最近ねー、映画ばっかり観てますわ。
もともと映画好きだったけど数年前に「なんだよ、どれも一緒じゃないか」と、もう食傷気味になってあんまり観てなかったんだよね。一年間に映画館に一度も行かない、という年だってあったと思う。観たとしても邦画を観たり。
洋画より邦画のほうが面白い、と思ってた時だってあった。最近の邦画はドラマのスピンオフ映画ばっかりで「ケッ!」と思ってますが。
今年の2月くらいから色々あって休日に結構暇なんでだらだらとDVDを観始めたんだけどいや~、やっぱり洋画の底力はすごい!
一説にはアメリカの不景気でハリウッドも空洞化した、と言われているけどいやいやいややっぱりすごいですよ。
で、先日見たのが「第9地区」。
はっきり言っときます。傑!作!で!す! 何も知らなくても楽しめます。ですから映画嫌いじゃない人はぜひすぐ映画館行って観てきてまたお越しください。予告編も観なくていい。むしろ観ないほうが楽しめるくらい。これ以降、僕は極力ネタばれしてないつもりだけどこれも読まずにまーっさらで観たほうが楽しめると思う。もう久々に「え?まだ観てないの?うらやますぃーーーー!これからめっちゃ楽しめるじゃん!」って思うもの。
とにかく騙されたと思って映画館へゴー!
映画『第9地区』予告編
はい、お帰りなさい。ね、面白かったでしょ?
話としては、南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に巨大な宇宙船が現れてから20数年後、中に居たエイリアン(通称"エビ" 似てるから)は難民となりヨハネスブルグ第9地区に居住していた。
最初はドキュメンタリー調に描かれるんだけど、円盤が到着した映像には年月日も入ってる。円盤到着が1982年(たぶん)なので、この映画は正に今、現代、という設定。
エイリアンはたびたび人類と小競り合いを起こす。決して人類を倒そうというわけじゃなく、ゴミを漁ったり暴動したり、結果として火事を起こしたり。そもそもエイリアンの姿形が醜悪なので人類からは嫌われている。人類、特に第9地区付近に住む人間は「エイリアンを追い出せ」と言い出している。その追い出しを委託された民間企業の係員の男、ヴィカスが主人公。
これは本当に素晴らしい設定ね。もちろんヨハネスブルグということでアパルトヘイトも想像する。
冒頭にヴィカスが第9地区のエイリアンの家(というかバラック)を回り立ち退き合意書にサインさせるんだけど、ここはちょっとコメディ。
ここまで描き方が秀逸。
観ているほうとしては、「エイリアンか…」⇒「うわ、エイリアン最悪じゃん!出てけよ」⇒「いやいやでもヴィカスの立ち退かせ方もひどくないか…」っていう心境の変化がある。「ポップコーンみたいな音がするでしょ?」って笑顔で言われてもなぁ…。
素晴らしいのはこのヴィカス、という主人公が決して悪人ではなくいたってふつーのふつーのサラリーマンだってことなんだよな。
その後、ヴィカスが○○して○○○○○化し追われる立場になるんだけど、、、ここからは逃走逃走追走追走戦闘銃撃エビエビロボそして戦闘、のハイスピード&オンパレード。ここ面白かったねぇ。
でさ、やっぱり素晴らしいと思うのがこの映画が単なる「お話」じゃなくて、「うーんそれってやっぱ怖いなぁ」と身につまされることなんだよね。
もちろん人種問題とかもあるけど、たとえばさ、主人公が○○したのは業務中に変な○○を吸っちゃったからなんだけど、彼を狙う企業は「彼が○○○○○とS○Xしたから」、というデマを流すんだよね。彼は追われながらも妻に電話し「戻って君を抱きしめたい」と助けを求めるんだけど企業のデマを信じている妻は「抱きしめられたくない」と拒否する。
