米下院は29日、対中国為替政策懲罰法案を348対79で可決した。米国議会の保護主義的な動きに合わせて、中国は小刻み都合約2%人民元を切り上げて来ている。法案審議の過程で、中国に対する懲罰的な多くの条項が、事前に歳入委員会などでも削除された。11月中間選挙後、上院では最終的には否決されるだろうと、29日付けのWSJ紙は指摘していた。
ただし、今回の中国懲罰法案の下院通過により、来週開催のIMF総会、11月中旬、韓国ソウルで開かれるG20での為替政策討議に影響することは間違いないとSJ紙はクギを射していた。
同紙別ページには、「為替戦争:通貨安に向けた戦い」のタイトルで、ドル安の流れを受けて、自国通貨上昇が目立つ国が多いが、それが輸出拡大の障害になるとして、一斉に通貨安に向けて積極的に介入を実施していると紹介していた。
最も顕著な例として、日本を挙げた。日本は1日に200億ドル近い円売り・ドル買い介入した。台湾、韓国、タイのアジアに加えて、ラテンアメリカではブラジル、コロンビア、ペルーがドル買い・自国通貨売り介入を実施したと書いていた。
米下院で通貨した法案には、保護的な通貨切り下げ国には、懲罰的な課税を適用する条項が含まれている。現在、世界で約50%の国が、保護主義的になっている。自国産業を守るという大義名分の元、通貨切り下げ競争に陥ることは避けなければならないと同紙は警告していた。
一方、29日のNY株式市場では、NYダウが前日比22ドル安、10.835ドルで取引を終了した。「おはよう世界」(経済情報)に出演した三菱東京UFJの勝藤史郎氏は、「株式市場は、ダウ11,000ドルをにらんで様子見している」と解説していた。
テレビ東京の「モーニングサテライト」に出演した、大和キャピタル・マネジメントのシュナイダ―・ケイコ氏は、「米国はティーパーティー(茶会党)ブームで、大物ベテラン議員が予備選で次々敗退している。増税に反対する機運が米国市民の間で急速に高まりを見帯せている。オバマ大統領も増税志向の修正を迫られるだろう」と紹介していた。先日のWSJ紙にも「茶会党」の話が出ていた。
29日のNY金先物市場では、金先物相場がトロイオンス1,300ドル台を維持したとWSJ紙が伝えていた。28日の英フィナンシァルタイムズが、金相場は1,450ドルまで値上がりすると伝えたと29日付けの日経夕刊が紹介していた。
金相場の値上がりのみに目が向けられがちになる。しかし、その背景には全て米FRBによる追加金融緩和を既定の事実と読み、反面教師として、ドル安・金相場高を演出しているにすぎない。ドルはユーロなどいれた通貨バスケットに対しても一貫して下げ基調にある。
NY外国為替市場では、ドルが対ユーロで売られ、ドルは、1ユーロ=1.36ドル台まで値下りした。ユーロは対円でも買われ、1ユーロ=114円台で取引された。ただ、ドルは、対円では、日本の「ドル買い・円売り介入」警戒感から、ドルは83円後半で様子見状態にある。
「銀行・保険、低利回りに悲鳴」のタイトルで、米国で、10年物国債利回りが、年2.5%まで急低下した。今後米FRBが追加金融緩和に踏み切れば、多くの保険、銀行が深刻な運用難に陥るだろうと28日付けのWSJ紙が指摘していた。
物事は度が過ぎると副作用が出る。抗がん剤で脱毛するのはその典型的な例だろう。からだが拒否反応を起すからだ。低金利の長期化によって、保険・金融の体力の消耗が、新たな不安を生んでいると指摘していた。葉に付いた虫を殺すまではいいが、根まで腐らせてしまえば、元も子もないことになるだろう。
29日のNY原油(WTI)先物相場は、バレル1.68ドル上げ、77.86ドルで取引を終了した。金相場と同じで、原油もドル建てだから、ドル相場が先安と見れば原油も買われ易い。今朝の原油高は原油在庫が予想外に減ったことも相場を支えた。
「おはよう世界」でドイツテレビのが「EU委員会が、財政赤字額の0.2%を当該する国に課税法案が審議され、来年春にも施行される」との二ュ―スを紹介していた。一方、スペインテレビは「給与・年金切り下げに反対して労働組合がゼネストに入り、交通機関が麻痺状態に陥った」と紹介していた。今回の金融不安は一筋縄ではいかないことを教えている。
