さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

若き俊才、失速せず 中谷正義、7戦目で加藤善孝を攻略、新王者に

2014-01-12 07:44:07 | 関西ボクシング

ということで、馬鹿をやって見に来た昨夜の興行ですが、
結果として非常に満足度の高い観戦となりました。

どうも、TV放送はなさそうですので、試合展開を簡単に。
頼りないメモ書きですが。

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加藤善孝は、中谷正義と比べると相対的に小柄。
というか、あまりにも身長、リーチが違って見えて、計量後の体重にも差がありそう。

1R、中谷が長い左を突いて出る。加藤は右を返すも、ヒットは少ない。
加藤が右を振ると、ミスしていても歓声。中谷。
2R、中谷遠い距離から左ボディ。加藤は距離の長さに苦しみ、右のミスが目立つ。中谷。
3R、中谷は左ジャブ、右ストレート、返しの左を上下、という連打。中谷。

4R、加藤が右ヒット、中谷打ち返すが距離が近い展開が増え、加藤がまた右。
近い距離だと加藤もコンパクトに打てる。加藤。

5R、中谷、やや自分から行き過ぎる感、距離が近く、加藤の右ヒット。
しかし中谷、加藤の右をミスさせ、オフ・バランスの加藤に連打。中谷。

6R、加藤ボディ、中谷アッパー連打。打ち合い増える。
両者共に密度の濃い攻防、疲れ気味。
迷う回だが中谷。この回、中谷右目周りを切る、加藤のバッティングによるもの。

7R、中谷、少々疲れ気味とはいえ、思った以上に失速の度合いが低い。
両者右応酬、際どく芯を外す。終盤、加藤の右で中谷が膝か手をついた感じに見えたが
レフェリーはカウントを取らない。微妙。加藤追撃もゴング。
中谷のダメージはさほどではない。しかしこの回は明白に加藤。

8R、中谷が右ストレートを二発ヒット。加藤やや足が止まる。
ここは中谷、行ってほしいと傍目には見えたが、冷静。中谷の回。

9R、打ち合いの中、またバッティングで中谷カット。今度は左。
私はよくわからなかったのですが、違う角度から見ると、
加藤が明らかに頭を振ってぶつけた、とのこと。
この回は迷う回ながら、やや中谷か。

10R、加藤がコンパクトな右。しかし中谷が左フックを二発、加藤効いて自分から下がる。
加藤手数を出して巻き返しを図るが、中谷が外からひっかけるような右。中谷。

11R、加藤右を当てて攻める。中谷も打ち返すが攻勢を取って加藤。

12R、中谷が右から左の返し。左右アッパー。加藤ボディ、右クロス。
激しい打ち合いだが中谷が上回る。中谷。

判定は114-114、116-112×2の2-0で中谷。
私はやや甘く117-111、中谷でした。
ドローの採点は一言、理解不能という感じです。
私は迷った回がふたつありましたが、それを共に加藤に振っても115-113まで。
ドローや逆などあり得ない、という見方です。



このカード、前半中谷が良くても、加藤が中盤から盛り返してくるのは必定で、
その過程において中谷が冷静に距離を取って、競ったラウンドをいくつ拾えるかが問題であり、
中谷逃げ切り、加藤追い上げの度合いによって決まる、接戦必至の試合、と見ていました。

しかし内容、結果ともに、中谷の強さが私の想像を超えていました。
身長やリーチを生かすというよりは、自分から切り込んで試合を作り、
積極的、攻撃的な試合運びが目について、それで加藤を押し切った、という試合でした。

やれスタミナや安定感に不安、加藤の追い上げをどう凌ぐか、ということばかり考えていた
こちらの見方を覆す逞しさを、中谷が見せてくれました。
おそらくこの試合に向けての練習は、相当に充実したものだったのでしょう。
もちろんこの試合だけで、彼の今後を全て、手放しで語るわけにはいきませんが、
少なくとも7戦目でこの相手にこの内容と結果は、十分すぎるほど見事なものだと言わざるを得ません。

