スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

霧島酒造杯女流王将戦&人間の観点

2017-11-10 19:10:46 | 将棋
 4日に放映予定であったものが前の番組が延長されたために5日に囲碁・将棋チャンネルで放映された第39期女流王将戦三番勝負第一局。対局場は霧島ファクトリーガーデンで対局日は10月14日。その日時点での対戦成績は里見香奈女流王将が4勝,伊藤沙恵女流二段が3勝。
 振駒はと金が3枚で伊藤二段の先手。里見王将のごきげん中飛車①から先手が一直線に穴熊を目指す展開。後手は美濃囲いから左の銀を5四から4五に繰り出し早めに仕掛ける将棋に。中盤の応酬はかなり見応えがあり,終盤もきわどい勝負となりました。
                                     
 後手が桂馬を打った局面。局面は難解ですが,後手は横から攻められないので端を攻めるほかないのでかえって分かりやすく,先手は手が広いのでいろいろと考える余地があり,早指しの将棋だと後手の方が勝ちやすくなっているかもしれません。
 ここは☗8六銀とか☗8八玉のように強く受ける手もありますし,☗5三桂成や☗5三桂不成と攻めていく手もあります。たぶん☗5三桂不成☖7一金☗4一飛のように進めるのが最善ではなかったかと思われます。実戦は☗5三桂成で,結果的にはこの手が敗着になった模様です。
 後手は受けずに☖9七桂成☗同香☖9五歩と攻め合いに出ました。先手は☗6三成桂として☖9六歩に☗6四成桂と角を取って攻めつつ受けました。対して後手は☖9七歩成☗同桂☖同香成とここも攻め合いを選択。これで勝ちと読み切れていたようです。
 ☗9四桂と単に王手をする手もありますが,同じような進行になったと思われます。実戦は☗7三成桂☖同銀と捨ててからの☗9四桂。後手は☖9二王と逃げ☗9三歩は☖同桂と取りました。☗8二飛に☖同銀なら☗同桂成☖同王☗6四角で詰みですが☖9一王。
                                    
 第2図は先手に角と歩しかないので打ち歩詰めで逃れています。☗9八歩に詰みがあったかもしれませんが☖8九銀と詰めろを掛け☗8八金に☖7七角という三手必至で後手の勝ちとなりました。これは名局だと思いますので多くの方に並べてほしいです。
 里見王将が先勝。第二局は明日が放映予定日です。

 ウェルテルが人間の身体corpusが神Deusの身体と似ていると思っていること,したがって神に物体的な意味における身体があると把握していることは僕には確実であると思えます。したがってこの部分においても,ウェルテルはスピノザの哲学と異なったことをいっているのだと僕は解します。なお,これは,人間が神に似た精神mensないしは知性intellectusを有しているというべきであるという意味ではありません。このようにいうなら神が人間の精神あるいは人間の知性といわれる意味での知性であるといっているのに等しいからです。したがって,ウェルテルがいうように,神は自身の姿に似せて人間を創造したということはスピノザの哲学に反していますが,もしウェルテルが,神は自分の精神に似せて人間を創造したといったとしても,それは同じ意味においてスピノザの哲学と反することになるでしょう。
 さらに,この部分にはもうひとつ,スピノザの哲学と相容れない要素が含まれていると僕には思えます。ここまでは人間を創造した神という観点からその相違を追求してきましたが,最後の相違は,神に似せて創造されたといわれている人間の観点です。ウェルテルは当該部分において,数多くの物体corpusを示し,その中でとくに人間は神に似せて創造されたといっています。谷間の霧や草,草の茎の間の小虫や羽虫については,おそらくウェルテルは神が自身に似せて創造したものであるとは思っていないのです。しかし人間に関しては,神は自身に似せたのだと思っています。僕はこの部分に,ある種の優越性を感じます。すなわちウェルテルのいい方は,人間は優越的にeminenter神に似せて創造されたといっているように僕には思えます。そしてそのように解することは,この部分のテクストの記述のされ方からして,正当なものであると考えます。
 スピノザはフーゴー・ボクセルHugo Boxelとの間で交わされた書簡において,人間の優越性を主張するボクセルに対し,人間がほかのものに対して優越的であるということはないと主張しています。もちろんボクセルが解する優越性は,霊的な意味での優越性なので,ウェルテルがいっているような物体的あるいは形状的な意味での優越性ではありません。
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