さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

好調さが仇になったか 谷口将隆、衝撃のKO陥落

2023-01-07 13:36:32 | 関西ボクシング



ということで、さすがに年始の仕事始め、平日のロングラン興行、全部はチェック出来ませんでした。
ダブル世界戦は、ひとつめが19時25分くらいゴングでしたんで、両方とも見られましたが、あとはおいおい見て行くことになります。


とりあえずメインの感想文から行きますが、衝撃的なノックアウトでした。
谷口将隆は、序盤から好調そうで、積極的に仕掛け、速いワンツー、ボディへもジャブ、左ストレート散らす。
一度だけだが、初回早々だというのに、メルビン・ジェルサエムの足取りが少し乱れる場面もあり。


しかし見ていて、ちょっと攻めすぎかなあ、とは思っていました。
前日計量、ほぼ2ポンドくらい軽く出たというジェルサエムは、思ったより小柄。
対して、ミニマム級での試合はこれで最後にするかもしれない、という話もあったという谷口は、相対的に大柄に見える。

その、大柄な方の谷口が、スピードでまさっているように見え、動きの切れも感じるのだから、攻めて出ているのは当然。
そう言われれば反論はしにくいのですが、ジェルサエムにすれば、谷口が来てくれるぶん、対サウスポー戦の「ルート選択」を迷うことなく、迎え撃ちやお返しによる相殺のパンチが届きやすいのではないか。
逆に言えば、谷口はサウスポーならではの「得」な部分、相手から見ての遠さ、角度の違い、やりにくさを生かす闘いは出来ていない、と。

それは初回、ジェルサエムの、左のリターンパンチで見えましたし、また、左から入って、右への繋ぎも、迷い無く出せていた。
序盤、好調な谷口が叩ければいいが、攻めているだけ、では、序盤が過ぎれば、ジェルサエムにとり、力を出せる場面が増えてくるだろう、と思ったのも事実です。

とはいえ、2回に、ワンツー直撃、KOというのは予想外でした。
サウスポーの特徴を生かした位置関係がどうのこうの、という話とはほぼ無関係な打たれ方でしたが、それがこんなに早く、現実のものになるとは、と驚いているうちに、カウントが進み、試合が終わりました。


終わってみれば、谷口が好調故の陥穽に落ちた、という試合だったのでしょう。
また、相手が来てくれて打ちやすい展開だったとはいえ、一方的に攻め込まれ、叩かれる前に、あの一撃を決めたジェルサエムに、そもそも力があった、そして勝負強さもあった、ということなのでしょう。


短い試合でしたが、見応えのある、そして勝負の綾もいろいろ感じる、衝撃的な試合でした。
新王者ジェルサエム、谷口が転級すれば再戦はないですが、その他のコンテンダーとの試合で、また来日する機会もあることでしょう。
タイの王者ふたり、そしてセミに出た詐欺師みたいなのは、もうほっといて、この人が105ポンド、唯一の世界チャンピオン、ということで納得して、どんどん挑戦していってほしい、と思います。




セミ以下、アンダーについてはまた後日、おいおい、ということで。
まあ、いろんなことがあるものですね...。




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6 コメント

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Unknown (海の猫)
2023-01-07 14:56:35
最後のワンツーは、ほぼ正面からモロに貰っているように見え、素朴に「え、何で?」となりました。解説はすぐに立とうとしたことを指摘していましたが、仮にカウント8まで休んだところで、という当たりに見えました。
1Rから、少し谷口が自信というか余裕を持ちすぎている?、リング上で実際に起きていることと、谷口のありようがずれている様な違和感があり。うまく説明出来ないのですが、「今の俺は強いんだ」と自己暗示をかけて戦っているような雰囲気で、こういう選手だったかなあと。それがいい方に出れば、動きの良さや思い切った攻めにつながるのでしょうが、何かがうまくかみ合わなかった印象です。
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Unknown (アラフォーファン)
2023-01-07 15:24:23
このところ充実した世界戦が二試合続いた谷口くん。ただ本来は倒すボクサーではない。それが昨日は前がかりだったのは気になりましたね。ジェルサレム、計量の数値気になりましたが、杞憂どころかキレありましたね。おっしゃる通り体格差はあるように見えて、それも過信とは言わないまでも前がかりの要因だったかもしれませんね。
もったいないというか、ボクシングの残酷さもありました。
ただジェルサレムのワンツー、見事でしたね。