これってさー、浮気の疑いをかけられた男の「分かってくれない」という悲しみだよね。ほんとに浮気してたらそりゃ言い訳のしようがないけど浮気してないのにその疑いをかけられて奥さんにまったく信じてもらえなかったら悲しいよなぁ。
それから、主人公の左手が○○○○○化していくんだけど、これってすごく仮面ライダーをイメージした。仮面ライダーもさ、悪の組織に捕らえられて改造されて、そこから脱走して、その組織と戦う、って話でしょ?この主人公もひょんなことから左手があんなことになっちゃって…。うん、面白かったな。
誰か現代版本気のライダー映画作ってくれないかな。
こういうさ、なんていうの「異種族だと思ってたところに一人入ってみたらその異種族にもそれなりの理屈があることに気づき、その異種族側に立って戦う」っていう話はよくあるよね。「ダンス・ウィズ・ウルブス」もそうだし「アヴァター」もそう。言っちゃえば「ラスト・サムライ」だってそうなわけです。
でもさ、僕がそういうのに本質的に共感できないのは、それらの映画で描かれる主人公が「かっこよすぎでしょ!」って思うからなんだよね。
そりゃたとえば「アヴァター」だったら地球人は薄っぺらで自分のことしか考えてなくて一方ナヴィ族は自然を大事にして素晴らしい人たちですよ。その人たちのために、今まで自分が生まれ育った土地や同じ種族を捨てて、異種族の側に立つってのはそりゃ素晴らしいし真っ当だしカッコイイですわ。でもね、俺には出来ん! つーかみんなどうなの?出来るの? まぁ出来ないからかっこよくて映画になるんだろうけどさ。
一方、この「第9地区」の主人公は結局行動原理が「自分のため」ということだけだったから非常に感情移入できた。あんなんなったら誰だってそーする、俺だってそーする。ずっと自分のために行動して来たけど最後の最後に。。。(以下略)
色んな要素が詰まってて、深読みしようと思えばいくらでも出来る。だけどなーんにも知らなくてもじゅうぶん楽しめる。監督・脚本のニール・ブロムカンプって人は30歳でこれがほぼ長編デビュー作だって。こんな映画を作る才能がどんどん出てくるんですからやっぱりアメリカ映画の底力ったらすごいよ。
ところでドラマを見てなくても、原作本読んでなくても誰でも楽しめる最近の日本映画ってあるの?あったらおせーて、観るから。
もともと映画好きだったけど数年前に「なんだよ、どれも一緒じゃないか」と、もう食傷気味になってあんまり観てなかったんだよね。一年間に映画館に一度も行かない、という年だってあったと思う。観たとしても邦画を観たり。
洋画より邦画のほうが面白い、と思ってた時だってあった。最近の邦画はドラマのスピンオフ映画ばっかりで「ケッ!」と思ってますが。
今年の2月くらいから色々あって休日に結構暇なんでだらだらとDVDを観始めたんだけどいや~、やっぱり洋画の底力はすごい!
一説にはアメリカの不景気でハリウッドも空洞化した、と言われているけどいやいやいややっぱりすごいですよ。
で、先日見たのが「第9地区」。
はっきり言っときます。傑!作!で!す! 何も知らなくても楽しめます。ですから映画嫌いじゃない人はぜひすぐ映画館行って観てきてまたお越しください。予告編も観なくていい。むしろ観ないほうが楽しめるくらい。これ以降、僕は極力ネタばれしてないつもりだけどこれも読まずにまーっさらで観たほうが楽しめると思う。もう久々に「え?まだ観てないの?うらやますぃーーーー!これからめっちゃ楽しめるじゃん!」って思うもの。
とにかく騙されたと思って映画館へゴー!
映画『第9地区』予告編
はい、お帰りなさい。ね、面白かったでしょ?
