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新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):1ヶ月間のまとめ

2020年02月26日 | 医学と医療
新型コロナウィルス肺炎(COVID-19)に関して,1月26日から数回に渡って,フェースブックに論文情報を記載してきた.この1ヶ月間の情報をまとめて記載しておきたい.

(1)新型コロナウィルス(2019-nCoV)関連肺炎に関する論文の情報(1月26日)
昨晩,講演をした岐阜市内のホテルで,中国からの大勢の団体旅行者とすれ違った際,「新型肺炎への準備が必要だ」と思いました.中国の研究者チームは極めて速やかに2019-nCoVと名付けられたウィルスを単離し,全配列を解読して,そのデータを国際的に共有しました.SARSでの経験が生きたと言われています.NEJM誌とLancet誌は関連論文を無料公開しており,医療関係者は正しい情報を確認しておくべきと思われます.以下,情報の共有です.
◆人から人への感染は確定的である.
◆潜伏期は3~6日(追記参照:最新情報は1~14日),発熱,乾性咳,筋肉痛にて発症,下痢や咽頭痛は少ない.白血球減少,両側性すりガラス様陰影.高齢者やcompromised hostで,重症化リスクが高まる.41症例の経過は下図(Lancet Jan24, 2020).
◆ウィルスのゲノム配列の75~80%がSARSウィルスと相同だが,むしろコウモリ・コロナウィルスに近い.よってSARSのようにコウモリから感染したか,MERSのラクダのような中間宿主を介して感染したものと推測される.
◆ICUに入室した重症例では,Th1細胞主体のサイトカインストーム(IL1β,IFNγ,IP10,MCP1)が生じ,肺の障害をきたしている(SARS/MERSの重症化因子として,IFN反応遅延,ウィルス複製や炎症性細胞浸潤の程度などが指摘されている).
◆よって治療として,コルチコステロイドの全身投与が考えられるが,無効,かつウィルスのクリアランスを抑制する可能性もある.Lancet論文のICUに入室した患者の半数にステロイドが投与されたため,今後,効果の検証が必要である.
◆抗ウィルス薬の効果についても不明だが,SARSにおいてロピナビルとリトナビル併用が有効であった可能性がある.MERSでもIFNβ1bとロピナビル,リトナビルが使用された.ロピナビル/リトナビルの併用投与は現在可能であり,ランダム化比較試験による速やかな評価が必要である.
◆(重要)エアロゾル感染の可能性があり,医療従事者はN95マスク着用やその他,感染予防が強く勧められる.SARSのときのような医療施設における感染拡大を防ぐ目的で,医療従事者自身の発熱や呼吸器症状には十分な注意が必要である.



(2)2019-nCoVへの抗ウィルス薬治療(1月28日)
気になるこの話題です.前回の投稿でも少し触れましたが,新型コロナウィルス(2019-nCoV)関連肺炎に対して,やはりHIV/AIDSに対して使用される抗ウィルス薬ロピナビル/リトナビル(商品名Aluvia)とαインターフェロン吸入薬によるオフラベル(適応外)治療が開始されているようです.このロピナビル/リトナビルは,過去に41名という小規模の臨床試験ですが,SARS-CoVに対し有効であったと報告されています(Thorax 2004).下記のロイターの記事や関連サイトを読むと,AbbVie社は中国政府に対して,Aluviaを150万ドル相当寄付したと書かれています.このドラッグ・リポジショニングが有効であってほしいですが,いずれにしても2019-nCoVに対する重要な臨床試験が進行中であり,中国はスピード感を持ってそれを実行できる国であるということは確かだと思います.
China repurposes AbbVie HIV drug as Big Pharma rallies to combat deadly coronavirus(FiercePharma)
https://www.reuters.com/article/uk-china-health-abbvie-hiv/china-testing-hiv-drug-as-treatment-for-new-coronavirus-abbvie-says-idUSKBN1ZP0Q8?fbclid=IwAR0ZFuMMOJOFY1JGA9zlQYgZRVAJyr3iKkfVG2jEfiX9AzXAErvsumBcD-8

