浅草文庫亭

"大哉心乎"
-大いなる哉、心や

僕らの時代のフォークロア

2009-01-11 16:41:47 | 食べ物
とうぜんのことながら僕も名刺を持っていて一応肩書きがあるわけだけど、もし、会社から離れて一個人として自分に肩書きをつけるとすると、出来れば「在野の民俗学者」というのが理想ですね。いやまぁ、「恋愛チャレンジャー」とか「傍若無人で八方美人な原始人」とかそういうのでもいいんだけど。

人々がその土地土地で何を食べ、どう生きているのか、何を信じ、何を知らないのか、ということはやっぱり面白い。

札幌で足掛け10年過ごし、中には「え?showさんって北海道出身じゃないんですか?」と思われるくらい北海道になじんでいるわけだけどそれでもやっぱりまだまだ知らないことが多いんだよね。

特に、一般的な家庭外で行われていることは僕も知識としては知っているんだけど、家庭内で行われていること、というのは、僕もそこに居合わせることが少ないので触れる機会が無いね。

先日、札幌でむめもさんと話していたんです。

ちょうど先日テレビ番組で各地方のお正月みたいなことをやっていて、その中で「北海道の人はおせち料理を大晦日に食べる」というのがあって。
そういう話を肴に居酒屋で酒を飲んでいて。

ふとつまみで「茹で落花生」が出てきたときに、「北海道では節分に落花生を撒く」という話になった。

?????

え!?

むめもさん曰く「まいた後に拾って食べられるから合理的」とのこと。

なるほど、それは確かに。

「ただ年の数だけ食べなさい、というのが落花生単位で数えるのか、それとも中の豆単位で数えるのかで迷う」とのこと。

あはは。

「節分に落花生」というのは同席していた方も同意していたし、次の日、よね3、つよしと話していても「そうだよ」と当たり前のように話す。

いやー、こういうのは知らなかったなー。だってさ、たとえば友人の実家にさ「今日、節分やるからあなたもどう?」なんて誘われることないじゃないですか。


で、次の日、よね3とつよしと飲んでいて。今年、お二人の家に実家のお餅を送ったんですね、美味しいからと。

正月の餅をどうやって食べるかという話をしていたんですが、僕が「大人になってからはだいたい『からみ餅』ですねー」というと二人とも「なにそれ?」。

え!?

知らないの?

からみ餅というのは要は大根おろし餅のことで、大根おろしに少しネギを刻んで醤油をかけたものに餅を入れて食べるやつ。

僕は母親の実家が農家で餅をつくので正月はかなり餅を食べるけど、割合としては雑煮4、からみ餅3、キナコ餅2、その他1という割合。子供の頃はあんころ餅がすごい好きだったけど最近は食べてないな。父親が正月ひまだったりするとクルミ餅(すり鉢で摺ったクルミでクルミ餡を作るの)を作って食べたりもしたけど。クルミ餅は父の実家の地方の食べ方なんだろうな。
実は納豆餅も(茨城県民であるにも関わらず)たいして食べないんですよね。納豆はやっぱりご飯とたべたいもの。

お二人とも、そして飲み屋のマスターも「からみ餅」を知らない、とのことで、ああもう!とばかりに、マスターに大根おろしを作ってもらい、その場で餅をあっためて食べていただく。

うまいうまい。いや、当たり前じゃないですか、失礼だけど(笑)

確かに正月の習慣なんていうのも、だいたい僕は正月を実家で過ごしていて人の家庭の正月に招かれることなんて無いわけだから案外知らないことが多いんだよね。


なんつうかもう各家庭における差異ってすごいよね。当たり前のことが当たり前ではなかったり、当たり前ではないことが当たり前だったり。

こういうのが民俗学者としてはたまらなく面白いね。