ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

橋村萬象襲名記念展:近鉄四日市8階画廊(スケッチ&コメント)

2008-09-30 17:02:20 | スケッチ



橋村萬象襲名記念展:近鉄四日市8階画廊

江嵜企画代表・Ken



 木具師、橋村萬象さんの三代襲名記念展が近鉄四日市店8階画廊で10月1日まで開催されるというご案内をいただき楽しみにして出かけた。神戸の自宅を出てJR、地下鉄、近鉄と乗り継ぎ、約3時間で現地に着いた。
 地元ケーブルテレビCTYでも放映され、土曜、日曜日は沢山の方が会場に来られたと画廊の方から聞いた。近鉄四日市店は父上と二代続きの個展開催である。この日は比較的訪問客が少なく、橋村萬象さんからお時間を戴き貴重なお話をお聞きすることが出来ラッキーだった。
 今年2月に三代萬象を襲名されてからは特にご多忙で休まれたのはお盆の日をいれて2日しかない。四日市のあとは札幌、青森、盛岡、静岡、広島での個展開催を予定しておられることもご披露いただいた。
 会場に着いてまず目に入ったのが赤の傘、赤い毛氈が敷かれた茶席である。これは絵になる。着くなり会場の様子をスケッチした。この日は松尾 刑部蒼白先生のご担当でおうすとお菓子を頂戴した。
 画面右の掛け軸は曲尺,つまり寸法が書かれている。銘に元久元年(1204)七月十七日、後鳥羽院下賜とある。橋村家は奈良から京都に遷都したとき天皇にお供して京都に来た。桁外れに由緒ある家系である。
 今回は80点の作品が並んでいた。ほとんどの作品をひとつひとつ丁寧に解説いただき恐縮した。その中に猪熊佳子先生が絵を添えられた作品が6点もあった。猪熊先生は森の作家の異名を持つ画家であるが猪熊先生の絵が持つ木のぬくもり、優しさが橋村先生の木具に自然に溶け込んでいると素人ながら感じる。今回は日本画家、川島睦郎さんの作品も見られた。中でも牡丹の花は見事だった。
 木具は字の如く道具である。絵は見て楽しむものである。道具は絵とそこが違う。何に使われるか。どういうところに置かれるかについて構想がまず生まれるのだという。
 今回、橋村先生から「用の美」という言葉をはじめて聞いた。
 道具は手で持つところからはじまる。茶道の所作、振る舞いにも美しさが求められる。「用の美」がそれである。周りの世界に邪魔にならない。道具はオーケストラの楽器にも例えられると話された。
 猪熊先生との出会いは6年前に遡る。画家は時間をかけて木具師の作った道具を見てきた。木具師は画家の絵を見てきた。気心の知れた絵師と木具師ならではの作品がそこではじめて生まれる。
 気心は木心に通じる。気心の知れた友に恵まれることは人生の醍醐味のひとつではなかろうか。橋村さんから何か大切な宝物をお土産にいただいたような気持ちになって、会場を後にした次第である。(了)

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米下院、金融安定法案否決、NYダウ777ドル暴落、原油96ドル(学校で教えてくれない経済学)

