令和7年3月13日付で、西宮神社の本殿・拝殿・手水舎など6棟が国登録有形文化財になった。5月29日(木)13時半から東原直明氏、西宮市立郷土資料館学芸員を講師に迎えての西宮文化協会、5月行事に楽しみに出かけ、いつものように会場の様子をスケッチした。
「登録文化財」とは何か?「平成8年(1966)の文化財保護法の改正によって、導入された。近年の国土開発や都市計画が進み、日本人の生活様式が変わった。社会的評価を受ける間もなく消え行く危険にさらされている多種多様の大量の文化財を後世に幅広く継承していく。保存や活用が特に必要とされる文化財建造物を、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する制度である。」と東原直明先生は話しを始めた。
次に「指定文化財」との違いは何か?「指定文化財は、重要な文化財を厳選する。許可制など強い規制がある。手厚い保護を受ける。指定文化財は勝手に改造したり出来ない。「登録文化財」は、届出制と指導・助言などを基本とする。緩やかな保護措置によって補完する目的で作られた。」と話しを進めた。
「登録の基準」は何か?「建築物、土木構造物、その他の工作物のうち、原則として、建築後50年経過し、①国土の歴史的景観に寄与している、②造形の規範となっている、③再現することが容易でないという3つの一つに該当するものとする。都道府県や市町村などが指定したものは除かれる。」と話した。
「登録文化財」のメリットは何か?「設計監理・公開活用・災害復旧の修理費の2分の1が補助される。相続税、土地を含む相続財産評価額の30/100が控除される。家屋の固定資産税を2分の1に減税されると話した。
令和7年3月13日現在、全国で14,376件(建造物11,468件、土木構造物678件、その他の工作物2,250件ある。西宮市内は22件あると話し、西宮神社に既に登録されている二件、①西宮神社瑞宝橋、②嘉永橋の映像を会場に映した。
次に今回登録された文化財6件が映像と共に紹介された。①西宮神社本殿(登録基準:造形の規範となっているもの)(戦災で焼失した旧国宝本殿を戦後復興したわが国唯一の三連春日造社殿)、②西宮神社東翼殿(国土の歴史的景観に寄与している)(本殿の復興に伴い新たに建立した社殿)(斎庭の一角を担う)(建立:昭和37年)、③西宮神社西翼殿(国土の歴史的景観に寄与)(東翼殿と一対で左右対称の景観を形成)(昭和37年)、④西宮神社拝殿(造形の規範となってる)(昭和37年)⑤西宮神社手水舎(造形の規範となっている)(平成7年に震災復旧)、⑥西宮神社銅鐘屋(国土の歴史的景観に寄与)(四面に菱格子を建て、上部は筬欄間とする。繊細かつ丁寧な造りの履屋)。
西宮市内の登録文化財14件を紹介した。①松山大学温山記念館(本館など6件)、②浦屋住宅主屋(1件)、③旧山本家住宅(主屋など6件)④武庫川女子大学甲子園会館(1件)、⑤関西学院大学時計台(1件)をそれぞれ映した。
登録文化財の目指すところは何か?①身近な文化財の文化的財産価値を顕在化させる、②文化財としての保存・まちづくりの核として活用する。③社会から認知・評価されることで文化財価値が向上すると指摘された。最後に一つお願いがありますと前置きして「西宮の文化財を「まもる・いかす・つたえる」事業に活用させていただきますと、寄付申し込み書を配布された。
質問の時間になり一番前に座っておられた方が「登録文化財をいかに維持管理していけばいいか含めてビジョンを伺いたい」と質問した。東原先生は「ひとりでも多くの人にまず存在を知ってもらうことが大切です。観光開発にもつなげていきたい。お金を落としていただけるとありがたい。」と話されお開きとなった。
貴重な機会を用意いただいた西宮文化協会事務局に感謝である。(了)