世界は日々激しく動いている。これからの日本をしょって立つ子供たちにとって、考えようによっては、学ぼうとする意志さえあれば、これほど貴重な教材が溢れている時代も珍しいのではないか。教科書にとらわれることなく、視野を広く持ち、未来に希望をもっえ、黙々と地力を付けて行って欲しい。(了)
ただし、今回の中国懲罰法案の下院通過により、来週開催のIMF総会、11月中旬、韓国ソウルで開かれるG20での為替政策討議に影響することは間違いないとSJ紙はクギを射していた。
同紙別ページには、「為替戦争:通貨安に向けた戦い」のタイトルで、ドル安の流れを受けて、自国通貨上昇が目立つ国が多いが、それが輸出拡大の障害になるとして、一斉に通貨安に向けて積極的に介入を実施していると紹介していた。
最も顕著な例として、日本を挙げた。日本は1日に200億ドル近い円売り・ドル買い介入した。台湾、韓国、タイのアジアに加えて、ラテンアメリカではブラジル、コロンビア、ペルーがドル買い・自国通貨売り介入を実施したと書いていた。
米下院で通貨した法案には、保護的な通貨切り下げ国には、懲罰的な課税を適用する条項が含まれている。現在、世界で約50%の国が、保護主義的になっている。自国産業を守るという大義名分の元、通貨切り下げ競争に陥ることは避けなければならないと同紙は警告していた。
一方、29日のNY株式市場では、NYダウが前日比22ドル安、10.835ドルで取引を終了した。「おはよう世界」(経済情報)に出演した三菱東京UFJの勝藤史郎氏は、「株式市場は、ダウ11,000ドルをにらんで様子見している」と解説していた。
テレビ東京の「モーニングサテライト」に出演した、大和キャピタル・マネジメントのシュナイダ―・ケイコ氏は、「米国はティーパーティー(茶会党)ブームで、大物ベテラン議員が予備選で次々敗退している。増税に反対する機運が米国市民の間で急速に高まりを見帯せている。オバマ大統領も増税志向の修正を迫られるだろう」と紹介していた。先日のWSJ紙にも「茶会党」の話が出ていた。
29日のNY金先物市場では、金先物相場がトロイオンス1,300ドル台を維持したとWSJ紙が伝えていた。28日の英フィナンシァルタイムズが、金相場は1,450ドルまで値上がりすると伝えたと29日付けの日経夕刊が紹介していた。
金相場の値上がりのみに目が向けられがちになる。しかし、その背景には全て米FRBによる追加金融緩和を既定の事実と読み、反面教師として、ドル安・金相場高を演出しているにすぎない。ドルはユーロなどいれた通貨バスケットに対しても一貫して下げ基調にある。
NY外国為替市場では、ドルが対ユーロで売られ、ドルは、1ユーロ=1.36ドル台まで値下りした。ユーロは対円でも買われ、1ユーロ=114円台で取引された。ただ、ドルは、対円では、日本の「ドル買い・円売り介入」警戒感から、ドルは83円後半で様子見状態にある。
「銀行・保険、低利回りに悲鳴」のタイトルで、米国で、10年物国債利回りが、年2.5%まで急低下した。今後米FRBが追加金融緩和に踏み切れば、多くの保険、銀行が深刻な運用難に陥るだろうと28日付けのWSJ紙が指摘していた。
物事は度が過ぎると副作用が出る。抗がん剤で脱毛するのはその典型的な例だろう。からだが拒否反応を起すからだ。低金利の長期化によって、保険・金融の体力の消耗が、新たな不安を生んでいると指摘していた。葉に付いた虫を殺すまではいいが、根まで腐らせてしまえば、元も子もないことになるだろう。
29日のNY原油(WTI)先物相場は、バレル1.68ドル上げ、77.86ドルで取引を終了した。金相場と同じで、原油もドル建てだから、ドル相場が先安と見れば原油も買われ易い。今朝の原油高は原油在庫が予想外に減ったことも相場を支えた。
「おはよう世界」でドイツテレビのが「EU委員会が、財政赤字額の0.2%を当該する国に課税法案が審議され、来年春にも施行される」との二ュ―スを紹介していた。一方、スペインテレビは「給与・年金切り下げに反対して労働組合がゼネストに入り、交通機関が麻痺状態に陥った」と紹介していた。今回の金融不安は一筋縄ではいかないことを教えている。
世界は日々激しく動いている。これからの日本をしょって立つ子供たちにとって、考えようによっては、学ぼうとする意志さえあれば、これほど貴重な教材が溢れている時代も珍しいのではないか。教科書にとらわれることなく、視野を広く持ち、未来に希望をもっえ、黙々と地力を付けて行って欲しい。(了)