2008-09-30 08:58:43 | 経済学
 9月29日のWSJ紙はワシントン発のGreg Hitt記者のレポートの中で、「米下院がブッシュ大統領の支援要請を突き放し、米金融システム救済法案を否決した。反対228票反対205票という結果は民間企業に対する前例のない救済策に対する不満を表している」と解説した。
下院で救済策が否決されたあとNYダウは採用30の全銘柄が値を下げ、平均株価は777ドル、過去最大の下げ幅を記録した。表決のあと、下院院内総務の1John Boehner議員(オハイオ州、共和党)は「議員の全てが冷静になりリラックスし再び仕事につくことが必要だ」と呼びかけたと書いている。幸運を示す7が3つ並んで不吉な知らせとは皮肉な話である。
下院議長のNancyPelosi議員(カリフォルニア州、民主党)は「法案は死んでいない」と述べ、お互いの間で意思疎通をはかり議会が救済法案成立に向けて今一度「りんごを食べる」(困難に向けてチャレンジする)」必要があると法案成立を訴えた。
今朝、CNNテレビの緊急記者会見に現れたポールソン米財務長官は、法案が否決されたことを、開口一番、”very disapointed(大いに失望した)といった。「quickly possible」、「as soon as possible(出来るだけ早く)」と記者団の質問を受ける度に連発した。
日本のテレビ局も米金融救済法案が米下院で否決されたあと、NY株価が軒並み急落ダウ平均だけでなくハイテク株指標のナスダック、S&P500種平均株価の値下がりを報じた。
世界的な金融不安は中堅銀行ワコビアがシティーに吸収されたこと欧州で2大銀行が倒産したしたことを受けて、世界10ヶ国の中央銀行が協調してドル資金を当初の1800億ドルからその3倍の6,200億ドルへ拡大することを決めた。
日銀の白川総裁は深夜記者会見を開いた。「相次ぐ金融機関の倒産からドル資金が完全に枯渇状態にある。このため、日銀も当初の600億ドルを1200億ドルに増やしてドルを供給する」と話した。質問していた記者がことの重大性を何処まで理解されたか定かでない。
NY原油先物(WTI)相場は、世界の金融不安が米国経済のみならず世界経済にもマイナスに働き、世界の原油需要が減少するとの思惑から売られ、バレル10.52ドル,9.8%下げ96.37ドルで取引を終了した。ドル暴落の事態が現実問題化すれば急反発するだろう。
NY金先物相場は、株価暴落から投資家の「質への逃避」の動きが加速、前日比トロイオンス38.90ドル、4.3%上げ、927.40ドルで取引された。金相場はドルの反面教師である。
NY外国為替市場では、ドルは全面安の展開となり、1ユーロ=1.4438ドル、1ドル=104.10円、1ポンド=1.8084ドルで取引された。ドルが安定しているで不気味である。
「経済学」をほぼ毎日送っているが反応はまずない。自分の問題として受け止めないのであろう。その一方で、「経済はわからない。」「経済は苦手だ」と他人事のように話す人が多い。日本人が恵まれ過ぎているからなのだろうと最近では観念するようになった。
お上に任せておけば万事うまくとりはからってくれるという思い込みも徹底している。「ない袖は触れない」ということわざを子供の時から家庭でも学校でも教えて欲しい。(了)

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米金融安定策政府議会合意もなお流動的か(学校で教えてくれない経済学)

