日本の老舗の合繊メーカーの株価がこのところ値上がりしている。余りにも安値で放置されていた面もある。目先一部メーカーで材料視されている炭素繊維の業績の貢献期待が株価に反映された動きかもしれない。しかし、底流には外国人投資家の日本株見直しという大きな流れの中での動きとも受け取れよう。
日本全国には閉塞感が充満している。ダメだダメだとふさぎこんでいても何の解決も出来ない。合繊メーカーに限らず日本の老舗メーカーには長年蓄積されたノ―ハウがある。それはご先祖さんからの遺産である。株価急上昇は、遺産を宝の持ちぐされにするな。誇りを持って難局を乗り切れとの励ましのメッセージだと受け止めて欲しい。
株価は社長さんの通信簿である。しかし、素人の分在で何を言うかと叱られそうだが、株価は上げようとしても上がるものでもない。実力があっても人気がないと必ずしも株価に反映されない。飛びついて買っても餌にありつける保証はない。株式市場とはそういう世界である。
20年間日本はGDP成長ゼロの稀有な国だ。放置された日本の株式市場も、今回のケースは、地力さえあれば見直されることを教えてくれた。
先日、NHKが大学生の就職内定者が激減していると放送していた。学生が就職先の株価を見て会社訪問するか知見はない。しかし、株価は社長さんの通信簿である。企業の広告塔の役割も果たしている。自社株が低位に放置されていてよく平気で役員が務まるものだと思う。世界の常識は日本の非常識と言うが、世界では株価に関心の薄い経営者など想像できまい。
先のNHKの番組では、なぜ落とされたのかという視点が全く見られなかった。ひたすら不景気のせいにしている。本当にそうだろうか。地力を付けてなかったのではないか。内定学生が70%いる。30%は決まっていない。
不採用となった当事者には大変な事態だが、激動する厳しい世界情勢の中、現実は甘くないということを認識されたに違いない。企業も学生も同じである。自力を付けていなければ激しい国際競争を生き抜いていけないだろう。
繊維株に見直し買いが入っている背景の一つに綿花相場の史上最高値更新の事実が挙げられる。投機資金のいたずらという見方もあるが、綿花高は繊維業界にとっては昨年の十大ニュースのトップに位置づけて不足ない大事件だった。
昔は綿花相場と為替の推移を手帳に付けていた人を多く見かけた。相場は生き物だから毎日脈をとる如くフォローしたものである。
綿花相場が上がればポリエステル綿やアクリル綿も当然動意づくであろう。コットンリンターが原料のベンベルグ相場も値上がりしていると聞いた。長年、深海魚のように海底深く沈んでいた。体が冷え切っていたから自由な発想が出来難いのかもしれない。一気に浮上すれば潜水病になる。ここはじっくりと浮上を図り、老舗の繊維メーカー、どっこい生きているんだぞということを天下に繊維企業の存在感を示して欲しい。
株価は全てではない。しかし、日本の老舗合繊メーカーの株価急反発は大いに勇気づけられる明るい話題の一つに違いない。(了)
日本全国には閉塞感が充満している。ダメだダメだとふさぎこんでいても何の解決も出来ない。合繊メーカーに限らず日本の老舗メーカーには長年蓄積されたノ―ハウがある。それはご先祖さんからの遺産である。株価急上昇は、遺産を宝の持ちぐされにするな。誇りを持って難局を乗り切れとの励ましのメッセージだと受け止めて欲しい。
株価は社長さんの通信簿である。しかし、素人の分在で何を言うかと叱られそうだが、株価は上げようとしても上がるものでもない。実力があっても人気がないと必ずしも株価に反映されない。飛びついて買っても餌にありつける保証はない。株式市場とはそういう世界である。
20年間日本はGDP成長ゼロの稀有な国だ。放置された日本の株式市場も、今回のケースは、地力さえあれば見直されることを教えてくれた。
先日、NHKが大学生の就職内定者が激減していると放送していた。学生が就職先の株価を見て会社訪問するか知見はない。しかし、株価は社長さんの通信簿である。企業の広告塔の役割も果たしている。自社株が低位に放置されていてよく平気で役員が務まるものだと思う。世界の常識は日本の非常識と言うが、世界では株価に関心の薄い経営者など想像できまい。
先のNHKの番組では、なぜ落とされたのかという視点が全く見られなかった。ひたすら不景気のせいにしている。本当にそうだろうか。地力を付けてなかったのではないか。内定学生が70%いる。30%は決まっていない。
不採用となった当事者には大変な事態だが、激動する厳しい世界情勢の中、現実は甘くないということを認識されたに違いない。企業も学生も同じである。自力を付けていなければ激しい国際競争を生き抜いていけないだろう。
繊維株に見直し買いが入っている背景の一つに綿花相場の史上最高値更新の事実が挙げられる。投機資金のいたずらという見方もあるが、綿花高は繊維業界にとっては昨年の十大ニュースのトップに位置づけて不足ない大事件だった。
昔は綿花相場と為替の推移を手帳に付けていた人を多く見かけた。相場は生き物だから毎日脈をとる如くフォローしたものである。
綿花相場が上がればポリエステル綿やアクリル綿も当然動意づくであろう。コットンリンターが原料のベンベルグ相場も値上がりしていると聞いた。長年、深海魚のように海底深く沈んでいた。体が冷え切っていたから自由な発想が出来難いのかもしれない。一気に浮上すれば潜水病になる。ここはじっくりと浮上を図り、老舗の繊維メーカー、どっこい生きているんだぞということを天下に繊維企業の存在感を示して欲しい。
株価は全てではない。しかし、日本の老舗合繊メーカーの株価急反発は大いに勇気づけられる明るい話題の一つに違いない。(了)