愛しきものたち

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平群町 信貴山石龕仏(せきがんぶつ)残欠:他

2014年09月05日 | 石仏:奈良

信貴山境内、開山堂への参道右手の小高い丘に立つ石仏。

一山、信仰の山として河内と大和の境に君臨、その歴史は古く聖徳太子の創建に依るものとされている。

石仏は丘の頂上に2体が並び立つ。

うち一体は高さ約1m、幅60cmの板石状花崗岩に阿弥陀坐像が刻まれている。

正面両側を柱状に残し、枘穴が設けられ、元は側石が組み合わされ、石龕仏の奥壁だと考えられて居る。

阿弥陀坐像は三区からなる格狭間の上、中央に舟形光背を彫り下げ蓮華座に座し定印を組む。

小さいながら姿形が良く整い、右柱面に南北朝中期の正平八年五月の刻銘があり、信貴山内では最古の石造物だとされて貴重。

一方、向かって右側に据えられた半身が欠落した坐像石仏は、その蓮華座や結跏趺坐した膝の張りから、鎌倉様式を感じられなくもない。

完品であったら、さぞかし立派なものであったに違いない。 

撮影2012.5.26