2008-09-29 10:49:17 | 経済学
 今朝のWSJ紙に、9月26日のドイツ議会で、スタインブリュック、ドイツ財務相は「今回のウオール街の金融危機は世界経済に対する考え方を変えさせる。世界経済を支配していたアメリカの力は徐々に衰退していく。アメリカは世界の金融システムのスーパーパワーのステイタスを急激ではないが失い、多極化の方向に向かう。」と語ったと紹介している。今回のドイツ財務相のこのような内容の発言は米国の金融危機発生後初めてと書いた。
 同紙によれば、ドイツ財務相は「次回G7の会合には中国をメンバーに加える必要がある」と述べ、さらに「英米流の利益のみ追求するフリーマーケット政策を非難した」と紹介した。
 ドイツ財務相は議会が終った後、言い過ぎたと思ったのか、「米ドルのステイタスは失われない」と強調し「この先10年の間に、時間をかけて日本円、ユーロ、人民元に置き換わっていくだろう」と慎重な発言に変わったと紹介している。大臣のちょっとした発言があとあと大きく影響することに気づいたのかもしれない。
今朝のWSJ紙トップは、米国の金融安定化策が暫定的に合意されたと報じている。その骨子を読むと①政府原案の不良債権の買取額7000億ドルを半減する、②議会に監視委員会を設ける、③政府が損失を出せば、金融機関が納税者に払い戻しすることになっている。
 今朝のブルームバーグニュースによれば、共和党下院のグレッグ議員は「正式合意は得られていない」と発言、カンター共和党議員も「条文に明記するまでは判断を差し控える」と語ったと依然として流動的であることを示唆していた。
 米金融危機の発端は返済出来ないと承知しながら貸した金融機関の自己責任から端を発した。住宅の値段が上がり続けている間は良かった。8月時点のデータだが住宅価格が下げ止まる気配はない。8月の米新規住宅建設件数は46万戸と18年ぶりの低い水準だった。
 米国地銀トップのワコビアの株価が倒産危機に直面しシティーグループに吸収されるとして急落している。英国銀行中堅のブラッドファンド・アンド・ビングレーも国有化の危機に一時見舞われた。いずれも住宅ローン破綻がそもそもの背景である。
 今回の金融不安と言う病気は住宅価格の値下がりに起因している。住宅の値段が下げ止まり、家を新たに買おうとする気運が生まれてこない限り米議会で新たな法案が成立してもG7で協調利下げを実施しても病気は回復しないだろう。
 日本ではどうか。トイレットペーパーがなくなるとスーパーに主婦が殺到したという話が第一次オイルショックのとき現実に日本でも起こった。一昨日スーパーに買い物に出かけたがバナナが棚から消えていた。信じられない話だが風聞の怖さを再認識させられた。
 「昭和2年(1927)3月14日、衆議院予算総会で、大蔵大臣の片岡直温(なおはる)は、演説の途中,大蔵次官からメモが回されてきた。「今日の正午ごろ渡辺銀行が破綻しました」と読み間違えた。メモには「休業」とあった。大臣の発言のあとパニックとなり渡辺銀行は倒産、銀行が次々倒産した。そのあと日本では昭和恐慌に発展した。2年後米国は大恐慌に見舞われた」と司馬遼太郎は「風塵抄」に記している。
 病気も経済も心が決める。恐怖心を持つと治る病気も治らない。今回の米金融安定策は一時の恐怖心を鎮めるバンドエイドの役割は果たすだろう。それ以上でも以下でもない。(了)

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お知らせ ☆ビューティワールド☆

2008-09-28 21:27:04 | 情報や案内及び雑談
ビューティワールドが、大阪南港インテックスで開催されます。

知人が出展されるのですが、そのブースで10月6日(月)と10月7日(火)に

プチ講演会を開催させて頂きます。

一般の入場料は3000円ですが、

ご来場下さる皆様には入場が無料になるチケットをお渡し致しますので、ご連絡をお願い致します。

電話 06-6390-4722

FAX 06-6302-0991

メール kouenkaiアットマークbarba-sachiko.info



「笑う角には福来る」

講演会のご案内



㈱スリムジョーン【4号館267】のブースで、講演会をさせていただきます。

大阪のオバちゃんが、わずか半年で、ウエストを11号から7号に凹ました体験談と、陰陽五行論で読み解く健康法を、オモシロおかしく講演させていただきます。

皆様、ぜひ、お誘い合わせのうえ、㈱スリムジョーンのブースへお越し下さいませ。

演者:ばーば佐智子

講演のテーマ:「過食」も「拒食」も恐ろしい



《第一部》11時00分~11時30分

「過食」も「拒食」も恐ろしい

「わずか半年で、私(ばーば)のウエストは11号から9号を経て、いま7号に向かっています」

「中年太り&更年期&老化からの脱出実験」

「隠れていたこと、隠していたことが、表面化する」

120キロで胆石持ち。その僕が86キロまで痩せれた理由。田中さんに体験談をお話しして頂きます




《第二部》12時30分~13時00分

「口には歯があり、歯が五臓六腑の弱点を教えてくれる」

「眼球の虹彩にも、五臓六腑の強弱が現れる」

120キロで胆石持ち。その僕が86キロまで痩せれた理由。田中さんに体験談をお話しして頂きます



《第三部》14時00分~14時30分

「知って得する陰陽五行」

「心身の壊れ方&治し方」

「体(骨格)の歪は、五臓六腑からの危険信号」

120キロで胆石持ち。その僕が86キロまで痩せれた理由。田中さんに体験談をお話しして頂きます



《第四部》15時30分~16時00分

「元気が一番」

「早食い&食べ過ぎは、万病を引き寄せる」

「食べ過ぎを止めたい巨漢の皆さんへ」

120キロで胆石持ち。その僕が86キロまで痩せれた理由。田中さんに体験談をお話しして頂きます





〔演者プロフィール〕

ペンネーム:ばーば佐智子(1962年・壬寅年・大阪で生まれる)

