ヘビー級の藤本京太郎が、プロボクサーライセンスを返上とのこと。
すなわち「引退」ということになりますね。
K1時代から、海外のヘビー級選手と数多く闘ってきたとはいえ、体格面など見ても限界はありそうで、なかなか難しいだろうなあ、というのが、ボクシングに転向してきた頃の印象でした。
それはある意味、その通りだったのかもしれませんが、石田順裕に苦しめられつつも勝ったあと、一度は跳ね返された東洋の王座も獲得し、技術面や機動性にも成長が見えてきたように思います。
国内で敵がおらず、最後はヘビー級の次代を担うと目される大型ホープ、ダニエル・デュボア戦に挑んで完敗でしたが、先頃のWOWOWで村田諒太が言ったように「ヘビー級が一番強いに決まっている」ので、藤本は言ってみれば、過去の日本人ボクサーが闘った誰よりも、一番強い相手と闘ったことになります。
正直言って、こういうところに辿り着くボクサーだとは、まったく思っていませんでした。脱帽するしかありません。
マッチメイクも難しく、そこへコロナ渦ときて、今回、他競技での活動のため、ライセンス返上となった、とのことです。
総合格闘技となると、また畑違いなのでは、と心配でもありますが、今後の健闘を祈りたいと思います。
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と、そのヘビー級にまつわる話で、ついに出たか、という新設階級のお話。
こういうことを言い出すのは大抵...と思っていたら案の定、WBCでした。
ブリッジャー級、とのものの意義や、名称の由来は記事に詳しいですが「エエ話」が世に数多あるのは良いとして、それに感銘を受けた個人が、世界中のボクサーが争奪する、いわば「公」のタイトルの名前に、その話を持ってくるのは、話としておかしい、としか言えません。
本当に不思議なんですが、こういうことを思いつく(「考え」と言えるレベルにはないでしょう)立場の人って、そういう疑問を持たないものなんでしょうかね。
あと、実質「スーパー・ヘビー級」と化したヘビー級が、カードによってはハンデの大きな闘いになっていることは事実でしょうが、さりとて、224ポンド以下のボクサーが、250ポンドのボクサーに勝てない、というものでもないと思います。確かに不利ではありますが。
また、選手の技量力量による、という話のみならず...例えばキャリア後期のクリチコ弟のような、上から相手にのしかかって休み休み闘い、体格差で運動能力や機動性を殺し、試合の質を落として勝つ、というような行為を厳しく裁定する試合運営を行えば良いだろう、とも。
実際のところは、理屈は何であれ、承認料稼ぎに過ぎない、その一点だと思います。
ランキングを厳正に決める意志がなく、その価値を貶めてしまった各団体と、有象無象の関係者諸氏により、何でも良いからタイトルつけないと格好つかん、という現状にあるボクシング・ビジネスの世界において、マウリシオ・スライマンは、亡き父君と同じく、その地位に相応しい行動原理に沿って生きている。
この話も、それを証すひとつである、というに過ぎないのでしょう。
今回は、しばし「猶予期間」を取りつつ様子を見る構えでもあるようですが、果たして各々から、どういう反応があるものか。
ボクシングの世界において、神話的な価値が残る最後の聖域、それがヘビー級であり、こんなものは不要だ、となるのか。
それとも、何であれタイトルマッチが戦えるのならば、興行出来るのであれば、という「需要」のある者が、ビジネスにこれを用いようとし、あるレベルの中では、それが定着するのか。
過去の倣いで行けば、もう答えは出ているような気もします。
とはいえ、ヘビー級は特別なものなのだ、と思いたい気持ちも、心の片方にはありますが...。
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ということで、一曲。
Dire Straits ”Money For Nothing“ です。
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