浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

いまさらそうせき

2012-11-08 00:21:29 | 
ちょっと前に「電子書籍の夜明けは遠い」と書いた。その考えは変わっていないんだけど、少しだけ時代が動くかな、と思う出来事はamazonのKindle発売。

これがKindle。
Kindle Fire HD 16GB

Amazonのサイトから電子書籍を買うことが出来るので品ぞろえも多そう。

それから、「Amazonうまいなー」と思うことがこのKindle発売に合わせてAmazonのサイトではそれぞれの書籍に「Kindle化希望ボタン」がついている。つまりこのボタンが多く押された書籍から電子書籍にしていくことで売り上げが予想できる。さすが商売うまいね。これでボタンが多く押された書籍はコストかけて電子書籍にしても売れる可能性が高いということだもんね。

更にKindleストア(つまりAmazonによる電子書籍ストア)はiPadとiPhoneでも利用可能。つまりiPadからAmazonの電子書籍が買えて読める。うまいねー。ソフトで稼ぐかハードで稼ぐかの違いではあるんだけど、Amazonとしては「Kindleが売れなくてもAmazonで電子書籍が売れればいい」ということだろう。そりゃそうだ。だいたいにおいて「独占的なハードを作ってそのハードで稼いで市場を席巻する」というのは非常に魅力的なアイディアだけどなかなか巧く行かないもの。SONYのベータビデオからいい加減学ぼうね。

えーっと、Kindleストア。

まだ有料のは買っていないけど無料のもの(著作権が切れた昔のものなど)があるのでiPadに落としてちょこちょこ読んでいます。

今は夏目漱石の「草枕」を読んでいる。

改めて言いますが、、、名作だね!

筋の話はおいといて、ただただ日本語がなんだか清流のようにさらさら流れている。それが心地よい。

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山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
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うむー。夏目漱石ってすごいんだね。(いまさら夏目漱石再評価)

会話文もポンポンポンと落語のように進んでいく。考えてみれば古今亭円朝の落語を聞いて「文学も口語でなければいかん」と口語体で小説を書き出したのが夏目漱石なんだから落語に似ているのは当たり前だ。

電子書籍の夜明けはまだ遠いと思うけど、こういう昔の名作が気軽に読めるようになったのはいいことだと思う。

(もちろん少し前から青空文庫で読めたわけだけど、青空文庫だと振り仮名の表記がちょっと読みづらくて)

一方で、楽天も電子書籍リーダーを出しているけどそろそろレフェリーストップが必要なんじゃないの? 誰か社長に「そろそろ撤退しましょう」と言ってあげなよ。あ、社内で英語しか使っちゃいけないからうまく言えないのか。(←イジワル)