著書「単純明快ダイエット」(中年太り&更年期&老化からの脱出実験)発行:浪速社

著書「西暦2005年・第二の「敗戦」がやってくる」(六十干支で読み解く世相予測)発行:浪速社

主人の針灸治療院を手伝う傍ら、陰陽五行論や六十干支を研究。また様々な健康法を自ら人体実験し、それらのノウハウを公開している。軽快な大阪弁とマシンガントークを武器に、各地で陰陽五行論の解説や、健康法の講演に出演。漫談風の喋りに、講演会場は爆笑の渦と化す。健康雑誌「はつらつ元気」から取材を受け、2008年10月号に「大阪のオバちゃん、ダイエット体験談」が、巻頭カラーページで6ページにわたり特集掲載された。



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新興経済国ブラジルと日系移民:多田義治氏(スケッチ&コメント)

2008-09-28 08:11:02 | スケッチ


新興経済国ブラジルと日系移民:多田義治氏

江嵜企画代表・Ken



 母校同窓のTさんからブラジルについて神戸社会人大学の記念講演会で話をするが、急な話なのでもし時間があれば、いかがかと案内のメールが講演2日前に突然、飛びこんできた。
 1908年(明治41年)4月28日、ブラジルに向けて最初の移民船「笠戸丸」が781人、165家族を乗せて神戸を出港して、今年は100年目にあたる記念すべき年である。ブラジルの話は前々からまとまった形で勉強したいと思っていた。彼はいま日伯協会の世話役として超多忙な日々を送っていると聞いていたので千歳一隅のチャンスと先約をキャセルして会場に駆けつけた。
 いかにブラジルについて何も知らなかったか。これがTさんの話を聞き終わっての率直な感想である。ブラジルと聞くと「移民」という言葉が浮かぶ。実はブラジルから「デカセギ」が1985年から始まり、現在31万が日本に定住している。「移民」25万を逆転した。このあたりの認識が自分自身欠落していた。「デカセギ」が日本国内で様々な軋轢を起こしていることも他人事だった。
 神戸にはブラジル移住センターがある。「日本ブラジル交流年」「ブラジル移民100周年」記念事業として、保存・再整備され、来年新たなスタートを切る。
 ブラジルへの移住者は戦前19万人、戦後6万合計25万が、現在1世から6世まで入れて150万の日系社会を形成している。政財界の枢要な職務に携わっている。ブラジル国民の日系人の信頼感は強く、将来日系人からブラジルの大統領がでるだろうとTさんは熱い思いを吐露していた。
 面積が854万平方キロと聞いてどでかい国だとまずびっくりした。日本が37万だから日本の23倍ある。人口も1億9千万で日本の約1.6倍ある。資源のほぼ100%を日本は海外から輸入している。ブラジルはその対極にある世界有数の資源大国である。
 ブラジルは鉄鉱石、ボーキサイトなどでは世界トップの生産を誇る。ここえきてブラジルオリジナルの技術で海底油田を開発して、日量190万バレルの産油国となった。国内消費が日量175万バレルだから残りを輸出している。
 日本の鉄鋼メーカーがブラジルから鉄鉱石を前年比65%アップで買って関係者をアッと言わせた。世界最大の生産量を誇るサトウキビからエタノール生産を軌道に乗せた。ブラジルはサトウキビ生産で世界トップである。サトウキビといえば砂糖をイメージするがいまやエタノールである。
 ブラジルではガソリンのなかに20%混ぜた燃料で車が街中を走り回っている。ガソリンスタンドでは、セルフでガソリン、エタノール、混合ガソリン、3種類をお好みで買えるシステムが定着している。日本がいかに対応に遅れているか。
 ブラジルは第一次オイルショックのとき原油を国内消費の90%を輸入していた。第一次オイルショックでは原油高騰で巨額の赤字を抱え通貨リアルが暴落した。ガソリンを買うごとに値段が上がるほどのインフレを経験した。ところが今は全く逆である。世界を震撼させた石油急騰もブラジル人は手をたたいて喜んでいる。通貨レアルも安定している。
 いま世界の金融界はサブプライム問題で大揺れだ。ブラジルの株価もダメージを受けたが他のBRICsメンバーと比べれば軽微だった。政治が安定していることが一番大きい。遅れている日本からのブラジルへの新規投資も当然見直されるだろう。鉱物資源に限らず砂糖、コーヒー、大豆はじめブラジルは資源大国である。日本に入るオレンジジュースの80%はブラジル産であることを始めて知った。飛行機を日本がブラジルから買うことも決まっている。
 身近な例ではビーチサンダルは世界一だ。ファンションの世界でもブラジルは世界で高く評価されている。婦人用の靴はその一例に過ぎない。
 Tさんの1時間半の話をとても書ききれない。「笠戸丸は神戸港を100年前の4月28日経ち6月18日にサントスに着いた。いまでは飛行機で24時間です。ブラジルは近い国ですから是非お出かけください」とTさんは話を結んだ。
 いま日本は朝から晩までアメリカである。アメリカも大事である。しかし、自分自身を含めて、日本を一番理解してくれているブラジルに対する認識が余りにも貧弱すぎることをあらためて痛感した次第である。(了)

