愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

京田辺市 天王(てんのう)墓地の一石多尊石仏/他

2011年04月02日 | 石仏:京都

京田辺市の西部、大阪や奈良と府境を接する生駒山系の北端辺りの山麓に天王と呼ばれる地域が有って、中心街からは車でも10分以上はかかる鄙びた山里風景を今によく残していて心の癒される土地です。

この地は非常に古い歴史を持つ地で神功皇后の祖父、迦爾米雷命(かじめいかずちのみこ)を主神とし牛頭天王社として、京都八坂の祇園社(八坂神社)の元社とも言われている。

天王の名称はその辺りに起源が有るとされ神社近くから見渡す集落はそれを彷彿とさせてくれます。

<墓地入口に立つ阿弥陀石仏と五輪板碑>

国道24号線井手町役場前の交差点で玉水大橋を渡る奈良県生駒市高山に通じる府道65号線で西進、普賢寺(ふげんじ)小学校脇に有る道路で一気に山手に登ると集落の入口と思しき辺り、左手山裾に天王墓地が有る。

入り口正面斎場奥に此の多尊石仏が三基と向かって左には地蔵と阿弥陀石仏。

向かって右から三十三観音碑、十六尊仏碑、十六尊仏板碑と三基が仲良く並列しています。

左手三十三観音碑は高さ150センチ、板碑一杯に三十三観音像が彫り付けられ、このような例は見かけない。

頂部に斜めの断裂を補修した跡が有り痛ましいが、この前で拝む事に依り三十三観音、全てを巡った功徳が有ると信じられていたのだろう・・・

庶民が長旅に出るのが困難な時代には有難い存在だったに違いない・・・、江戸時代前期の造立。

中央はやや厚目の高さ120cm足らず石材を五段に分け、頂部には舟形光背を背負う地蔵菩薩立像。

下部四段に阿弥陀と地蔵を15体配して各々には法名が刻まれ逆修供養を思わせる。

安土桃山時代の天正十八年(1590)像立が確認されている様です。

三基目、向かって左には高さ約120cm、頂部を山状に加工し、二条の溝を刻んだ十六尊板碑

やっぱり頂部中央に地蔵菩薩一体を配し下方を四段に分け地蔵菩薩を十五体刻みだしていて室町時代の作だと言われています。

<脇に有った阿弥陀坐像>

それよりもっと驚いたのは斎場より一段上がった墓地本体に数多く散在してる石龕状の墓石??。

石龕墓には色々な形式のものが有ったが多く見かけたのはこれ・・・花崗岩の切石で三方を囲み、方形の笠石を載せ、中には一石五輪塔を二基並べ立てている。

奥壁には阿弥陀・・・

側壁には阿弥陀三尊の脇侍か??地蔵??ちょっと確かめ辛かったが・・・・。

こんな石龕も・・・・

こちら、前の五輪塔は無く(元々なのか、失われたのか??)奥壁に双体地蔵??・・・・

やけに立派な擬宝珠の笠石も・・・このような石龕墓?は他の墓場ではついぞ見かけた事はない・・・・??

迎え地蔵も中々立派でちょっと変わった造り・・・・、ほぼ等身大。

古めかしい三体地蔵に、六体地蔵・・。

六体地蔵の前には懐かしい辻蝋燭。

子供の頃、土葬の野辺送りには必ず辻毎に立てられていたのを思い出す。

ここではまだ土葬が生きているのだろうか??、それとも習俗として此の辻蝋燭が残ってるのだろうか??

時々人里はなれた大和や伊賀の埋め墓などでは見かけることもあるが・・・、NET検索してもヒットしない。

死者を弔う場だとしても尚、愛おしい。

撮影2011.3.31/他



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3 コメント

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Unknown (たいしん)
2011-04-02 08:07:57
お早うございます。
ここ、好いですねぇ。
多尊板碑も好いし、石龕墓初めて見ました。
また色々載せてくださいね。
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初めまして (くみ)
2013-03-26 13:25:52
こんにちは。
私もこういった民族的で雰囲気のある場所を訪れるのが大好きで、ブログの美しい写真を見せていただき本当に嬉しいです!

実は、家の近所にあるどなたかのお墓がすごく変わっており、一体どの宗教のものなのかずっと気になっていました。さっきからGoogle検索をしていたら、こちらの素敵なブログにたどり着きました。
管理人様は墓石のことなどにもすごく詳しいようですので、もしご迷惑でなければその変わったお墓を見ていただけませんか(リンク先の私のブログに写真を載せてあります)?純粋な好奇心で調べていただけで、変な勧誘とかではないので心配しないで下さいね。ご無理をいって大変申し訳ありません。良い春の一日を過ごされていますように!
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これは宗教、宗派とは無関係です (ぺん)
2013-03-26 15:01:23
くみさん、コメントありがとう。
アメリカに嫁がれたんですね、ぼくのしりあいもにもそう言う人がいます。
前置きはさておき墓の写真見てきました。
これは宗教、宗派とは無関係です、最近じゃ滅多に見れない土葬墓(捨て墓)に置かれる柵ですね。
野犬や野獣が新仏を掘り起こさないため??はたまた新仏が迷い出てこないため??
僕のブログにも写真が有ります。
http://blog.goo.ne.jp/pzm4366/e/cdc8332d4b3ba98520e72508a6959d0e
このページの一番下の方です。
これを丁寧にしたものが、くみさんの写真のものです。

まだまだ現実に土葬の所もあるので僕は時々、様々な形のものを見かけますよ。
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