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この連載は、 2月27日(日)の
≪エステ針灸サロン経営セミナー≫ の準備です。
三十二年前に人間学を学ぶ月刊誌『致知』が創刊された時から創刊以来編集に携わり、一年後に編集長に就任し、平成四年に代表取締役社長に就任した藤尾秀昭氏は、武田双雲氏の「書」を添えて『プロの条件』という著書を上梓されている。文字数は少ないのですが、的を得た迫力のある著書です。
その中でプロとは、第一に「自分で高い目標を立てられる人」。第二に「約束を守る」。第三に「準備をする人」。第四に「進んで代償を支払おうという気持ちを持っている人」。と定義し、この第四を【これこそプロとアマを分ける決定要因です。】と断言している。
森之宮医療学園教師の長野仁先生と六然社社主の寄金丈嗣先生が、「和法鍼灸友の会」というのを結成し、五年に亘り《多賀フォーラム》という一泊二日のセミナーを開催していましたが、そのセミナーで某大学教授は、「私は頂上を目指して猛勉強したのに、これだけの者にしかならなかった。今は普通でいいと考えている人が多いようですが、必死になった私でさえもこれなのに、努力もせずに、これぐらいでいい、なんてやっていたらどうなるのだ」という内容で、印象深いご講演をされていた。
ゆとり教育の失敗はいろんな方々から指摘されていますが、一番の被害者は「ゆとり教育」を受けた人たちです。運動会のかけっこで、ゴール寸前にテープを張り、そこに皆が揃ったところで全員一緒にゴールインするという理不尽な教育方針です。こんな教育を受けたら、「人に遅れても大丈夫、無理する必要はない」と考えてしまい、最終的にはそれが習慣になり、社会に出てから後悔することになる。これでは資本主義社社会の競争原理は何の意味もなくなってしまう。
自己主張をしないように体に覚えさせているから、自分の意見を言えない大人が増えたのですが、十年ほど前までは、自分の意見を言わずに上司の言いなりになるのが模範社員のように扱われた。しかし、山一証券や北海道拓殖銀行などが破綻した一九九七年以降は、仕事に創造性のない人、利益を生まない社員は会社から排除される傾向が出てきた。
則ち、現状に甘んじている人は要らなくなり、高い目標を持つ人だけが残れるようになったのです。民間企業だけではない。官公庁でもそのような制度が取り入れられる傾向が現れてきたのだから、うっかりしては居られない時代になってきたのです。
鍼灸業界でも反骨精神のある者は叩かれる傾向があますが、これでは若い芽を摘んでしまうことになる。私が鍼灸を勉強した頃も、「地味にしろ、目立つな」というのが教えであったので、その通りにする人は「おりこうさん」であり、「いい人」であった。だから高い目標があっても黙っておく必要があった。しかし、「いい人」とは、裏返して言えば何もしない人のことのようです。だから「いい人」はプロに成れない。
プロの条件で第二に掲げているのが、「約束を守る」です。これは社会人として当然のように思うのですが、意外に口先だけで終わる人は多い。「自己実現」という言葉を使う人も多いのですが、自己実現とは自分の目的や明確な目標を持ち、それを実現させることですので、自分との約束を守ることです。ですから、自分に目的や目標がなければ自己実現なんてありえない。プロとは、目標を示したらその約束を守れる人です。
ナポレオン・ヒルの『巨富を築く十三の条件』の第二には、「自信を育む公式として、繰り返し繰り返し自分のなすべきことを自分に確認させるために、公式を文書にして音読する方法が書かれています。これは自分との約束を守るための、単純ではありますが効果的な方法です。語学を勉強するときに、何度も音読した文章はスラスラ出てきますが、黙読した文章はなかなか出てこないし、すぐに忘れてしまうのを思い出せばその効果が分かるはずです。
プロの条件で第三に掲げたのは「準備をする人」です。プロは勝つためにできるだけの準備をする。プロ野球やフィギア・スケートの選手はテレビで公開されるように、物凄い練習量です。人の見てないところで信念を貫く準備をするのです。準備のできる人こそが頂上に躍り出ることができるからです。