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作家 松井今朝子さん・よみうり読書サロン(スケッチ&コメント)

2008-09-27 08:40:27 | スケッチ


作家 松井今朝子さん・よみうり読書サロン

江嵜企画代表・Ken



 昨年「吉原手引草」で直木賞を受賞された時代小説作家の松井今朝子さん(54)をゲストに迎えて「よみうり読書 芦屋サロン」が芦屋ルナホールで9月26日午後2時から開かれ家族と出かけた。
 会場には1時半過ぎに着いた。しかし350人ある席も既に場所取りの荷物が置かれており大いに閉口した。後部席だったが席が確保できたのでいつものように着くなり会場の様子をスケッチした。松井今朝子さんと聞き手の浪川知子さんを最後に入れて仕上げた。
 今回の催しのために書き下ろした原稿用紙9枚半の小説「封じられた匣(はこ)」から話がスタートした。
 聞き手の讀賣新聞文化部の浪川さんの周到に準備された質問にまず感心した。質問に当意即妙とはこのことかと思うばかりの見事な応対を聞いていると彼女のふところの深さというか人生の厚みさえ感じた。
 時代小説は10年前に始めた。それまでは歌舞伎のシナリオライターだった。その時の蓄積がその後の作家活動にも遺憾なく発揮されていることもわかった。
 松井さんの時代小説には恵まれない立場におかれた人が描かれている。しかもそれが女ではなく男である。どうしてそうなのか。自分が女であることがまずある。自分達の年代ではまだ今のような男女均等法もなかった。女の立場は弱かった。弱い立場の女だから同じ立場の男をリアルに書くことが出来たと話された。
 明治初期、日本は日本人みんなが翻弄された時代だった。グローバリーゼーションの走りを既に経験していた。当時の日本人がどんなに必死になって乗り切ろうとして生きていたか。それは明治時代の新聞に生々しく出ているがバブルもあった。不況もあった。
 汚職もあった。汚職には過酷な刑罰が科せられた。今と何か共通なものというか、今の我々として共感できるものがあればいいなと思いながら時代小説の中でも取り上げて書いていると話された。
 大阪を描いた作品がある。大坂と江戸の違いを聞かれた。江戸は人口100万いて武士が50万いた。大坂は人口40万で武士は2000人のみだった。いろんなことが全部違う。まず気質が違う。東京の人はお上中心だ。お上に守ってもらえるので待っている。大阪は自分のことは自分で守らないと生きていけない。
 大坂の橋には全て個人の名前がついている。東京の橋には個人の名前はない。大坂は個人の自治体の町だった。
 大坂ものの小説を書くのは母親が大阪生まれであるせいもある。京都で生まれて子供時代は京都で育った。大学からはずっと東京で暮らしている。今日のような公の場所では標準語で喋る。普段はべらべらの関西弁だといって会場を沸かせた。
 小説を読める人と読めない人がいるという話も出た。聞いていて新鮮だった。小説を読むには想像力が必要である。想像力がないとどうにもならないと穏やかなお顔の松井さんからは想像も出来ない厳しい言葉が飛び出した。
 会場からの質問者が「自分の孫をみていても想像力に欠けていると感じる。想像力を豊かにさせるためにはどうすればいいか」と聞いた。
 松井さんは自分は子供がいないのでよくわからないがと、前置きして
「自分達が子供の頃は、寝転がってずーっと雲をよく見ていた。暇があるから妄想したり想像していた。今の子供は分刻みで忙しい。脳に遊びがない。脳がきちきちの服を着ているようなものだ。いろいろな面で目一杯だ。ご飯もおなか一杯食べている。それでは想像力は出てこないだろうなとおもう」と答えられ、大いに共鳴した。
 恥ずかしながらいまのいままで一度も松井今朝子さんの時代小説を読んだことがない。これを機会にまず大阪をテーマにした時代小説から読んで見たいと思う次第である。(了)

