Neurology 興味を持った「脳神経内科」論文

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大人のための教育理論とは

2021年11月08日 | 医学と医療
連載中の「脳神経内科領域における医学教育の展望――Post/withコロナ時代を見据えて」の3回目です.岐阜大学医学教育開発研究センターの今福輪太郎先生と西城卓也先生のご執筆です.前半は学習者が成人(=研修医や医学生)であるときの教育理論についての解説です.大人と子供の教育理論は異なり,前者を「アンドラゴジー」,後者を「ペダゴジー」と呼びます(図).



成人は自律できる存在であるため教育では支援が主体になること,すでにしたある程度の経験は学習リソースとして利用できること,社会的役割や責任に関わる課題がより学習意欲を高めること,また近未来の具体的な目的に対して学ぶことを好むことを紹介されています.自分も振り返ると講義で使っていて「何年後に医師になったらきっと直面するので考えてほしい」とか,「救急外来で必要になる診察だから・・・」と言うと,確かに学生の目の色が変わります.

後半では「認知徒弟制(Cognitive Apprenticeship)」,すなわち親方と弟子の間で古くから行われてきた徒弟制の職業技術訓練に着目し,その学習プロセスを認知的な観点から理論化したものについて,内容,方法,配列,社会学の4つの観点から解説してくださっています.臨床教育の根本的理論として,前回の経験学習に引き続き,成人学習理論と認知徒弟制を学んだことになります.ぜひご一読ください.

さて12月号は初めてのクリスマス企画「芸術家と神経学」です.編集委員がプルースト,ドストエフスキー,ベートーヴェン,ショスタコーヴィチ,エゴン・シーレを熱く語ります.お先に読ませていただきましたが太鼓判です.私はゴッホについて書きました.お楽しみに!

Brain Nerve 2021年11月号 特集:「目」の神経学

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