話としては、南アフリカ、ヨハネスブルグ上空に巨大な宇宙船が現れてから20数年後、中に居たエイリアン(通称"エビ" 似てるから)は難民となりヨハネスブルグ第9地区に居住していた。
最初はドキュメンタリー調に描かれるんだけど、円盤が到着した映像には年月日も入ってる。円盤到着が1982年(たぶん)なので、この映画は正に今、現代、という設定。
エイリアンはたびたび人類と小競り合いを起こす。決して人類を倒そうというわけじゃなく、ゴミを漁ったり暴動したり、結果として火事を起こしたり。そもそもエイリアンの姿形が醜悪なので人類からは嫌われている。人類、特に第9地区付近に住む人間は「エイリアンを追い出せ」と言い出している。その追い出しを委託された民間企業の係員の男、ヴィカスが主人公。
これは本当に素晴らしい設定ね。もちろんヨハネスブルグということでアパルトヘイトも想像する。
冒頭にヴィカスが第9地区のエイリアンの家(というかバラック)を回り立ち退き合意書にサインさせるんだけど、ここはちょっとコメディ。
ここまで描き方が秀逸。
観ているほうとしては、「エイリアンか…」⇒「うわ、エイリアン最悪じゃん!出てけよ」⇒「いやいやでもヴィカスの立ち退かせ方もひどくないか…」っていう心境の変化がある。「ポップコーンみたいな音がするでしょ?」って笑顔で言われてもなぁ…。
素晴らしいのはこのヴィカス、という主人公が決して悪人ではなくいたってふつーのふつーのサラリーマンだってことなんだよな。
その後、ヴィカスが○○して○○○○○化し追われる立場になるんだけど、、、ここからは逃走逃走追走追走戦闘銃撃エビエビロボそして戦闘、のハイスピード&オンパレード。ここ面白かったねぇ。
でさ、やっぱり素晴らしいと思うのがこの映画が単なる「お話」じゃなくて、「うーんそれってやっぱ怖いなぁ」と身につまされることなんだよね。
もちろん人種問題とかもあるけど、たとえばさ、主人公が○○したのは業務中に変な○○を吸っちゃったからなんだけど、彼を狙う企業は「彼が○○○○○とS○Xしたから」、というデマを流すんだよね。彼は追われながらも妻に電話し「戻って君を抱きしめたい」と助けを求めるんだけど企業のデマを信じている妻は「抱きしめられたくない」と拒否する。
これってさー、浮気の疑いをかけられた男の「分かってくれない」という悲しみだよね。ほんとに浮気してたらそりゃ言い訳のしようがないけど浮気してないのにその疑いをかけられて奥さんにまったく信じてもらえなかったら悲しいよなぁ。
それから、主人公の左手が○○○○○化していくんだけど、これってすごく仮面ライダーをイメージした。仮面ライダーもさ、悪の組織に捕らえられて改造されて、そこから脱走して、その組織と戦う、って話でしょ?この主人公もひょんなことから左手があんなことになっちゃって…。うん、面白かったな。
誰か現代版本気のライダー映画作ってくれないかな。
こういうさ、なんていうの「異種族だと思ってたところに一人入ってみたらその異種族にもそれなりの理屈があることに気づき、その異種族側に立って戦う」っていう話はよくあるよね。「ダンス・ウィズ・ウルブス」もそうだし「アヴァター」もそう。言っちゃえば「ラスト・サムライ」だってそうなわけです。
でもさ、僕がそういうのに本質的に共感できないのは、それらの映画で描かれる主人公が「かっこよすぎでしょ!」って思うからなんだよね。
そりゃたとえば「アヴァター」だったら地球人は薄っぺらで自分のことしか考えてなくて一方ナヴィ族は自然を大事にして素晴らしい人たちですよ。その人たちのために、今まで自分が生まれ育った土地や同じ種族を捨てて、異種族の側に立つってのはそりゃ素晴らしいし真っ当だしカッコイイですわ。でもね、俺には出来ん! つーかみんなどうなの?出来るの? まぁ出来ないからかっこよくて映画になるんだろうけどさ。
一方、この「第9地区」の主人公は結局行動原理が「自分のため」ということだけだったから非常に感情移入できた。あんなんなったら誰だってそーする、俺だってそーする。ずっと自分のために行動して来たけど最後の最後に。。。(以下略)
色んな要素が詰まってて、深読みしようと思えばいくらでも出来る。だけどなーんにも知らなくてもじゅうぶん楽しめる。監督・脚本のニール・ブロムカンプって人は30歳でこれがほぼ長編デビュー作だって。こんな映画を作る才能がどんどん出てくるんですからやっぱりアメリカ映画の底力ったらすごいよ。
ところでドラマを見てなくても、原作本読んでなくても誰でも楽しめる最近の日本映画ってあるの?あったらおせーて、観るから。