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米金融救済策進展報道で、NYダウ196ドル高、NY原油108ドル(学校で教えてくれない経済学)

2008-09-26 19:40:42 | 経済学
 米ホワイトハウスで政府、議会、次期大統領候補オバマ、マケイン議員いれて米時間9月25日、午後4時から7000億ドルの政府資金投入を巡って協議を行ったが結論は出なかったと報じた。記事の見出しには「Bailout still in Flux(救済策、なお流動的)」とあった。
 NYダウは何らかの進展が期待できるとの思惑から前日比196ドル上昇、11,022ドルで取引を終了した。一時200ドル以上上げたがあと様子見に変わった。相場自身が上がりたがっていないことを正直に表している。
経済は人の心の鏡である。馬を川の傍まで連れて行くことは出来る。しかし馬に水を飲ますことが出来ないという英国のことわざがある。水を飲むか飲まないかは馬次第であることをこれほど分かり易く教えたことわざはない。
マーケットは中身が不透明なことを一番嫌う。米国の金融政策の法案の中身がはっきりしない限り馬(議会)はすんなり水(救済策)を丸呑みしないのではなかろうか。日本には昔「お毒見」という言葉が生きていた。いまの日本には芝居の中だけで生きている。
一方、NY外国為替市場では1ユーロ=1.1607ドル、1ドル=106.51円と小動きだった。巨額の政府資金が放出されるとドル垂れ流しが加速する。ドル先安の流れが決定的になる。法案の推移を見極めたいと様子見している。
NY原油はバレル2ドル上げ108.62ドルで取引された。NY金先物相場はトロイオンス878ドルで様子見している。NY債券相場は「質への逃避」の流れから値上りしている。特に一ヶ月物の利回りはほぼゼロ水準まで急低下している。
 WSJ紙記事に戻す。上記会合の後ぺロス下院議長は「金融市場安定化にむけて早期に法案成立させ、全ての米国人に影響を与える金融危機回避策で合意が成立した」と語った。一方、法案の中身に反対するリチャード・シエルビィ上院議員(アラバマ州、共和党)は「合意は得られなかった。様々な意見の相違があった。」と語ったと紹介している。
 政府が資金投入して不良資産を買取る額を第一段階2,500億ドル、あと必要とあれば1000億ドル追加する。残りは様子を見ると段階を踏んで投入することで合意したと上記会合終了後の早期の段階では伝えた。全ての倒産企業の幹部の報酬(俗にゴールデン・パラシュートと呼ばれる)は制限することになっているが、ポールソン財務長官は反対しているようだ。議会が納税者(票)を意識して「化粧」したがっていることが丸見えである。
 会合から出てきたボブ・コーカー上院議員(テネシー州、共和党)は、「週初めのマーケットがはじまるまでに成立すると信じている」と語った。米上院銀行委員会、ドッド委員長は「迅速に行動する」ことを求められていると語ったとWSJ紙は報じている。
 今朝のWSJ紙の記事はDamianPaletta,MichaelR.Crittenden,PatrickYoest3人の記者のA4一枚半の短い記事だが、ホワイトハウスは法案の早急な成立を強く望んだ。月曜日までに成立させると、特に週明けのマーケットを強く意識している。
ぺロス下院議長は「合意した」と言ったが、「合意は得られていない」と有力上院議員のコメントを取材して記事をまとめた。「お毒見」を忘れると病気の回復はむしろ遅れる。
「金融救済策、なお流動的」という見出しで結論付けた、WSJ記事を注目したい。(了)

