ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

心意気を感じる酒蔵

2010年02月18日 | お酒の話

Photo 鴨川の鮨屋はマスコミ嫌いである。
特にグルメ雑誌には批判的だ。
ろくに取材もしないで字数を合わせて書く記事はだめだと切り捨てる。
へたに取り上げられて一時的に客が増えても常連の客に迷惑を掛けるだけだと言い切る。
グルメ評論家なるものも観点が偏っていないかと云う。
さらに、ソムリエも信頼できないらしい。
自分の持っている知識の範疇に全て押し込めようとしていないかと云いたいようだ。
大将のそんな持論を披露されて、
「あのう、日本酒を選んでもらいたいんですが」
下手に出るクアトロの父だ。
「おう、トビツル持ってきな」
奥に声をかける大将。
この日本酒は地元の酒蔵が造っていて、大将も蔵に入って酒造りを手伝うと云う。
たしかに、切れが良く風味も豊かで魚の旨味を邪魔せずに引き立ててくれる酒だ。
酒造りの特徴がどうのこうのではなく、作る人の心意気が感じられる酒だ。
「この酒の作り方の特徴は何ですか」
などとは、とても聞けなかったクアトロの父だ。
「うまければいいだろ」
「それとも字数いくつにまとめて答えろと云うのかい」
そんなことを云われそうだ。
その後、その造り酒屋を訪ねて鴨川の山道を登ったクアトロの父たち一行。
森の中に佇むその酒蔵にたどり着く。
飛び込みで酒蔵を見学をさせてもらったが、いやな顔もせず丁寧に応対してくれたご主人。
そんなご主人の人柄も含めて、丹精込めた酒造りをしているなと感心するのだった。
タンクの中でお酒が発酵を続けているのをのぞき込むクアトロの父。
ブクブクとつぶやくその酒は、こざかしい理屈を述べるクアトロの父をあざ笑うようだった。

コメント (1)
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