さあーて、セミは重岡くんかわいそう過ぎました。
人前で、金もらって戦う人間として恥ずかしくないのか、再戦以前にプロ失格。重岡くんは相手棄権によるTKO勝ちでしょう。
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Unknown (月庵)
2023-01-07 16:13:29
セミがあまりと言えばあまりな試合だっただけに、相対的にこの試合が一服の清涼剤になったのは皮肉としか言いようがありません。日本人の側が痛烈にKO負けした試合なのに。

谷口は自信を持ちすぎたのが全てなのでしょうね。実際立ち上がりは悪くなかったし、微差を大差にする形の勝利は十分可能だと思っていたのですが、同時に思ったより真正面からやりあっている印象が強く、のらりくらりと捌くというよりは正面から受け止める事を志向する試合運びにも見え、明らかに最初から一発を狙っていたジェルサエムにとっては都合が良かったでしょうね。

しかしこれは、谷口の隙を目掛けて美しいとさえ言える完璧なワンツーを叩き込んだジェルサエムを褒めるしかない結末でしたね。亀田大毅の言わんとするところはわかるが、どう考えても休んでどうにかなるような倒れ方ではなく、日本人レフェリーなら即ストップでもおかしくないように見えました。もう一回書きますが、セミの惨状をこの清々しいまでの鮮烈KOが救ったというのが私の率直な感想でした。会場の空気はともかく。重岡からしたら、実現を度外視するのなら本音では勝負づけが済んだ王者もどきよりもこの新王者に挑みたいでしょうね。兄弟子の敵討ちであり、よりスリリングな戦いになるであろう事が想定されている訳ですから。
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Unknown (宇弓)
2023-01-07 18:32:56
・・・いやだから、谷口も試合後に、
セミの銀ちゃんのあれを見て、自分が銀ちゃんの分もやらなきゃ、みたいに思った的なこと言ってましたが、

・・・・・・
その辺で谷口は、あのセミのいや~~な流れを、
意識的にも無意識的にも受けて、
このせっかくの記念すべき、アベマのボクチャンネル開設一発目のビッグマッチで、
メインは先輩の自分がバシっと締めなきゃ、みたいな感じになってしまったのかなあと、

おそらくは、会場もセミのアレな空気感でザワザワしてたんだろうし、
どうにも最初から攻め急ぎと言うか、気負ってる感じがあって、
明らかに序盤の慎重な距離の測定とかの意識が薄くなってる印象で、
なんか嫌な事が起きそうな予感は序盤から漂ってた感じで、

いや~~~~~~、
永年ボク会場で見てたら、
やっぱ興行ってのは生き物だなと感じることが多くて、
すごいKOが出たら、立て続けにKОが続いたりとか、
明らかに会場の空気やエネルギーに、影響受けるような”流れ”みたいなものがあって、

・・・そういう意味では、
セミから続いた嫌な空気感が、露骨にメインにも影響したって意味では、
近年にない非常に珍しいケースな気がしますが(難悶
まさにあの長谷川がルイスに勝って、奇跡の返り咲きした直後に、
山中がモレノとあの神がかり的な劇勝したってのとは真逆の現象な感じでと(悶爆
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Unknown (Neo)
2023-01-08 13:36:54
守りが軸の選手の場合、攻めの面で自信がつくと実戦でのバランスが難しくなる事がありますね。特に谷口のようにお互い打って打たれる距離の時間を少なくするタイプの選手はその傾向が強いと思います。前座の流れ、雰囲気に加えて初回にいいのを当てた事、全部に魅入られる様にあの距離で居着いてしまいましたね。無論逃さず打った相手が素晴らしいのですが。
あえて苦言を呈するなら、画面からは2回相手の立ち上がりに脚の動きに鋭さがあり、おっと思った印象があったので、その気配が感じ取れていれば、というのはありましたが、正直なかなか難しいとも思いました。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2023-01-08 16:42:05
>海の猫さん

