柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

葬儀の担当者は1人がいい・・・と思わない?

2008年06月09日 | 葬祭スタッフ
私はお葬式は、亡くなってから、お葬式が終了してご自宅にお送りするまでの間、1人の担当者が、中心になって、お世話するのがいいと思ってます。

そうすると、ご家族の状態も、環境もよく解ります。

葬儀の打合せをする者が家族の詳細な希望を、心得ていても
式場の設営者や司会者が違えば、希望が伝わらないことも出てきますし
希望の度合いが伝わらないこともあります。

ですから、私は1人担当性をずっと実行してきました。

私も担当をしてましたよ。
私は、すぐに通夜を薦めないので(故人といる時間が少しでも長いほうがいいんですね)、3日~4日位は、当たり前のようにお付き合いします。

お葬式が終了すると、出棺と共にご親族と一緒にバスに乗り込んで
火葬場へ同行します。

火葬場までは、バスで15分ほどでしたが、
バスに乗り込むと、ご親族に必ず話すことがあります。

お薬の用意がある事を伝えます。


お葬式の直前まで、遺族は看病し続け、
急な葬儀の準備に、ろくに寝る時間もなく動かれてます。

それに、親族が集まるなんて、結婚式かお葬式ぐらいなんですね。今は。
通夜の晩は、深夜まで飲み続け、話し続けで、体は相当くたびれてます。
おまけに、気も使い通しですよね。

火葬炉まで見送って、急に気が抜けて、具合が悪くなる人がいるんです。

でも、こんな時だから、結構我慢しちゃうんですね。
我慢しすぎて、救急車を呼ぶ羽目になる方もいます。

「お薬持ってますよ」って伝えておくと
具合のよくない人は、そっと言いに来てくれます。

早めに対処できますよね。
それに薬があると伝えるだけで、安心感がありますよね。


そして、拾骨が終わって、又、バスで葬儀社に戻るのですが
帰りのバスの中でも、必ず申しあげることがあるんです。

喪主と数名のご遺族はハイヤーに乗られることが多いので
バスには、ご親族、親しい友人の方がいます。

「遺族の嫌いな言葉」の説明をさせてもらうんです。

・・・・ご遺族の方に、暫くの間、言わないで欲しい言葉があります。
「あんまり悲しむと、故人が成仏しないよ」
    泣かせてあげてください。悲しみを抑えてつけないでください。
    以前、ご遺族が「例え、成仏しなくったって、ひと目でいいから
    逢いたい」と言われた事があります。
    暫くは、我がままさせてあげてください。

「寿命だったんだよ」
    人は勝手に寿命なんていうが例え、口が利けなくても、動けなくても
    布団の中にいてくれさえすれば、いいんだ。
    そう思っている方もいます。

「がんばってね」
    うちの中では、泣いてるけど、外に出る時は、精一杯、元気そうに
    何でもなさそうにして行くのに、逢った友人から「元気そうね、
    がんばってね」って言われると、「これ以上、どう頑張ればいいのよ!」
    と、心の中で叫んでしまう。
    こんな、言葉がよく聞かれます。

私も、この仕事をする前は、慰めるつもりで、このような言葉を掛けてました。
でも、ご遺族とお付き合いをするようになって、家族を亡くした人の心の痛みを
知りましたし、言われたくない言葉が沢山あるのも知りました。

皆さんと、バスをご一緒できたのも、何かのご縁です。
どうぞ、このことを、覚えておいてください。
お願いします・・・・

どんなに雑談をされていても、私がこの話をすると
全員が、真剣に聞いてくれました。

そして、バスから降りるとき、
「お姉さん(この方は本当に、こう言ったんですよ!)よく言ってくれた。
つい最近、私も妻を亡くしてね。あんたの言うとおりなんだよ。ありがとう」
と言われました。

やっと自分の気持ち代弁してくれたと思われたようです。

こういう説明は簡単に出来るものではないですよね、どう受け取られるか?って

遺族やご親族のお世話を中心になってしていると、それを伝える空気が読めてくるんです。

この感覚も、1人担当性ならではないでしょうかね。


葬儀の仕事って、世間の人に、遺族の気持ちを伝えることも含まれてると
思いません?


私は大切だと思うんです。