スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

チャンピオンズ&チャターカップ&円の定義

2019-05-27 19:01:24 | 海外競馬
 香港のシャティン競馬場で行われた昨日のチャンピオンズ&チャターカップGⅠ芝2400m。
 北海道のハッピーグリンは大外枠からの発走。やや強引に内に入れようとしましたが,3頭が併走する5番手の外に。1コーナーから2コーナーにかけてのコーナーワークで6番手の外になりましたが,向正面に入ってまた元の位置に戻りました。ミドルペースのレースだったと思われます。3コーナーも外を回り,ここでは遅れをとりませんでした。しかし直線で大外になるとそこからは伸びがなく,8着でした。
 発走後の直線はそこまで短いわけではないので,ややロスのある走りだったと思います。結果的に外を回らされることになりましたが,大きな差をつけられていますので,たとえば内枠からの発馬であっても厳しかったのではないでしょうか。この距離でもそれなりに走ってはいるのですが,本質的にはやや長いような気もします。

 定義Definitioに含まれているのが好ましい,定義されるものの起成原因causa efficiensが虚構であって構わないというのは,幾何学的方法すなわち綜合的方法における定義の条件のひとつです。よってこれは数学だけに関係するわけではなく,何であれそれを幾何学的方法によって記述する,あるいは研究するという場合に妥当します。なのでこのことは哲学の場合にも妥当するのであって,本来は哲学の研究の場合にもこれから示すのと同じ疑問が呈されてもおかしくありません。ですが僕がこのことを,とりわけ数学者たちを困惑させるのではないかと思っていたことにも理由はあります。スピノザはこのような虚構としての起成原因を含む定義の例を,好んで円の定義として説明するからです。円は図形であり,それが数学という学問の対象であるということは,だれでも知っていることでしょう。
 スピノザは円を,一端が固定し一端が運動する直線によって作成される図形である,というように定義します。これは厳密性を欠くので,ここでは平面上の図形のことだけを念頭に置いてください。平面上に1本の直線があって,この直線がスピノザの円の定義に含まれている運動motusをするなら,確かに円が作成されます。いい換えればこの定義は円の起成原因を含んでいるといえるでしょう。そしてこの定義がこのような起成原因を含んでいるがゆえに,たとえば中心からの距離がすべて等しい図形であるといった,円の諸々の特質proprietasのすべてを導くことができるのです。他面からいえば,中心からの距離が等しい図形であるという言明は,円に関する真の命題ではあるのですが,それは円の特質のひとつであり,円の定義ではあり得ません。この命題は真verumではあっても円の発生を何ひとつ含んでいないからです。いい換えればこの命題には円の起成原因は含まれていないからです。
 これが円の定義であるとしても,知性intellectusを離れて形相的にformaliter,というのは物体corpusとしてという意味ですが,物体としての円が存在するとき,その円はスピノザが定義したような直線の運動によって発生したとは限りません。というよりそういう場合の方が少ないでしょう。だから円の定義は明らかに虚構を含んでいることになります。
コメント
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