真として肯定するのと同等の思惟能力を要するということを私は絶対に否定する」。
 スピノザはこのことを,十全な観念idea adaequataと混乱した観念idea inadaequataの関係は,有と無の関係であるということと関連させて記述しています。これでみると,意志voluntasが思惟する力potentiaより広くわたることを否定するといっている,同じ備考の別の部分ときわめて矛盾したことをいっているかのようです。ですが僕はそのように解する必要はないと考えます。真verumなるものを真として肯定する力と,偽falsitasなるものを真として肯定する力とは同等のものではないということを主張しているこの部分の論旨については,岩波文庫版の訳者である畠中尚志が注釈を与えているのですが,僕はその注釈とは異なった仕方でそれを説明していきます。
 真なるものを真として肯定する力と,偽なるものを真として肯定する力が,同等の力ではないということが,十全な観念と混乱した観念が有と無の関係にあるということと絡めていわれているのは,真なるものを真として肯定する力は有esseとみなされるのに対し,偽なるものを真として肯定する力があるならそれは無であるという意味を有していなければならないことになります。ところがこの解釈はたぶん全面的に採用することはできません。というのはスピノザはこのことを主張するときに,第二部定理三五の参照を促しているからです。
 僕は虚偽と誤謬をこのブログでは明確に区分して用います。すなわち虚偽falsitasとは混乱した観念そのものであるのに対し,誤謬errorとは混乱した観念を十全な観念と思い込むこと,ないしは混乱した観念であることに気付かないことだと区別するのです。したがってある知性intellectusのうちに虚偽が存在するだけではその知性は誤謬を犯していません。虚偽が虚偽であると知らない限りにおいてその知性は誤謬を犯すのです。むしろある知性の中に虚偽が含まれていても,同時にそれを虚偽であると知っているのであれば,その知性は何の誤謬も犯していないのです。これがこのことを考える前提になります。
コメント
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