少し前に話自体は聞いていたんですが、長谷川穂積の次の試合は、
いよいよ世界戦になるとのことです。
挑戦する対象は、スーパーバンタム級の王者のうち、リゴンドー、サンタクルスは
おそらく興行的、もっというと経済的に厳しいから、除外されたか。
残るはWBA正規スコット・クイグ、そしてIBF王者キコ・マルティネス。
私が聞いた話では前者でしたが、まとまらなかった模様。
結果的に、二重王座の下の方、というのは、話としてややこしいので、止めて正解ですね。
実力的には、厳しい相手の方に行ったな、というのが正直な感想です。
マルティネスは、一度敗れたカール・フランプトン(実力的には、欧州最強と目されます)と
次の防衛戦を闘うという話だったはずですが、この強敵との一戦を前に、
日本から舞い込んだオファーを、利益あるものと見て、受けたのでしょうね。
しかしフランプトンに負けた後、ジョナサン・ロメロとジェフリー・マセブラを連破、
試合内容も充実したもので、勢いに乗っている感じがあります。
攻撃的なボクシングが板についているマルティネスは、おそらく圧力をかけて
強打をもって長谷川を攻め立て、打ち崩しにかかるでしょう。
対する長谷川は、自身のスピードを生かして、もっと大きく動いて外し、相手を引き込んで
速い左を当てていく、という形で闘えれば、現在のタイトルホルダー達、誰と闘っても
五分かそれ以上の試合が出来る、試合を作れると思うのですが、そういう闘い方だと
変にトリッキーになってしまって、どうも安定しない、というのが現状です。
長谷川が集中して、相手のパンチを見切りながら左で切り込んでいき、
合わせ技を決めて、好機に連打を決めるという展開になればいいですが、
やはりそこまで上手く回るかどうか、ですね。
体格、パワーで圧倒的優位だったバンタム、それが通じず苦闘だったフェザー、
そして今回、その間のスーパーバンタムで、攻撃力が自慢の王者に挑む...
正直、どういう目が出るか、ちょっと読みにくいです。
速くて正確な左を、コンパクトな間合いで当てて、防御をしっかりしてポイントを稼ぐ、
これを基本線に、集中して闘えるかどうか、でしょうね。
好打、好機が作れるとしても、それ以外のラウンドをいかに抑えるか、という
地に足のついた発想で、まずは試合を作って欲しいと思います。
と、まあ硬い話はこれから、いくらでも語れることでしょうが、
この試合については、やっと決まりそう、ということ自体がまずは嬉しいです。
ホントに、このまま何も決まらず、なんてこともあるのかな、と思ってましたんで。
もちろん、多くのファンにとってもそうでしょうが、私にとっては、
辰吉丈一郎が去ったのち、長谷川穂積というボクサーの存在は、何よりも重く、大きなものでした。
関西の小規模興行において、タイトル戦線において、そして世界戦において、
彼はその都度、我々が思う最強の相手と闘い、その天性を磨きつつ、徐々に逞しく成長し、
試合のたびに、ファンの思い描く夢を実現してくれた選手でした。
しかし、フェルナンド・モンティエル戦の敗北は、それ自体は嘆くに値しないものであっても、
やはり彼自身や、その周辺に、消しがたい爪痕を残したようです。
フェザー級転向の経緯、初防衛戦前の震災と、試合開催地の変更による動揺は、
ボクサーとしての彼を足元から大きく揺さぶり、王座転落という結果を招きました。
その後、結果として無冠戦を4試合闘えたことは良しと思う反面、
試合間隔も開き加減、出来不出来も試合毎というよりはラウンド毎に波があり、
どうも安定しないなという印象も強く残っているところです。
まあそれも、いかにも長谷川らしいといえばそうなのかも知れませんが。
しかし、直近の試合では、最初から集中した様子で、切れ味も抜群、
攻撃することに関しては、迷いなく立ち上がって、最初の好機で相手を仕留めるという
見ていてすっきりした印象の長谷川穂積を見ることが出来ました。
立ち上がり、見て立つにせよ、攻めて出るにせよ、ああいう吹っ切れた印象の、
我々にはわからない部分も含めて、足枷となる何事かを感じさせない、
軽やかな長谷川穂積の清々しい闘いぶりを、いよいよ決まりそうなこの世界戦で、
思う存分に見せてほしいと、まずはそれを願っています。
長谷川にとり、この試合はそれこそ、ボクサーとしての存在意義を問われる試合になります。
また、事実上、日本初の三階級制覇がかかった大一番でもあります。
ここでやらずしてどうする、勝たずしてどうする、という思いは、
我々が思う以上に、長谷川の心中に燃えたぎっていることでしょう。
試合は4月頃とのことですが、もうすでに、楽しみという言葉を超えた、
待望の思いを抑えられません。
有り難いことに場所は関西なのだそうです。
これはもう、当然見に行くしかありませんね(^^)
はやくこいこい4月頃、という感じであります。