(3)新型コロナウィルス関連肺炎(NCIP)の流行様式:基本再生産数は2.2人(1月30日)
今朝のNEJM誌の論文で,NCIPの流行様式に関する最新情報が掲載されています.考えたくはないですが,武漢以外の地域においてアウトブレイクした場合に有益なデータになります.対象は425名のNCIPで,定義は4項目(発熱,X線所見,白血球正常・減少ないしリンパ球減少,最低3日間の抗菌薬治療で改善なし)を満たすか,3項目で疫学的要件(武漢海鮮市場,感染者との濃厚接触)を満たす者です.1月22日までのデータで,要旨は以下の通りです.
◆発症年齢平均59歳,56%が男性.2020年1月1日より以前は,海鮮市場に関連した感染が55%,1月1日以後は8.6%に減少(ヒト・ヒト感染に移行).
◆潜伏期は平均5.2日(95%信頼区間,4.1-7.0日) (図A).範囲(95パーセンタイル)は12.5日.患者数の倍加時間は7.4 日.
◆最初の患者とそれによって発生した二次的患者の症状発現時間のずれ=患者発生間隔(serial interval)は平均7.5 日(5.3-19日) (図B).
◆患者発生間隔を患者数倍加時間で割って1を足したものが基本再生産数(basic reproductive number;R0)だが,この時点で2.2 (1.4-3.9).この値は「1人の感染者が未感染集団に入ってきたときに,伝染性をもつ期間において平均何人に感染を引き起こすか」を示す.よって22日の時点で,2.2人に感染を引き起こしうることを示す(R0が1より大きい場合,感染症は広がり,1未満であれば収束する).
◆論文では若年者の肺炎が少ないことや,医療従事者の肺炎患者における頻度が1月に入ってから3%から7%に増加していることも記載されている.対象の定義から分かるように肺炎を示さない患者・未発症者は考慮していない.
Med QLM et al. Early Transmission Dynamics in Wuhan, China, of Novel Coronavirus–Infected Pneumonia. NEJM 2020 Jan 29. DOI: 10.1056/NEJMoa2001316



(4)新型コロナウィルス関連肺炎の潜伏期感染,画像所見,系統樹解析(2月3日)
この週末もいろいろ論文が発表されました.医療者として正確な情報を知っておきたいと思います.
◆NEJM誌からはドイツの報告で,潜伏期の患者との接触で,2名の感染者が生じたというケースレポートである(図1).中国人(index patient)と接触し感染したビジネスマン(patient 1)の潜伏期において,接触した2名のビジネスマン(patient 3/4)が発症した.潜伏期における感染は感染予防対策の難しさを意味する.
→ この論文は,その後,著者から不十分な問診で発表してしまったが,実はすでにIndex caseは症状があったとする訂正があった.

◆Radiology誌からは,典型的な胸部CT像が報告された.図2は33歳女性のもので,ABの3日間で増悪.両側性すりガラス様陰影,subpleural sparingの欠如が特徴である.

◆またもや中国からLancet誌への投稿で,2019-nCoVのゲノム配列を系統樹解析した論文.2018年に東中国で分離されたbat-SL-CoVというコウモリ・コロナウィルスに近いものの相同性は88%のみ.つまりコウモリ由来であるものの両者は異なる.恐らく海鮮市場で売られた動物=中間宿主にコウモリから感染し,配列が変化した(実際,この時期コウモリは冬眠中).9人の患者から分離した10のゲノム配列の相同性は99.98%と高く,2019-nCoVが生じてからの時間経過は短いことが示唆される.ウィルスが感染に使う受容体は,bat-SL-CoVと異なり,SARS-CoVと同じangiotensin enzyme 2 (ACE2)receptorであった(図3Cの下半分).

