ゴールデンウィークにおすすめのワインがカルフォルニア・ロダイ地区で造る“インコグニート・ホワイト”。
仮面の絵をエッチングした謎めいたワイン。
ゴールデンウィークには、クアトロの評判を聞いて来たと云う初来店のお客さまも多い。
その初来店のお客さまにこのワインを説明するのは難しい。
初来店の女性のお客さまは、クアトロの父が商品の説明をすると、じっと見つめてくるお客さまが多い。
クアトロの父は、すかさず斜め横に立ち、お客さまと正面から対応することを避ける。
正面から見つめ合うと恋に落ちてしまう危険を避ける訳でもないが、なにか気まずいからだ。
初来店の女性のお客さまは、この人は信頼出来る人かどうか観察しているのである。
決してクアトロの父に恋をしている訳ではない。
そのお客さまの視線を仮面の表情でかわしながら、ワインの説明をするクアトロの父。
「このワインは、カリフォルニアで造っていますが南フランスのヴィオニエと云うブドウから造られた青リンゴのような風味を持った爽やかなワインですよ」
と説明する。
じっと見つめていたお客さまも、感情の少ない説明だが、悪意はなさそうだと警戒を解きはじめる。
「青リンゴください」
さほど説明は聞いていないが、青リンゴに興味を持つお客さまだ。