さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

「防衛線」の設定見えず グスマン戴冠、和氣慎吾を4度ダウン

2016-07-21 16:04:36 | 関西ボクシング





ということで暑い中、昨日は府立で観戦してきました。

事実上のメインイベント、和氣慎吾vsジョナサン・グスマン戦については、
前記事のプレビューめいた記事で、あれこれつべこべと書きましたが、
試合自体は「こういう風にはなってほしくないなあ」と思っていたものがほぼ全て出た、
という感じでした。ざっと感想を。



初回、和氣はジャブ、ワンツーを見せる。グスマンは右から入って左を返す。
その迫力に場内どよめくが、過去の試合映像そのままの攻め口でしかないのも事実。
これに巻き込まれず、お付き合いせずに、外していけば勝機はあるはず。

そう思っていたのですが、対する和氣は、丁寧に足を使って外すことよりも、
これまでの試合同様、当てたい、打ちたいという意識も見える位置取り。
何より数回あったグスマンの強振のあと、動きが逆に小さくなっている。
そして、ガードもいつも通りというか、いつも以上に低い設定、悪く言えばルーズなまま。


それでも初回はヒットはされず終えはしました。しかし立ち上がりから、
和氣がひとつミスしたら、一気に踏み込まれる、攻め込まれる展開になってしまっている。

和氣は、相手が少ない好機で自分を倒せる力を持つ選手である現実に対し、
これまでの試合とは違う作戦、具体的に言えば攻防の配分や、防御態勢の設定を変えて臨む、
という風には見えませんでした。
「防衛線」の設定が見えず、従来通りの引き込み加減のバランスで立ち上がって、
いざ直面したグスマンの強振に、すぐに圧され、萎縮の兆候が見える。

考えていた中で、最悪の目が出た。それが初回終了後の正直な感想でした。


2回、それでも和氣がぎりぎりでも外していくうちに、良い流れができればと思い見ていました。
その状態がバッティングと、その後の追撃で崩されて以降、試合はワンサイドになりましたが。


序盤、相手が打ってくるときは、まず防御を優先して動き、打ち返すのは後回しにして、
とにかく動いて外す、くらいの意識づけが欲しい。攻めはジャブを格好だけ、という感じで充分。
試合前はそんな風に思っていました。
しかし実際の試合を見ると、そこまでのシビアな「防衛線」は設定されていなかったようでした。


もっとも、仮にその意識づけ、設定が和氣にあったとしても、
結局はグスマンがそれを打ち崩していたのかもしれません。

右から左と返す強打、好機に見せる強打と、冷静かつ狡猾な闘い方は、やはり「上手」と見えました。
ダウンを奪ったあとも、ひとしきり打ったかと思えば和氣のダメージを見る場面もあり。
和氣の反撃が少しでも出れば、間合いを変えて追撃の機会を与えず、一息おいて右のダイレクトで倒した
5回のダウンシーンなど、実に冷静な「ハンター」ぶりでした。

2回のバッティングによる切り込み、5回のゴング後の加撃など、感心しない部分も見えました。
6回以降は時に被弾もしていました。
しかし体力を巧みに温存して、圧倒的なリードを前提に、きっちり勝ちに繋げる試合運びは
これまでの試合でも見られた勝ちパターンで、それを手放すようなことはありませんでした。

今後、このパターン、前提を彼に与えない相手と対したときに、彼の真価が問われるときが来るのでしょう。
それはまた別の話になりますが。


試合全体を見返すと、あとはやはり、6回以降ですね。
和氣の奮戦は立派でしたが、同時に、5回終了時で棄権されているべき試合だったのではないか、とも思います。
もちろん、様々な意見があることでしょうが。


闘い方自体に正直言えば不満もありますが、やはりこういう強敵相手との試合に挑んだ
和氣慎吾に対しては、同時に拍手も送りたい気持でもあります。

良い経験にしてほしい、とは、安易に言っていいのかどうかわかりませんが、
世界上位の実力者と闘って感じたものを、もし再起するならば、生かしていってほしい。
そして、これまでのキャリアで実現しなかった、国内での上位対決などを通じて、それを見せてほしいと。


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この試合のあとの井岡一翔に関しては、見事な技巧を披露しての勝利だったと見えました。
感想としては、この磨き上げられた技巧をもって、世界王者に挑んでもらいたい、というに尽きます。
昨年のレベコ連勝により、世界上位の技量は証明されているんですから、そろそろと。

WBAから出たオーダー云々については、実際そうなっていない以上、無意味です。
王者エストラーダが、井岡と闘うことにどのような意義を見出すのか否か、と考えると。
「年末予算」から大盤振る舞いがあるにしても、それでも普通ならドニー・ニエテスの挑戦を受け、
その後はロマゴンを追って、という流れになるのでしょうし。
あと、負傷で休養中ですから、まずは回復してからの話でしょうね。


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日本スーパーウェルター級タイトルマッチは、野中悠樹が安定した技巧を見せ、丸木凌介をポイントアウト。
しかし丸木もコンパクトなワンツーなどで、地道に反撃を続け、健闘しました。

OPBFバンタム級タイトルマッチは、山本隆寛がレックス・ワオを初回ノックアウト。
二度のダウンを奪いフィニッシュしたのですが、それがどちらも驚くほど鋭いタイミングのボディブローによるもの。
カウンター気味に、体を締めるタイミングを外されて打たれたらしいワオ、相当ダメージ深く、なかなか立てず。
なんとか立ち上がったあとに見ると、右足が痙攣していて、片足でケンケンしている状態。

予想外の強烈な結末でした。山本隆寛、短い試合でしたがなかなかの充実ぶり。
そろそろ、益田健太郎との対戦なんか、面白そうです。次は久高寛之に連勝したマーク・ジョン・ヤップらしいですが。


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前座では6回戦、スーパーフライ級で好試合。
井岡弘樹ジムの幾田颯と、広島三栄ジムの井上太陽が終始、打ち合いを繰り広げました。

長身のサウスポー幾田は、体格で圧倒的優位。対する小柄な井上は、スイッチしながら果敢に出る。
遠いところからロングのパンチで圧倒する幾田に、伸び上がるような連打で対抗する井上。
日本、東洋のあと、世界戦までの合間に挟まれた予備カードということもあり、
場内はさほど盛り上がっていませんでしたが、間断なく続く激しい攻防は見ごたえ十分でした。

結果は幾田が3-0で勝利。これで6戦6勝(2KO)。新人王戦には出ない路線の選手だったようです。
井上は全日本新人王決勝で、帝拳の梶颯に敗れて以来の再起戦で苦杯も、またも果敢な好ファイトを見せました。

これは長丁場も辞さず、会場に足を運んだ者に対する、ちょっとしたご褒美といえる試合でした。いいものを見ました(^^)


コメント (6)
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