◆インドから,その受容体には4つの挿入配列があり,いずれもHIVウィルスの一部(HIV1 gp120かHIV-1 Gag)と同一ないし相同性が高く,奇妙な一致を見るとの論文が報告された(表1).一部のtwitterやメディアはこの論文を根拠に,2019-nCoVが人為的に作成された生物兵器である可能性を議論している.しかし論文はそんな議論はしていないし,プレプリントサーバbioRxivに一足早く公開された論文であり,査読も受けていない.デマゴギーには要注意.
NEJM Jan 30, 2020; Radiology p200236; Lancet Jan 29, 2020; bioRxiv Jan 31, 2020


(5)新型コロナウィルス関連肺炎(NCIP):深刻な医療従事者への感染,心的ストレス対策の必要性
新たな問題として,院内感染や心的ストレスが注目されています.(2月9日)
◆JAMA誌に,武漢大学中南医院から,最多の連続138名の入院患者のケースシリーズが報告された.症状は発熱,疲労感,乾性咳嗽の順に多く,呼吸器外症状としては筋肉痛,下痢,めまい,頭痛,嘔吐,腹痛を認める.検査異常はリンパ球減少(70.3%),プロトロンビン時間延長(58%),LDH上昇(39.9%)の順に多い.重症例でトロポニン高値,D-ダイマー高値が目立つ.治療として抗菌薬のほか,抗ウィルス薬=タミフル®(89.9%),グルココルチコイド療法(44.9%)が行われた.ICU管理は36名(26.1%)で,原因はARDS(61.1%),不整脈(44.4%),ショック(30.6%)で,年齢者や併存疾患を有する者に多い.47名(34.1%)が退院し,6人が死亡した(死亡率4.3%).
◆この論文の,一番のポイントは院内感染,とくに医療従事者への感染が深刻であることである!なんと40名(29%)が医療従事者,17名(12.3%)が入院患者の感染である(表).
◆Lancet誌のcorrespondenceでは,2019-nCoV特異的な薬剤を開発するには時間がかかるとし,死亡率を下げることを目的とした,既存薬のrepurposingについて議論されている.他の論文でも目にしたlopinavir–ritonavir,interferon β1b,ribavirin,remdesivirのほか,cyclosporine,tocilizumab(抗IL6R抗体),2019-nCoV に対するモノ/ポリクローナル抗体,間葉系幹細胞を用いたARDSに対する細胞療法などについても言及している.
◆さらに北京大学の医師らは,NCIPが社会に及ぼす心的ストレスについて言及し,その対策の重要性を指摘している.彼らはメンタルヘルスをサポートするHPを開設して対応を開始している(下記リンク).また医療者の精神的ストレスについても強調し,不安,うつ,PTSDのリスクについて指摘している.日本でも心的ストレスに対する適切な対応の開始が求められる.
JAMA. Feb 7, 2020;Lancet. Feb 5, 2020;Lancet. Feb 7, 2020.
https://mp.weixin.qq.com/s/xpxzPTD3VIMQEzBAaZW4KQ(中国語ですが)