失敗する人の多くが準備不足です。絶対にやりたいという願望、自分はできるという信念、仕事に関する知識、今できることはすぐするという行動力、誠実な対応、長中期の戦略等々の不足ですが、開業を考えている人はそれらの点に不足がないかを点検したほうがいい。
また、失敗する人のもう一つの共通点として、「時間がないから」、「お金がないから」、「歳をとり過ぎたから」という弁解です。厳しいと思うかもしれませんが、私は時間がないと思うときは、食事量を落として睡眠時間を削り(睡眠時間は食事の量と関係する)、自分との約束を守るようにする。お金がないときは、お金がなくてもできる方法をあらゆる方向から考え、道具がなければ道具を作ることを考える。そうすると必ず解決策が生まれてくる。今年で還暦を迎えたが、勉強に関しては「歳をとり過ぎたから」なんて弁解はしないし、70になっても80になってもそんなことは言わないだろう。
2010年12月29日、半分当院のスタッフであり、半分自営業である
ユリシス の三嶋弥生さんからメールが入った。内容は【やっと年内営業が終わりました。念願の売り上げ金額を達成しました。もちろん炭酸泉の売り上げも入ってます。いつも応援ありがとうございます。嬉しかったのでご報告いたします。】というものでした。
彼女が当院に就職したのは鍼灸学校二年生のときで、三年生のとき(2009年のとき)に「ユリシス」という商号で、「炭酸泉エステサロン」を開業した。彼女は元々エステティシャンで、大きなエステティックの店長を勤めた経験はあったのですが、まだ鍼灸師ではなかったので鍼灸という文字は商号に入れなかったわけです。現在は鍼灸師ですので「炭酸泉エステ針灸サロン」と商号を変えました。
当院に勤めながらの開業なので、木、金、土は当院に出勤し、日、月、火、水をユリシスで営業するというハードなものでしたが、彼女の準備には余念がなく、ハードなスケジュールの中にも参加できるイベントがあれば真っ先に参加してユリシスの名前を広げていた。彼女は、今年2010年に鍼灸師になったばかりですが、彼女の計画を聞きますと、すでに大阪にある多くの鍼灸院を越している。
プロの条件で第四に掲げたのは「進んで代償を支払おうという気持ちを持っている人」ですが、自分への投資は、プロとしての自分を、光り輝くものにするために絶対必要なものです。
節約は大切なことですが、必要な時に消費するのはもっと大切です。テレビで石原プロの放映があった。生前の石原裕次郎さんは誰が来ても常に「先に食事をしてもらいなさい」と、食事を勧めたという。これも遠廻しの自分への投資と考えれば、分かりやすいと思う。
ジャーナリストの故伊藤肇先生は、「プロとはなにか?」という問いに、「他の人が、この仕事はあの人に任せておけば大丈夫と思うようになればほんとのプロです」とテープで語っていましたが、藤尾氏の語る「プロの条件」が全て含まれている。それこそ治療師は「あの人に任せておけば大丈夫」と思われなければ開業しても患者さんは来ないので、「高い目標を立てて」、「約束を守り」、「準備をし」「進んで代償を支払おうという気持ちを持っている人」にならなければプロにはなれないと思うのです。
私たちも自分への投資はかなりしてきた。たとえば、勉強のために斉々哈尓(チチハル)を始めとした中国各地、香港、台湾、アメリカ、ハワイ、オーストラリア等々へも出かけて個人交流をしてきたし、中国で開発された「早知道」というガン早期発見試薬の臨床のため、設備投資をして、血液センターでの尿中ポリアミン検査を自腹で受けさせたり、脊椎連打矯正機や脊椎捻揺矯正機二台の製作、神経波磁力線や電気治療器の購入、量子医学機器四台の購入、湯電療法機二台の購入、虹彩撮影のための数々のカメラの購入と試験、炭酸泉装置の開発から認可、健康食品の開発から商品化といろいろ投資してきたし、現在使っているパソコンだけでも九台あり、ソフトもインデザインやイラストレーター、中国語や英語の翻訳ソフト等々、プロ仕様のものが多く、凄く投資をしてきましたが、それは全て「代償を支払う必要がある」と考えているからであり、患者さんから頂いた「治療費」という謝礼の心に還元するためです。
「出入口」と言う言葉がある。何故「入出口」と言わないのだろうか。それは出てから入ってくるからです。入ってから出そうと考えている人はいつまで経っても入ってこない。それが商売の原則です。
