さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

求められる者

2007-03-05 10:04:36 | 粟生隆寛
土曜日の後楽園ホールには、早くから自由席のチケットを求める行列が出来ていました。

若きエリート・ホープが日本王座に挑み、鮮やかな勝利を収めるか、
それとも雑草と呼ばれる王者が、意地を見せて勝利するか。
かつてボクシング界にはこういう構図の日本タイトルマッチがいくつもありました。
結果がいずれの勝利になろうとも、ファンの間で長く語り継がれるような試合が。

粟生隆寛に寄せられていた期待とは、ただ単に試合に勝つだけではなく、
「俺はあの粟生が日本チャンピオンになった試合をこの目で見たんだ。
あのときの粟生はすごかった」と後々まで自慢混じりに語れるような、
そんな試合を見せて欲しい、というものだったのでしょう。
文字通りの空席ゼロ、通路にも人が座りまくる、ベタに超満員な後楽園ホール。
久々に見たそんな光景は、そうした特別な期待があった故に実現したものなのでしょう。

さて、試合は、王者の梅津宏治には失礼ながら、ほぼ順当な内容で、
粟生の勝利に終わりました(写真はこちら)。
もちろん、好試合だったと思いますし、対照的な両者の闘いは、
充分見応えのあるものでした。

しかし、敢えて言えば、ファンの特別な期待に応える試合ではなかったように思います。
試合後、帝拳本田会長も結構厳しいコメントを出していましたが、
それも粟生に対する、次元の高い期待故なのでしょう。
今後、粟生には「世界まで10戦はさせる」という方針だそうです。

しかし、「世界」という前提が語られている時点で、
粟生はやはり特別な期待を背負う宿命にあります。
過酷なことではありますが、しかしボクサーとして、これ以上幸福なこともないでしょう。
彼の闘いを、多くのファンと共に、見守りたいと思います。

コメント
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