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デュオ アゲインコンサート:平生記念館:スケッチ&コメント

2008-09-25 08:46:33 | スケッチ


デュオ アゲインコンサート:平生記念館:

江嵜企画代表・Ken



 「デュオ アゲイン」コンサートが自宅マンションから六甲の山に向かって緩やかな登り徒歩10分足らずのところにある「平生記念館」で開かれると聞いて楽しみにして家族と出かけた。
 平生記念館(電話:078-854-1605)は甲南学園同窓会により昭和49年、同校の創立者の平生釟三郎氏の私邸跡に建てられた。JR住吉駅からも近く散歩コースとしても、しよっ中建物の前は通るが中に入るのは初めてだった。ホール右奥に創立者の胸像が目にはいった。着くなりいつものように会場の様子をスケッチした。
 「デュオ アゲイン」(歌手の小島さんと三浦さん二人のボーカルグループ)は18年前に結成された。三浦さんは阿蘇山のふもとの手蝶山の近くで生まれ育ったそうだ。二人はギター弾き、時にハーモニカに持ち代えて歌った。一部9曲と15分の休憩を挟んで二部は8曲、アンコール「人生の贈り物」まで午後2時から約2時間の演奏を楽しんだ。
 第一部では地元熊本県の「五木の子守唄」や阿蘇山を歌った「火の山の子守唄」、「手蝶山」が印象に残った。
 第二部ではホールに詰めた100人ほどだったろうか全員が「旅愁」を♪更け行く秋の夜 旅の空の わびしき思いに 一人悩む♪と声を張り上げて歌った。
 唄の合間に語りが入る。「蒲島郁夫知事が川辺川ダムの廃止を決めたことが嬉しかった」と三浦さん。蒲島知事が「川の傍に住んでいると洪水の危険はあるかもしれない。しかし、人間リスクも背負わねばならない。」と語ったときほっとしたと話した。
 支援者の応援がなければ生きられない。@2000円のチケットを売る関係者のご苦労は大変だと想像する。しかし、殺伐とした国に変わってしまった今の日本にこそこうした地道な演奏を続ける「デュオ アゲイン」が末永く生きつづけていって欲しいと思いながら会場を後にした次第である。(了)

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往診専門の治療院・「魅力」(6)

2008-09-24 14:53:12 | 情報や案内及び雑談
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治療師としての魅力を持つことは、リピートの条件と考えています。
服装や言葉使いなどの常識を備えていても、魅力のない治療師は「お呼びではございません」ネ!

自分は何が得意か?
自分の魅力は何か?
何を魅力にするか?

考えたことはあるでしょうか。
治療費を安くする???
来ませんね。

できるだけお客さんの指示に従った治療をする?
来ませんね。

○○鍼灸師会のメンバーを強調する?
来ませんね。

全ては、自分が患者さんになったことを考えればわかることですが、魅力がなければ往診を呼ぶ価値がない。

3年ほど 臨床実践塾 を開催していますが、そこでは主に「診断と即効的な治療」の方法を私の方法で話してきました。
骨格矯正鍼、脊椎診、腹診、巨針、頭皮鍼、経絡筋力テスト、七星論、虹彩分析、スクレオロジー(白眼の分析で、オプトロジーとも言われる)、生物力学療法、栄養学を含めた食養等々、の診断法や症状に合わせた治療法を勉強してもらいました。

古典や鍼灸学、あるいは欧米の書籍を基本展開させたものですが、その多くがオリジナルになったものばかりで、白眼を観て診断するスクレオロジーは、肉眼で分析し、即鍼灸治療に役立つようにまとめてあるので、それを使うとおもしろい。
いや、・・・魅力的な治療ができる。

