ザ・クアトロ

クアトロの父のたわごと

天領飛騨の酒

2010年02月04日 | 食材の話

2009 飛騨は徳川幕府の直轄領であった。天領と呼ばれ、特に飛騨の林業は徳川幕府により保護されていた。この飛騨には林業だけでなく、飛騨ならではの銘酒がある。
クアトロに天領酒造の「天領天凜ビンテージ2009」という純米大吟醸が入荷している。
飛騨の地元の酒米“ひだほまれ”100%のお酒だ。
このひだほまれは、お米の心白と呼ばれる部分が大きい。アルコールを造るためのデンプンが多く、雑味となるタンパクや脂肪は少ない。そして、心白が大きいということは、お米を磨くのに適しているということだ。しかし、栽培の面では背丈の高く、穂が大きいこの品種は台風などに弱い。安定して生産するのが難しい品種である。
“ひだほまれ”に限らず“渡船”なども同様だが、このような古い品種は次第に時代にそぐわなくなる。
安定して収穫の出来る酒造好適米を求められるようになる。そのようにして“山田錦”が現在のお酒の主流になる。安定して美味しいお酒を造れる山田錦は重宝ではあるが、日本中で同じような味の日本酒が出来てしまっていることも事実である。また、酒造品評会でも、このような全国区の味わいのものを評価していくことになる。
さて、飛騨の山奥で手間暇をかけて育てた“ひだほまれ”を贅沢に50%精米し、北アルプスの伏流水で醸し、あくまでも低温熟成・低温貯蔵にこだわったこのお酒の味は、大量生産は出来ないが、この飛騨という土地の個性を語ってくれていると思われる。
ビンテージ2009と明記してあるのは、少量生産でなくては造れないこの酒は、造る年によって味は変わってしまうものだと主張している。
天領として守られた飛騨の個性をクアトロで味わってみてはいかがだろうか。
日本酒をおすすめする一風変わったイタリアンである。

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