さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

強打を決める「型」がある 比嘉大吾、10連続KO勝ちで初の王座

2016-07-04 23:00:07 | 関東ボクシング


土曜日はG+の生中継で、比嘉大吾の見事なOPBF王座奪取を見ておりました。
今頃更新ですが、見事な勝ちっぷりだったので、簡単に感想を。


比嘉が初回から先手。
低い姿勢から伸びる左アッパーで切り込む。小さい右のボディストレートが良い。

2回はアーデン・ディアレの目で外す防御が出て、少し攻めあぐみ...と思いきや、
ロープ際でコンパクトな右ショートが頬のあたりに決まって以降、ボディから上、というパターンで猛攻。
左アッパーを脇腹から内側へ返し、直後に右の小さいストレートが上ではなくボディへ。
ディアレの読みを外した一打が効いて、ダウンを奪う。
福地レフェリーのカウントの仕草をストップと勘違いした比嘉がコーナーに駆け上がるが、
かろうじて立ったディアレ、ゴングに救われる。

3回は右クロスから左の返しで二度目のダウン。
4回、右から左のボディで止め、右クロス。三度目のダウン、ディアレ立てず。



歴戦の王者を三度倒したわけですが、この一戦で、比嘉のスタイルが少し見えてきました。

ボディ攻撃は、左のダブルを外(脇腹)から内(時に上)と打ち分けて、右クロスへ繋ぐことが多い。
単に対角線のコンビを下→上、と打つよりもさらに工夫がある。
相手のサイドへの動きを封じるための位置取り、ボディ打ちの左右どちらを打つかの選択が適切。

そして「崩し」の段階、序盤は上への右を、コンパクトに打つ。同じ振り幅でボディも打てる。
以前、川端賢樹が似たようなパンチを打ち分けていたと記憶していますが、
短躯のファイターが、攻めてインファイトをする流れで、相手のインサイドを、
上下ともに打てる、非常に有用なパンチを持っている。

ジャブは若干省略気味。いきなり左アッパーから攻めたりもする。
下半身の使い方が少し粗く見えるが、前に出て連打する流れの中で、独特のバランス「補正」をする。
「沖縄のロマゴン」という呼称は、このあたりがなるほど、確かに本家と似たところがあるせいか。


単に果敢なだけでなく、ボディを攻めて止め、上下のコンビで仕留める、という型をしっかり持っています。
スタイルは違えど、この「理屈」自体は、師である具志堅用高会長と、かなり共通していますね。
まだ若いし、積極的な闘いぶりが魅力的です。非常に今後が楽しみな選手です。


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しかし、具志堅会長が語った「年内に世界戦」という言葉には、一言、物申しておきたいと思います。

まず、たった10戦、しかも強敵と言える相手が見た限り二人くらい、というキャリアの選手が、
例えばカシメロ、アムナット、井岡、コムパヤックにスタンプといった世界上位を破ったならともかく、
その下に位置する選手に勝ったからといって、軽々に世界云々というのは、いかにも今時、当世風なお話に過ぎません。

ビートのコラムで尾崎恵一氏が書いておられたように、昔日の矢尾板、関の時代と違い、
OPBFが真のアジア最強を意味する時代ではないのです。
世界に数ある、下部団体王座のひとつに過ぎないのですから。


今回の勝利は確かに見事で、TVで見ていても快哉を叫びました。
が、それは「すぐにでも世界を」という意味ではありません。
「これは強い若手が出てきた。もう、日本王者の粉川と闘って、勝てば真の国内最強と言えるとこまで来てる」
と、具体的な内容は、こういうものでした。

まあ、それは当然、人それぞれに評価があることでしょう。
しかし、具志堅会長が言った言葉に対し、例えば試合後の取材などで「世界云々より、日本王者に粉川がいますが、
まずはそちらと闘って国内最強を証明すべきでは」と問い返すような記者は、ただのひとりも存在しないんでしょうか。

何も具志堅会長に限った話では無く、スポーツ紙はもちろん、専門誌記者や寄稿者の方々は「会長」という立場の人たちに、
常日頃から、あまりにも、いいように相撲を取られすぎ、という気がしてなりません。


まあ、年内だ大晦日だといっても、今のフライ級世界王座を巡る情勢を見れば、挑む先がそう簡単にあるとも思えませんが。
そういう話よりも、まずは粉川拓也戦じゃないんですかね、やるべきは。
これ、良いカードだと思うんですけどね。実現すれば、観戦を検討しないといけない、というくらいに(^^)

コメント (2)
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