(6)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):院内感染への対策を急ぐべき.(2月14日)
懸念された日本国内での院内感染が現実のものになろうとしています.多くの論文が報告されていますが,診療の立場から重要なものを紹介します.
◆国際ウィルス分類委員会からウィルスの正式名称としてSARS-CoV-2が,WHOから同ウィルスによる感染症の正式名称としてCOVID-19が発表された.
◆Nature Med誌は国際間のコミュニケーションと協力が不可欠とするEditorialを発表した.国際協力により解明すべき課題のひとつとして,SARSのときに認められたsuperspreaderの存在の有無を指摘している.感染の広がりを予測するには,正確なデータと数理モデルが必要だが,多量のウィルス排出により多数の感染を引き起こすsuperspreaderが存在すると予測は困難になる(Feb 3).
◆治療に関して,Lancet誌Comment欄にWHOのメンバーが投稿し,SARS,MERSの経験から,ステロイドは治療として使用すべきではないと明言.理由は気道,血中からのウィルスRNAのクリアランスの遅延を招き,副作用(精神症状,糖尿病)を来すため(Feb 6).
◆同号のLancet誌Correspondence欄では,①SARS-CoV-2が肺炎を来す前に結膜炎を来した症例が紹介され,目の防御の重要性を指摘,②過去のコロナウィルス感染の経験から,妊娠は重症化因子であり,胎児への影響も大きいことを指摘した.高齢者,既往症に加え,妊婦も要注意.
◆Nature誌はエボラ出血熱等に対応した医師の手記を掲載し「病院に未知の感染症の患者が多数,押し寄せた時どうするか」という重大な問題について言及(図).ポイントは3つで,①いかに早く感染者を同定するか,②いかに隔離し治療するか,③いかに医療従事者の安全を守るかと述べている.③に関連して,個人防護具(PPE)は正しく着用しないと感染を防御できないため,病院はトレーニングを徹底すべきと強調している.また医療従事者にインフル様症候が見られた場合,速やかに現場から離脱させること,また病院は人手不足への対応を事前に検討しておくことを求めている(Feb 11).
https://www.nature.com/magazine-assets/d41586-020-00354-4/d41586-020-00354-4.pdf?fbclid=IwAR1vhzBpBGGxLqsMwqAbgos-FAT4NgKIJHXbNLBPNKLIDrKvd5C9ioGis0g
◆医療機関における感染対策は,日本環境感染学会による「医療機関における新型コロナウィルス感染症への対応ガイド」に詳しい.標準予防策の徹底,感染経路別予防策,外来患者への対応,トリアージ,入院患者への対応,環境消毒,換気,職員の健康管理については必読である.N95 マスクのフィットテスト,シールチェックも重要(Feb 13).
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=332
◆各国からのレポートが相次ぐNEJM誌では,今回はタイと台湾の症例報告が掲載された(Feb 12).しかしまだ日本からのレポートは見当たらない.海外ニュースメディアではクルーズ船での患者増加に関連して,日本のquarantine,すなわち検疫のありかたについて批判しているものが少なくない.患者の感染様式,臨床,治療(とくにremdesivirなどのエビデンスのない薬剤の使用がなされたか)について,早急な科学論文データの発表・共有は不可欠である.


(7)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):集中治療や麻酔時における空気感染の可能性の指摘(2月19日)
関心を持ってCOVID-19に関する論文をフォローしてきました.医療者にとって信用できるものはやはり論文だからです.次から次に論文を発表する中国からは,医学レベルの高さと同時に透明性を感じました.一方,世界が注目するなか,学術的発信がなかなかなされない日本からは,その逆の状態が窺われました.公開された神戸大学岩田健太郎教授のYouTube動画(下記リンク)を拝見し,医療者が純粋に科学的な医療を取り戻す必要性を強く感じました.以下,プレプリントサーバmedRxivに投稿された未査読論文を含め,気になる情報を共有します.
◆武漢から飛行機で帰国した565名の日本人において,RT-PCR陽性12名中5名が無症状.つまり無症状率は5/12=41.6%と高いとする報告,短報だが,数少ない日本からの論文(medRxiv 2020.02.03.20020248).
◆中国における気温や湿度の異なる各地域での伝染性の指標=再生産数(R)の検討から,新型コロナウィルスの感染は気温や湿度の上昇で必ずしも収束しないとするハーバード大学の予測.春になれば収束すると楽観できない(medRxiv 2020.02.12.20022467).
◆453枚の胸部CT画像を用いたディープラーニングで,新型肺炎を診断するという中国からの論文.正解率82.9%(特異度80.5%,感度84%)まで精度が向上している(medRxiv 2020.02.14.20023028).
◆感染した妊婦9名における垂直感染の検討で,新生児6人の羊水,臍帯血,のどの検体検査は全て陰性で,子宮内での児への感染は認めなかったという朗報(JAMA. 2020 Feb 14).
◆中国からの報告で,インフルエンザ診断でも使用するウィルス表面蛋白を用いた抗体検出キット(イムノクロマト法)の開発が急ピッチで進められている.ほぼ完成し,2月14日時点で,次週には患者検体を用いたバージョン1の評価,その後,大量生産に数週間かかる(Science. 2020 Feb 14;367(6479):727).
◆カナダからの総説で,感染防御についての必読論文.基本的に飛沫感染だが,集中治療や麻酔を行う際,具体的にはバッグバルブマスク換気,NPPV換気,挿管の際には空気感染しうると考えるべき.重症患者のウィルス排出量は多く,かつsuperspreaderである可能性もある.N95マスクの使用法から個人防護具(PPE;図)の装着注意点,着替え室の重要性,電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)の利点,感染コントロール,呼吸管理と麻酔の注意点が記載されている.