マトモでしたね。解説はひとつの意見だと思いました。ダメージ甚大過ぎてそんな余裕もなかった、と思う反面、倒れた後、最初のリアクションは、足で反動つけて跳ね起きようとしているようにも見えました。あの部分をどう見るか、でしょうね。
谷口は言えば強者の振る舞いをしたように見えました。立ち回る側の動きではなかったですね。あれで先制攻撃をし、ダメージを与える場面でもあれば、それを元手に「回す」試合が出来たかもしれません。その前にあの一撃を決めたジェルサエムの力を称えるしかないのでしょう。


>アラフォーファンさん

倒すところまでいかずとも、叩くことが出来ていれば、あのスタートは成功だったのでしょうね。しかし...以下同文、です(笑)。
ジェルサエムの計量は何だったんでしょう。確かに小さくは見えたのですが、しかし落ち着いていて、谷口の仕掛けにも動じてはいませんでしたね。まあ、見事なノックアウトで、ミニマム級の世界戦で、こんなの見たことあったかな、と思うくらいです。セミについては別記事にて。


>月庵さん

フラットに試合として見て、鮮やかなものでしたね。応援の心情はまた別ですが。
あの立ち上がりの攻め方を何処まで続けるか、というところは問題だったのかもしれません。初回、もっとはっきり手応えのあるヒットがあって、ジェルサエムの戦力を大きく削ぐことが出来ていれば、そこから引いて回って、とやれたのでしょう。しかし、その一手を取る前に、逆に打たれて倒された、と。それは仰る通り、谷口の自信が仇となった、のでしょうね。
あのダウンの仕方は、落ち着いて対処出来る範囲のダメージではなかった、と思う反面、上記コメントのとおり「初動」の部分には、疑問の余地があるかも、と。その昔、ナナ・コナドゥのワンツー食って倒れたウィラポンは、それこそ慌てて立ったのが仇となって敗れましたが、あれと似たパターンだったかもしれません。ただ今回の谷口は、終わって見ればどう対処していても無理だったかもしれませんが。
セミについては別記事にて。しかし、試合としては、メインとは雲泥の差でしたね。


>宇弓さん

セミを受けての心理的影響、無いわけはないでしょうね。ただ、その昔、若き...当時19歳の井岡弘樹は、セミファイナルに出て、出血TKOで敗れたジムメイト、神代英明の姿に一瞥もくれず、自分の試合に集中していた、という話があります。関係ない、と切り捨てる冷酷が求められる、それもプロの世界ではあるのでしょう。また、あの当時の世界タイトルマッチ、一試合にかかっていたものの重さは、選手や試合のレベルとは別に(反比例して、と言ってもいいのでしょうが)今より遙かに重かった。若き日の井岡弘樹もまた、それを背負った一人だったのでしょう。
あの山中長谷川ダブルは、本当に何もかもが良い方に作用した、希な事例ですね。あんなことはもう二度とないでしょうね...。


>Neoさん

仰る通りで、その辺の調整というか、案配は難しいものですね。ああいう距離、まともにやりあう攻防を長く続けないことが、サウスポー云々以前に谷口将隆の立ち位置ではないか、と思います。しかしそれだけで試合の全部を過ごせるはずもなく、打ち込む、叩くことも必要で、そこで逆に打たれてしまった。それが勝負だ、というしかないんでしょうね。
2回の、相手の様子については、そこまでの読みが出来ていれば凄いことですが、時間的にも早めだったし、やっぱり難しかったでしょうね。同感です。
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