嬉しい驚きをもらった試合でした。新王者、中谷正義に脱帽、そして拍手です。
個人的な勝手を言えば、関西にタイトルホルダーが増えると、観戦の楽しみも増えますので、
そういう意味でもありがたく、嬉しい勝利でした(^^)

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セミファイナルでは小國以載が移籍二戦目を闘いました。
三津山ジムの藤本悠起を相手に、正確なジャブ、遠い距離からでも届く左右のボディブローで
1、2回と圧倒し、ペースを握りますが、3回くらいから足を敢えて止めた感じ。
ガードを上げて距離が詰まった展開で、これなら藤本も手を出せるという印象でしたが、
やはり悉く打ち勝った小國が、最終回に右を当てたところでTKO勝ちでした。

悪いですが、このレベルの相手(日本ランク中位以下やノーランカー)相手では、
小國が圧勝するのは当然といえます。しかしこの試合の小國は、今後に向けてああいう展開を
敢えて選んで闘い、色々なことを試していたという風に見えました。

もちろんレベルは違いますが、堅実なファイターである大竹秀典との対戦に向けて、
ああいう接近戦での対応を強いられるいくつかのラウンドのための準備をしているのではないか、と。

あと、端正なスタイルの小國ですが、決め手や緩急、強打に欠けるのはちょっと不満です。
最終回のストップも、いかにも地味な終わり方でした。小國らしいといえばそうですが。
ちなみに私は、小國の「KO勝ち」を直に見るのは今回が初めてでした。
貴重なものを見られた、と思えばいいのでしょうか(^^)

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さて、注目の「石田順裕90キロ」ですが、実際には91キロとのことでした。
思ったよりも無理を感じない体つきでした。ただ、本当に90キロもあるのかな、とも思いましたが。
上半身、胸や腹が分厚く、太腿も太い、しかし手首足首はミドル級の細さでした。

相手は4勝3敗、元力士という大和藤中とのスパーリング。こちらはかなり太い。
戦績が駆け出しの力士みたいな感じで、いとおかし、という感じ。

石田は相手の重さと同時に、自分の重さにも苦しんでいる様子。
初回は身体ごと押し込まれ、ロープ際で左フックを当てられて、場内がどよめく場面も。
しかし2回からジャブ、右、返しの左を当てて攻める。手の速さはミドル級のものとさほど変わらない。
クリンチの場面では押し返そうとせずに力を抜いてやり過ごし、また速い連打。
ボディにアッパーも決めて3Rを終えました。

おそらく普段も、そう頻繁にヘビー級相手にスパーが出来るわけでもないでしょうから、
この3ラウンズも試行錯誤の過程でしょうし、そういう意味ではまずまず、という印象でした。
しかしリングサイドにいた藤本京太郎への挑戦希望は、もし実現するとしても、
受ける藤本にしてみればあまり愉快な話でもないでしょうね。

やはり、せめて一試合、誰かと試合して勝った上で、というのが筋でしょうし、
もし実現すれば注目の一戦ではありましょうが、もしこれで石田が勝つようだと、
それこそ日本ヘビー級王座を復活させた意義って何なの、という話になってしまうでしょうし...。

正直、その辺ちょっともやもやした感じが残りました。
下のクラスで世界的選手として活躍した石田の良さは、思ったよりも消えていなかったですが、
さりとてこれが実戦のタイトルマッチ、10回戦を戦い抜けるものなのかどうか、というと
確信を持てない、という印象でした。

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そういうことで新春一発目、急遽決めた観戦でしたが、見どころや思うところの多い
楽しい観戦となりました。
また今年も何度か、後楽園ホールにお邪魔させていただこうと思っております。
やっぱ見やすくていいなぁ、この会場は(^^)

コメント (2)
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