昨日は遠く姫路の福崎町というところにて観戦してきました。
前日まで行けないはずだったのが予定が空いたので、久々に姫路行きたいな、と。
最後に姫路に行ったのはこの試合ですから、もう7年前です。
今回は、まあ会場に辿り着くまでがけっこう大変で、私の住む古都からは、もうちょっと時間あれば充分東京行ける、
というくらい時間がかかるという、ちょっとした日帰り小旅行でしたが、まあたまにはこんなんもええか、と
大阪駅でおにぎり買って新快速車中でそれを食べながらのんびりと向かいました。
やっと辿り着いた会場前では焼きそばとかのお店が出ていて、なかなか賑やかで楽しい。
こういう地方興行ならではのアットホームな雰囲気、はっきり言って好きです。
福崎町エルデホールという会場は、IMPホールの天井を高くして、少し狭くした小規模ホールという感じ。
気前の良いことにひな壇の席は8割方自由席で、ほぼ正面の、リングの高さと目線が合う席に座れて、
なかなか迫力満点な位置からの観戦となりました。
行われるとは知っていた、元日本ミドル級チャンピオン、江口啓二さんの引退式は、思った以上に盛大で、感動的でした。
江口さんは現在、姫路で建設業を自ら営み(つまり、社長さんなのだそうです)、姫路の地に根を下ろし、
それと共に地元のキッズボクサーの指導にもあたっているとかで、セレモニーには驚くほど大勢の少年少女たちが
花束を贈呈しに現れ、両手で持ちきれないほどでした。
(しかも、彼らの言によるとこの花束、自分たちで話し合って小遣いを出し合い買ってきたものなんだとか)
引退記念スパーでは、元OPBF王者で、現在、大成ジム会長の丸元大成さんと2Rを闘い抜きました。
現在、体重は100キロを超えているとのことで、なるほど、一目見て現役時代よりかなり大きく成長されていましたが、
その巨体で弾むように動き、打っていく往年の片鱗も僅かに見えて(僅かかい)、クリンチの際には昔取った杵柄で
見事な下手投げも披露して、丸元さんを投げ飛ばし、場内を沸かせていました。
最後に、木下(大場)貴志会長、丸元さん、指導している少年少女たちから、メッセージが読み上げられました。
木下会長が思わず涙ぐみ、丸元さんからは友情と敬意を込めた言葉が続きましたが、何より印象的だったのは
キッズボクサーたちの言葉でした。
大先輩であるボクサー江口と、指導者江口への敬意と感謝、そして自分たちもいつかチャンピオンになって、
江口さんのように人を勇気づけられるようになりたい、という決意を語る彼らの姿には、正直、感動しました。
けっして環境面で恵まれているとは言い難い地方のジムにおいて、もちろん取り組み方や関わり方は様々であれ、
これだけ多くの少年少女たちが、ボクシングというものに触れ、その世界に生きるボクサーたちの生き様を見て、
強く、明るく前向きな夢を見ている。そして、その夢のために闘ったチャンピオンは今、彼らの夢を支える側に回って生きている。
姫路の地に、ボクシングを通じて、夢を抱いて生きていく人々がいて、その夢は、途切れることなく紡がれてゆくのでしょう。
その夢の輝きに、少しだけでも、触れられたような気がした、姫路の興行でした。
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この日のメインイベントは、128ポンド契約の宮崎隆司vs太田垣泰幸(VADY)の8回戦。
接近して宮崎、離れたら太田垣と見え、やや宮崎の接近戦と手数が上回ったか、という試合。
3-0で宮崎でしたが、接戦でした。
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会場には「会長」もご来場でして(関西で今、「会長」と言えば、井岡弘樹会長のことを指します)、
井岡ジムから別に分かれた「井岡弘樹ジム」の中澤信也という選手が登場しました。
54.5キロ契約の4回戦で、パンフには違う選手の名前があったので、代打出場なのかな、なかなか大変な、
と思っていたら、シャープな右でいきなり倒し、追撃でストップ。初回0分42秒で勝利。
聞けばこれが2戦目、デビュー戦も初回KOだったそう。
短い時間ですからよくわかりませんでしたが、名前覚えとこかな、という感じです。
もうひとり、真正ジムの小坂裕介という選手も初回KO、こちらは右と左で倒しツーダウンKO。
初回0分25秒でした。60キロジャスト契約でしたので、ライト級ですね。これがデビュー戦。
他にも判定ながら熱戦といえる試合も多く、なかなか楽しい観戦になりました。
客入りも予想した以上の盛況で、終始盛り上がっていて、良い雰囲気で、遠かったけど来て良かったと思いました。
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ところで、この日のお当ては、実はメインイベントではなく、
以前応援していたことのあるボクサーの息子さんのデビュー戦でした。
懸命に闘ったものの判定負けで、残念でしたが、何か他人事とは思えず、心を揺さぶられてしまいました。
言うたって他人がこれだから、ホントの身内の方々の心境たるや、と思うと、
今更ですがボクシングというものは、本当に大変なものだと改めて感じたような次第です。
とりあえず今は傷を癒やして、心身を休めてほしい、という気持ちです。