(8)新型コロナウィルス肺炎(COVID-19):発症後2週間はウィルス排出は持続する(2月21日)
重要な情報が続々と報告されています.同僚から「SARS-CoV-2は生物兵器って本当ですか?」と質問されましたが,これに関連した科学者による声明も発表されています.
◆まずBMJ誌に報告された中国東部浙江省から62名の入院患者の後方視的な症例集積研究.武漢と比べて,若干,重症度が軽減している.原因として,診療経験が増したことに加え,もしかしたら89%もの症例で使用された抗ウィルス薬が有効であった可能性もある.感染源への暴露から発症まで中央値4日,発症から入院までは2日.(Feb 13)
◆江漢大学病院にて院内感染した30名の医療者(医師22名,看護師8名)の報告.うち重傷者は4名であった.医療スタッフは高い感染リスクに曝されること,感染率は患者への接触時間に相関することを示した.また厳密な感染防止の開始後,重症感染や両側肺炎が減少したことから,感染防御は有効と結論している.Zhonghua Jie He He Hu Xi Za Zhi. 2020;43(0):E016.(Feb 17)
◆Lancet誌に,世界のCOVID-19研究者27名による声明が掲載された.原因ウィルスはコウモリ由来であることが報告されたにもかかわらず,生物兵器であるというコンスピラシー,つまり意図的な噂や謀略,もしくは誤解が蔓延している.我々は真の科学を侵すこれらコンスピラシーを糾弾し,最前線で奮闘する中国の科学者,公衆衛生・医療のプロフェッショナルを強く支持するという内容.(Feb 18)
★NEJM誌に,広東省の感染者18名の上気道検体(鼻腔と咽頭のぬぐい液)の検討が報告された.うち無症状の濃厚接触者1名でPCRが陽性で,そのウィルス排出量は発症患者17人と変わらず,11日めまで持続した.つまり無症状でも感染を広めてしまうことが証明された.また①ウィルス排出量は咽頭より鼻腔で多いこと,②排出量は発症時より徐々に低下するが,陰性化には何と2週を要することも示された(図1).大事なことは「感染者は鼻腔を触った手で周囲に触れず,手洗いをすること」「発症後,2週間はウィルス排出があるので人との接触を避けること」である.(Feb 19)

◆同じNEJM誌に,武漢からドイツ(フランクフルト)に飛行機で帰国した126名に対して行われた検討が掲載されている.2名のPCR陽性者はいずれも無症状者のなかに存在した.症状に基づくスクリーニングは,感染者の予測に役に立たないとする教訓的な報告.(Feb 18)
◆国立感染症研究所はクルーズ船患者のデータをホームページに掲載.検疫が開始された2月6日以降15日までの発症日別の確定症例(151名)をグラフ(図2)で示し,検疫の有効性を示している.しかしPCR陽性でも無症状感染者の頻度が高いという本疾患の特徴を考えると,評価にはPCR陽性患者のグラフが必要である.実はAFP通信がその542名のグラフを掲載している(図3).2月18日に至るまで陽性者は増加している.データの見せ方によって印象はかなり変わる.(Feb 19)

◆WHOによると,抗HIV薬lopinavir/ritonavirと抗ウィルス薬remdesivirの有効性に関する予備試験結果が,あと3週間で出るそうだ.日本が試験に加わっているかどうか分からない.どうか有効であってほしい.(Feb 20)


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