さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

苦闘の後、天才は断を下した 大場浩平、40戦目を終えて引退表明

2014-09-15 21:59:49 | 大場浩平


昨日は、メイウェザーの試合を見終えたあと、夕方からのんびりと府立の地下へ出かけました。
どうでも観戦しよう!と力を入れていたわけではないのですが、予定していた雑用が早く済み、時間が出来たので、
せっかくの三連休だし、観戦のひとつもしておこう、というくらいの気持ちでした。
結果として、見に行っておいてよかったな、という気持ちでいます。


大場浩平は立ち上がりから、ノーランカーの相馬圭吾という選手に、ロープ際に押し込まれて連打されました。
ロープを背負って攻められても、肩を上手く使ってのブロックでクリーンヒットを許さない大場ではありますが、
この日はあまりにも足が動かず、安易に手数を出させ過ぎ、相馬の果敢な攻撃に押されっぱなし。
それでも相馬のパンチの大半を防いでいて、ボディブローで反撃しますが、ガード、ブロックに依存し、
足を使って外す動きがほぼ皆無という状態が最初から最後まで続きます。

大場が従来から持つ、受け身になり過ぎ、安易に相手に手を出させすぎ、という悪癖ばかりが目に付き、
単発とはいえ、相馬のヒットを許す場面もあった試合は、大場の勝利は間違いないにせよ、苦戦であることも確かでした。
そして大場の良さである足のスピードはまったく見られず、距離を詰めてくる相馬に対し、距離を取れずに巻き込まれっぱなし。
バッティングもありましたが単発ながら打たれてもいて、試合後の顔はけっこう傷ついていました。
攻撃に関しては、ボディブローは多数のヒットがあり、相馬をかなり痛めつけていたものの、
上へのパンチは悲しいくらい精度を欠き、若手時代に見事なKOを生んだ右アッパーは、ことごとく空を切りました。

これはさすがに限界というか、序盤から容易に攻め込まれてしまい、その流れをまったく変えられず、
或いは変えようともしなかった?大場の姿を見て、きついようだがもうボクサーとしては何かが「切れて」しまっている、
たぶんこれより上の相手と闘えば、決定的な破局が待っている、というか、繰り返されるだけだろう、と感じました。


帰宅後、この記事を見つけたときは、正直言って安堵しました。
大場浩平は、先のランディ・カバジェロ戦でそのキャリアを終えるものと思い込んでいた私や、多くの思い込みに反して
今回、再起戦を闘ったわけですが、彼にとっては、自身の完全な納得を得るために必要な「もう一戦」だったのでしょう。

自身の進退は、自身の納得があった上で決める。
当たり前といえばそうでしょうが、それが許されるボクサーなど、考えてみれば一握りに過ぎないのかもしれません。
そういう意味では、彼もまた、一握りの幸福なボクサーだったと言えるでしょう。



名古屋の友人から映像を見せて貰って、その抜群の防御勘と、独特の感性によって繰り広げられる華麗なボクシングに刮目し、
若手時代から何度も名古屋に足を運んでは、彼の試合を見てきました。
様々な苦難を経て、彼の最後の闘いを、府立の地下で見ることになろうとは、当時は想像もしなかったことです。
しかも、TV中継もなく、まして、何かのタイトルがかかったわけでもない試合で、彼のキャリアが締め括られようとは。

何か、意外な、唐突な、という気持ちにさせられてもいます。
しかし、リングの上で、トリッキーな動きで相手の逆をとり、多彩なパンチをヒットしては動き回り、相手を翻弄していた
若き日の彼を思い起こせば、いかにも彼らしい、という言い方も出来るような気がしています。

大場浩平は、最初は名古屋の友人たちにとっての「星」であり、その魅力のお裾分けをいただくような気持ちで
ずっと応援してきたボクサーでした。
そしていろいろな事情があった果てに、関西のジムに移籍してきてからは、その変容の全てを含めて、
彼の姿を最後まで見届けねば、という気持ちで、会場に足を運んできました。

今回、危ういところでその「最後」を見落とすところでしたが、見に行っておいて良かったです。
長きに渡り、本当に楽しい試合を、そして素晴らしい「夢」を見せてくれたボクサーでした。
大場浩平選手に、改めて感謝したいと思います。


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この日のメインはヘビー級。
石田順裕が、フランスのダビド・ラデフに判定勝ちを収めました。

ラデフはモヒカン刈りの白人で、201ポンド。石田より背は低いが、上体の厚みがすごい。
自然なヘビー級、というよりは、少し絞ればクルーザー、という感じ。石田も201ポンド強。

で、試合は石田が速いワンツー、ボディブローのヒットでまさって判定勝ちでしたが、
やっぱり簡単には倒せない。ミドルのスピードを生かしつつ増量に成功している石田ですが、
頑健なヘビー級を倒す威力には、現時点では欠けていると見えました。

対するラデフは、もちろん技術では中量級でタイトルを獲った石田には及ばないにせよ、
一撃の迫力では上回り、速さもなかなか。石田リードは間違いない試合でしたが、終始気の抜けない展開でした。
ラデフの戦績は5勝7敗2分ということでしたが、石田にとってけっこう手強い相手で、
この辺の選手でもけっこう怖い、ヘビー級ってやっぱり化け物の世界なんやなぁ、と痛感した次第です。

コメント
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