浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

興隆期と衰退期

2011-10-05 23:27:27 | 
何度か言っているけど、『ローマ人の物語』の話。

既に単行本で15冊ほど出ていて、今は毎年文庫本で刊行されている状態。

それをずっと読みたいなと思っていたんだけど、僕は2007年から読み始めた。その時点で刊行されていた1から10まで、文庫本にして約30冊を一気読みし、後は毎年9月に刊行されるのを待って読んでいた。

そして今年の9月、文庫での最終シリーズが出た。つまり5年続いた個人的な9月の風物詩もこれで最後、ということになる。


ああ、淋しいなぁ。なんたってタイトルが『ローマ世界の終焉』ですよ。終わっちゃうんだね。

文庫のシリーズの表紙には舞台になった時代のコインが掲載されている。そして、文庫を開いて1ページ目には作者によるそのコインの解説文がある。これは文庫版のみの特典。

つまり、文庫版を読む場合、まず最初に目にするのはこの解説文、ということになる。

これがね、また今回は淋しいんです。

引用します。

”亡国の悲劇とは、人材の欠乏から来るのではなく、人材を活用するメカニズムが機能しなくなるがゆえに起る悲劇、ということである。

人材は、興隆期だけに現れるのではない。衰退期にも現れる。

しかもその人材の質は、興隆期には優れ衰退期には劣るわけではないのだ。

興隆期と衰退期の人材面での唯一のちがいは、興隆期には活用されたのに衰退期には活用されない、ということだけである。”

これはよーく分かる。

仕事柄色々な会社を見てきたけども会社も一緒なんだよね。衰退していく会社はもちろんいい給与を払えなかったりするので確かに人材はなかなか集まりづらい。でも社内に良い人材がまったくいない、というわけではない。

問題はそれら良い人材がまったく活用されない、ということ。

そしてもちろん活用されないわけだからその人々は去っていく。そうすると更に会社は衰退していく。

これって鶏が先が卵が先か、の問題だね。