講演や講習でいつも言うことは、
①患者さんにもわかる診断をすることが大切だ。
②患者さんが関心のあるのは治療よりも診断と解説だ。
③第三者にもわかるような診断をするのがいい。
④診断が正しければ家庭療法でも治せる。
⑤その場で変化を出し、その場で治せれば喜ばれる。

と説明してきたのですが、人にはいろいろな考えがありますので、これが全て正しいとは思っていません。しかし私自身はこれで上手くいったような気がする。
何故なら、治療師という職業で楽しい生活を送っているからだ。

この範囲なら、往診専門の治療院でも同じことが言える。


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米金融危機収束遅れ懸念、NYダウ181ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2008-09-24 11:09:52 | 経済学
 週明け米時間9月22日NY市場でドルが急落し、原油の先物相場(WTI)が一日の上げ幅を記録した。その背景について、TomLauricella,LizRappaport,JoannaSlater3人の記者がまとめた記事を9月23日付けのWSJ紙は掲載していた。
 今回の金融危機は奥が深い。議会に米国政府が提出した救済策には莫大なコストを伴うと投資家が判断したため株を売り原油や金に資金をシフトしたのだと明快に述べている。
 当の救済策は不良債権を銀行やブローカーから政府が買い取ることになっている。買取額7000億ドル(75兆円)の投入によって、既に巨額の赤字を抱えている米国の財政は今回の措置でさらに赤字が巨大化すると指摘した。
 海外の投資家は、ドルが先安とみれば米国投資を控える。海外からドル資産買いが減ることによって米国のバランスシートはさらに悪化する。米国内の住宅価格は下げ続けている。米国景気は改善しないまま推移するであろうと切り捨てた。
不良債権を買い上げても次から次へ不良債権が出てくる。完治に数年はかかる。景気の底入れに2年、住宅市場の底入れに3年要するとするメリルリンチのエコノミスト、DavidRosenbeug氏の見解を紹介していた。
債券市場は改善は確かに見られる。しかし正常な状態と比べればほど遠い。マーケットは、先での値下がりがわかっているから国債レースから逃げた。そのため10年物国債は値下がりし、利回りは先週末の3.77%から3.83% へ低下した。
ドルの値下がりがはっきりしたとして、原油市場にお金が流れ、一日の値上り幅では過去最高の16.37ドル上げ120.92ドルで取引された。一時25ドル値上がりしていた。原油が上がれば米FRBは利下げが難しくなる。利下げのタイミングが遅れる。
その結果、景気回復が遅れる。利下げが遅れると見れば債券売りを刺激する。その結果債券が値下がりするから利下げが益々難しくなると解説している。
一日開けた9月23日、米上院銀行委員会でポールソン米財務長官とバーナンキFRB議長が二人並んで証言した。二人は「一刻も早い法案成立」を訴えた。バーナンキ議長は「早く手を打たないと信用市場が機能せず米景気回復もがむつかしくなる」と力説した。議員とのやりとりをCNNテレビで映していたが朝10時過ぎから午後2時半までかかったそうだ。
9月23日のNY株式市場は「議会での審議が難航し法案通過は遅れる。不良債権は膨らむ。」と厳しく反応、NYダウは前日比181ドル、1.47%安10,854ドルで取引を終了した。
NY原油先物市場は、米景気の回復が遅れると消費も増えないとして利益確定の売りが出て11月物WTI相場は前日比2.76ドル、2.5%下げ106.61ドルで取引を終了した。
NY金先物相場も原油同様、利益確定の売りが出てトロイオンス18.40ドル下げ885.50ドルで取引を終了した。いろいろな見方があると前置きして、米包括危機対策法案の議会審議が遅れれば遅れるほど米ドルへの信任が低下し、資金がドルから金へ流れるとWisdomFinancialトレーダーZacharyOxman氏の見方を今朝のWSJ紙は紹介している。
日本の大手証券銀行が米証券へ攻勢をかけたと日本でも取り上げられている。今回の金融危機は米国人自身が怖れる「底なし沼」だと承知して足を踏み入れたほうがよさそうだ。(了)

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