ネット社会になってから、メールで質問してくる人が多くなった。メールは無料だからです。しかし、人間の悪い癖で「無料で得たものは価値がない」と考えるので、ほとんどが大切にされず安易に捨てられてしまう。捨ててしまうようなものなら、他人の時間を無駄に使うようなことをしないほうがいい。同様の問題になるのですが、仕事先にメールで年賀状を送ってくる人がいますが、あれは相手を「お金をかけずに付き合う程度」と考えているようにも思われるし、相手からは「年賀状を買うお金もないのか」と相手にされなくなるので止めたほうがいい。
私は六年前から二か月に一回《臨床実践塾》という名目で、鍼灸実技講習会を行っていますが、受講料は業界から見ると安いものではない。しかも「学生割引」なんてこともしない。それは私が受講料の設定をする際に、私が使った金額に照らし合わせて、「私の講習は受講料分の価値はあるか」という自問自答の結果からはじき出した金額だからです。則ち、斯界の講習会がどうであれ、「この講習はどれぐらいの価値があるのか」を考えて設定したものなのです。
鍼灸斯界の勉強会ははっきり言って安い。安いから大切にしない。大切にしないから上達しない。上達しないから再び別の勉強会に行く。これを「堂々巡り」と言い、いつまで経っても昔のままで生活することになる。ところが、高い講習費を払うとそう簡単には捨てられない。
講習会や勉強会に出かけたことを活かす方法がある。勉強にお金を注ぎ込んだなら「元を取る」ことを考えるのです。勉強してきたことを何らかの方法でまとめて患者さんに知らせることです。そうすると、勉強会でも真剣になるので得るものが大きいし、元を取ることができる。
時々ブログで、「勉強会に行ってきました。そこではこのような勉強をして、それを患者さんに試したら見事に治りました。価値ある勉強会だったと思います」等々と書いている人がいますが、あれはいい方法だと思った。きっとその治療院へ来る患者さんも喜んでいるに違いない。
開業するまでには、それなりの勉強が必要ですので、自分が勉強したいと思うことは借金してでも勉強したほうがいい。借金をすることで、「返さなければならない」と思うので、その講習で学ぶ情報は事細かに整理できるようになる。仮に新しい治療法があり、理論的に納得して講習会に参加することができ、そこで学んだ内容を細かに整理することができれば、その治療法の指導者になる大きなチャンスになる可能性があるかも知れない。しかしその機会を逃すと二度と勉強できないかも知れないので、借金してでも勉強したほうがいいというわけです。開業してからは、思うように時間が作れないからでもありますが、【仕事とは先手先手と働きかけて行くことで、受け身でやるものではない】と電通「鬼十則」第二にもあるし、『孫子の兵法』にも「先手必勝」が述べられている。つまり、できる人というのは、常に先手で必勝をしているわけで、「できる人」になりたいならば、多少の資金を注ぎ込んでも先手を打つべきだと思うわけです。
タレントの円ひろしさんは、「ヒット曲が売れなくなり、仕事も収入もなくなったとき、借金をして高い服を着て、高いホテルに泊まり、高いワインを飲み、贅沢の限りを尽くした。その結果で今の僕になれたと思う。そのころの僕が惨めな生活を送っていたら、きっと今の僕はないと思う」と話していた。これも自分への投資で成功した例です。
私が静岡富士宮の弘願寺にて、剃髪をし、袈裟を着て托鉢に出る修行の真似事をしていたとき、故釈弘元和尚は常に「明日を臨終と思え」と話していた。明日というのはきょうの続きですが、人の命はいつ途絶えるかもしれない儚いもので、それは自分かも知れないし相手かも知れないので、きょうできることはきょうやれ、というのが教えだった。
かつて日本のサラリーマンは、「出す過ぎたことをしない模範社員」を目指していたが、一九九五年以降は「利益を出せない社員はいらない」という風潮が流行り、「模範社員」の道を歩いてきた人たちが解雇され、悲惨な状況がテレビで放映されるときがある。先手を打つ方法を教育されてなかったか、他人事で聞いていたのだ。先手こそ必勝のコツであると思う。
そんなことを知らない人がまだまだ多いので、ますます「できる人」と「できない人」の差が激しくなってくると思うが、こんなときこそ自分への投資をして差別化に拍車をかけるべきです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
それでは、またの機会に!