ということで昨日は堺にて観戦してきました。
大沢宏晋が、エクアドルからやってきたWBA15位、フリオ・コルテスに判定勝利。
オスカル・バルデス戦以来の、再起戦でしたが、充実した試合内容でした。
コルテスは大沢と比べて若干小柄。デビューはライト級だった大沢が大柄だとも言えますが。
開始早々から、低い姿勢で出て、左フックのダブルを強振。
一発ずつ力込めて振るので、これで保つのかと早々に思いましたが、威力はなかなかありそう。
対する大沢は、スタンス広めに設定、足使うよりは、ジャブをしっかり打って突き放す構え。
2回には早々に大沢ペース。ジャブで突き放し、右、左ボディをフォロー。
3回、コーナーから大沢に「頭左に出して左ボディ」「左に出ろ」と指示。
その通りに動ける大沢、好調かつ冷静。
ベガスでの世界戦では、相手どう以前に、大沢自身が不調に見えて仕方なかったが、
今回はそういう印象は全くありませんでした。
コルテスは苦しい展開ながら、呻き声を上げつつ左を強振。単発ながらヒットもある。
4回大沢右を肩越しに当てるが、コルテス前進。ボディフックからアッパー。
基本、フックかアッパーしか出ない感じだが、果敢に打ってくるので怖い。
中盤、コルテスの強振が続くが、大沢がしっかり構えてジャブを打つと入れない。
さらに、大沢左ボディ、右などのヒットで、コルテスが少し後退する場面も。
7回は大沢が左右のボディ連打、右を決め、はっきり攻勢。
8回も大沢出る。コルテスは空振りしてはクリンチ。
大沢好打を重ねるが、好機の詰めが甘く、緩急がなく、フォローが足りない。この辺は課題。
9回も大沢が上下のパンチをヒットさせ、コルテスはホールドを重ね減点される。
大沢がボディから右、ゴングと同時にコルテスが倒れるが、判定はスリップ。ダメージありあり。
棄権してもいいと思ったが最終回、コルテス出て左右を振る。
大沢の右アッパー、コルテス前にのめる。大沢攻めるがコルテス前に。
大沢ロープを背負うも、左フックをカウンター、右から連打で追うが、コルテス耐えて判定へ。
採点はほぼフルマークな上に、減点もあって、大差でした。
さうぽん採点はひとつイーブンか逆があるとしても、9-1で大沢。
9回のスリップはダウンに見えたが、それがなくても10-8つけていいか、と思う内容でした。
相手のコルテスは、フック強振がベースの「スインガー」で、非常に偏ったボクシングでしたが、
一発の威力はなかなかのものに見え、気を抜いたら危ない、という緊迫感は最後までありました。
再起戦の相手としてはまずまずの強敵だったと思いますが、大沢が高い集中を維持して、
しっかり突き放し、好打を重ねて打ち込み、クリアに勝ちました。
試合後の大沢は、しきりに反省の弁を語り「不細工な試合ですみません」「倒せなくてすいません」と
すみませんを連呼していました。確かに好機での詰めに課題があったかもしれないですが、
しっかり構えて突き放し、ジャブとストレートの距離をベースにした展開を崩さなかったことは、
今後に向けての好材料だったと思います。
あのスタンスの広さで構えつつ、なおかつ足で捌いて外す場面も散見されました。
これが安定して出来れば、それこそ徳山昌守や薬師寺保栄のレベルに行ってしまいますが、
まずは好感触、という印象がこのあたりから見えた、上々の再起戦だった、と見ました。
今後は世界ランカー、さらに上位との対戦を、という陣営のコメントも出たようですが、
この日会場に来ていた、かつて対戦した坂晃典との再戦などがあれば、勇んで観戦に行くところです。
その辺はどうなるんでしょうかね。国内上位との対戦なども期待したいところです。
そういう話に前向きになって然るべき、と思わされる、充実の再起戦でした。
==================================================
アンダーカードでは日タイ対抗戦が三試合。
いずれも日本勢の「楽勝」でした。
とはいえ、矢田良太、一発だけタイのおじさんの右ショートをまともにもらい、
場内がどよめく場面がありました。
タイのおじさんにも最低限の意地があるのやな、と知った瞬間でありました。
4回戦では、バンタム級新人王予選、すでに4勝1分の戦績を持つ、
六島ジムの原優奈が登場。サウスポー岸根知也(堺東ミツキ)と対戦。
原は六島ジムの興行で何度か見ていて、好選手だと知っていたので、
たぶん今年の西では有力だろうと思っていたんですが、この日は対サウスポーに
若干不慣れなところも見えて、岸根の右フックを再三打たれる、悪いスタート。
それでもアッパー気味の右が段々決まりだし、3回には攻勢に出たのですが、
打ち合いの中、岸根の右フックを食い、微妙な感じながらダウンを取られてしまう。
原は逆転を狙って出て、最終回を抑えるが、ダウンの分だけ及ばず、という採点。
2-0で、岸根が勝利しました。
原にしたら悔やまれる敗戦でしょうが、好選手だし、自主興行を打てるジムの選手ですから、
再起への道は早々に用意されることでしょう。まだまだ今後に期待です。
岸根はサウスポーの優位性、右フックという「当たるパンチ」をしっかり狙ったこと、
そして終始消えなかった果敢さで、強敵相手に勝利しました。好ファイトでした。